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THE IDOLM@STER アイドルマスター part8 (251)

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THE IDOLM@STER アイドルマスター part8 (251)


1 創る名無しに見る名無し
2012/05/20(日) 21:05:13.00 ID:NrondMdg

アイドル育成シミュレーションゲーム「アイドルマスター」の創作発表スレです。
○基本的になんでもありな感じで。SSでなくてもOKです。
○原作ワールドが多岐にわたっています。「無印ベース」「アイマス2世界」、
 「漫画Relations設定」「シンデレラガールズ」などと前置きがあると親切。
○エロ/百合/グロは専用スレがあります。そちらへどうぞ。
○「鬱展開」「春閣下」「961美希」「ジュピター」などのデリケートな題材は、
 可能な限り事前に提示しましょう。
○クロスSSも合流中ですが、同様になるべく注意書きをお願いします。




前スレ
THE IDOLM@STER アイドルマスター part7
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1316595000/


過去スレ
THE IDOLM@STER アイドルマスター part6
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1286371943/


THE IDOLM@STER アイドルマスター part5 (dat落ち)
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1270993757/


THE IDOLM@STER アイドルマスター part4
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1257120948/


THE IDOLM@STER アイドルマスター part3
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1246267539/


THE IDOLM@STER アイドルマスター part2
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241275941/


THE IDOLM@STER アイドルマスター
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221366384/


アイドルマスタークロスSSスレ
http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/1228997816/




まとめサイト
THE IDOLM@STER 創作発表まとめWiki
ttp://www43.atwiki.jp/imassousaku


THE IDOLM@STER アイドルマスター part8

THE IDOLM@STER アイドルマスター part8 (251)


112 ∥ (あとがき) </b>◆KSbwPZKdBcln <b>
2012/10/20(土) 15:30:12.32 ID:nl1oLDXd

   _, ._
ζ*^ヮ^)ζ < といれ~にわぁ



以上でございます。タイトルの文字、変換元の読みは「たて」ですが、タイトル
としては『たてせん』とご発声ねがいます。

生っすか03でやよいがカバーした『トイレの神様』ですが、キャラスレで一切
話題が出てこないという気の使われようwww
なもんで、ちょっとネタにしてみました。
わたくしは原曲もやよいのカバーも好きですし、以前のチキンライスだって
どっちも好きなのです。

ではまた。

113 創る名無しに見る名無し
2012/10/21(日) 00:13:40.56 ID:NSGitCo3

乙です。

早速で悪いのですが、タイトルに使っている「∥」ですが、
環境によっては文字化けしてしまうようです。
#コード外の機種依存文字か?

ちなみに、自分の読んでる環境では「//」と言った感じの記号が
表示されており、「たて」で変換かけてもそれらしい物は候補に挙がりません。
読み方の希望もあるようでしたら、(たてせん)と後に繋げた方がよろしいかと。

「トイレの神様」は自分はそんなに気にせず、
「良い歌もらったな~」程度に思ってましたが、何やら揶揄する人もいたようですね。
しかし、眉間にしわを寄せながら歌うやよいですか。思いつかなかったなぁ。


114 </b>◆KSbwPZKdBcln <b>
2012/10/21(日) 05:56:05.16 ID:8O/JxgVS

113
マジすか>環境依存 つかまだあったんか環境依存文字
AAに使われることもあるから少なくとも2ちゃん絡みでは
大丈夫かと思っておりました

ご助言頂戴いたします。まとめサイトはタイトル修正できないし
熟慮のうえ時間見つけてセルフで転載しますね

感想もありがとうございます
やよいが歌うとどんな歌もかわいくなれぅ

高槻揶揄い なんつって

115 </b>◆zQem3.9.vI <b>
2012/10/21(日) 13:36:14.47 ID:OuwKfrKT

108
 発売当初、うちの母が大好きでよくハミングしてたことを思い出しました。つい最近と思えるのに
カバーされるのも早いものだ…(しみじみ) しんみり系はやよいが歌うとせつなさがいい感じに和らぐような
イメージが個人的にあります。
 今規制に巻き込まれ色んなとこの書き込みが出来なくなっているので、こっち方面はどうかと
久方ぶりに現れましたがまだ投下の予定は当方御座いません。(それ以前にこちらを覚えてらっしゃる方いるでしょうか…(汗))

116 創る名無しに見る名無し
2012/12/13(木) 14:53:17.53 ID:toNM9kSS

19
このわくわくさんは楯雁人とも面識有りそうで怖い…

117 創る名無しに見る名無し
2012/12/19(水) 19:07:57.33 ID:gb9qaJ7v

復帰

118 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2013/02/07(木) 01:10:49.26 ID:lf2S5m+1

あーテステス。お久しぶりです。クロスオーバー短編1本投下します。
アイマスからは四条貴音さん登場。クロス作品はばりごく麺。
……知ってる人いるのかな

119 アイマス×ばりごく麺
2013/02/07(木) 01:13:35.58 ID:lf2S5m+1

そう、あれは確か二週間……いえ、十日程前の話でしょうか。
その日、私はあてもなく気ままな散歩の最中でございました。
ところがお昼近くになった頃に前触れ無く雨が降り始め、やり過ごせるところはないかと探してみたものの生憎とそのような場所は見つけられず困り果てていた時あるものを発見致しました。

中華そばと書かれた古びたのれん。

そう、らぁめん屋でございました。
えてしてこのような住宅街に昔からあるようなお店はいわゆる当たり外れの差が激しく以前はそれも一興と楽しんでおりましたが
ここのところはアイドルとしての活動が忙しくこのような未知の期待に胸を膨らませて店を訪れる事などとんとご無沙汰でした。

のれんをくぐり中に入ると、私の他にお客様の姿は見えず厨房の中には眼鏡をかけた若い……ちょうど私達のプロデューサーと同じぐらいでしょうか。そのぐらいの男性が一人で鍋の様子を見ておりました。
よほど集中しているのか私が入ってきたことにも気づかぬ様子でしたので、
「もし……」
と声をかけたところようやく気づいてくださったようで、
「あーっ! いらっしゃいませー!」
中々に元気のよい声を返してくださいました。
さて、席に着きたいのはやまやまだったのですが濡れたまま席に着くのは少々躊躇われましたので、
「申し訳ありませんがタオルを一枚貸していただけないでしょうか」
「あーっ雨降ってきたんですねーっ今お持ちしまーす」
お借りしたタオルで髪や服についた水分を拭き取るとようやく品書きを見る余裕がでて参りました。
とはいってもあまり数は多くありません。痛快ラーメンなるものにも興味を引かれましたがここはやはり基本に立ち返るのがよろしいでしょう。
「では、このしょうゆらぁめんを一つ」
「はいーっかしこまりましたぁーっ」
お水は自分で用意するせるふさぁびすのようです。
折角ですのでかうんたぁ席に座り厨房の様子を眺める事に致しました。

120 アイマス×ばりごく麺
2013/02/07(木) 01:18:02.69 ID:lf2S5m+1

沸かした湯の中に麺を入れ、上に載せる具を用意し、丼にタレを流し、一旦手を止め湯の中で踊る麺の具合を観察する一連の動作に淀みはなく集中しているのが見て取れます。
ふむ。これは中々に期待しても良さそうですね。

丼の中にスープを入れると、香しい香りが一気に広がりそれだけで胃袋を刺激されます。
そして仕上げの麺を入れるべくテボを湯の中から引き上げ、湯きりをする時にそれは起きました。
軽く一切り二切りした後に大きく振りかぶり、今までに見たことのないような激しい動作でテボを振りまわしたではありませんか。

果たしてこの面妖な動作が見掛け倒しのものか、はたまた何か意味が込められているのか、私の舌で確かめる事と致しましょう。

そしてスープの中に麺を入れ、予め用意しておいた具を乗せてらぁめんは私の前に出されました。
「醤油ラーメンおまちどうさまです!」
上に乗った具はネギ、メンマ、海苔、卵、ちゃぁしゅうといったありふれたもの。
私は万が一にも髪がかからぬよう、用意していたゴムで髪を首の後ろで一括りに結びますと、
はやる気持ちを抑えながら澄み切ったスープの中にレンゲを沈め一口飲んでみます。
ああ。その時胸に広がる喜びをなんと表現すればよいのでしょう。

丁寧にダシを取ったのが伝わってくる全く臭みも雑味も無いスープと醤油の香り。
恐らくですがこれはタレのベースに普通の醤油ではなく生醤油を使用しているものと思われます。

そして麺を一口すすり上げ口の中に入れた瞬間、私の意識は綺麗さっり消え失せて気がついた次の時には目の前には空になった丼のみが残されておりました。
あまりのおいしさに我を忘れるなどいつ以来の事でしょうか。
口の中に残る風味と胃の中に感じる心地よい重みが夢ではなかった唯一の証拠。
スープが残っていたのならば替え玉を頼むのですがスープまでも綺麗に飲み干したとあってはそういう訳にもいかず、かくして
「同じものをもう一杯頂けますか」
「はいーっもうひとつですねーっ」
となる事は必然と言ってもよいでしょう。

さほどの間を置かずして出された醤油らぁめんを再度堪能いたします。
先程とは違い適度にお腹も満たされた事でしっかりと味わう余裕が出てまいりました。
しかしこのおいしさの正体は一体何なのでしょうか。丁寧に作られたスープも絶品なのですがやはりこの麺が気にかかります。
微かな甘みを感じるこの麺は口の中へ入れる度に多量のスープを伴って参ります。この一体感は一体何を持って成し遂げられるものか。
少々行儀はよろしくありませんが、麺を一本だけ手に取り目を凝らして観察を続けようやくそれに気づいた時は知らずのうちに麺を持つ手が震えておりました。
まさか、これがそうだというのですか。
時折同好の士の間で話には出るもののその実在を確認した者は数えるほどにしか居ないあの、
伝説の、

121 アイマス×ばりごく麺
2013/02/07(木) 01:20:59.42 ID:lf2S5m+1

「龍鱗麺……」
まさかこのような場所で出会えるとは。

湯切りの段階であえて細かな傷をつけ、その傷にスープがからまる事で一体感を出す。
その傷がさながら龍の鱗に見える事から付いた名が龍鱗麺。言い伝えはまことでございました。
完全に技術によってのみ成されるこの奇跡を見た限りまだ30にも届かぬこのような方が会得しているのです。
その影に一体どれほどの時間と情熱を捧げてきたことでしょうか。

しかしながらいつまでも感激に打ち震えている訳にもまいりません。
いかようなラーメン、いえ、料理であろうとも冷めきる前に食すのは作ってくれた方への礼儀と存じます。
延びる前に、このおいしさが損なわれぬうちに食べなければ失礼というもの。
なのですが、
「不覚……」
想像以上に長く思案に沈んでいたようでスープは少しばかりぬるくなっておりました。
これしきの事で味が落ちる程度でもないのですがやはり不覚を取った事は否めません。
「どうぞ。これサービスです」
密かに落胆する私の目の前に差し出されたのは熱せられた鉄串に刺さったひとかけらの鶏肉。
それを青年は丼の中へと沈めました。
ああ、なんということでしょう。
熱せられた鉄串の温度と鶏肉によって冷めかけていたスープが新たな風味を伴って蘇ったではありませんか。
「かたじけのうございます」
肉の脂と醤油の焦げる香りがまた新たな食欲を呼び覚まします。
この香りに惹かれない日本人などおらぬ事でしょう。
ひとかけらの鶏肉も噛むほどに心地よい弾力と味の染み出してくる逸品。
二杯目も最後まで心置きなく堪能し、手を合わせて心より感謝の意を伝えます。

「大変おいしゅうございました」

お会計を済ませ外を見れば、雨はすっかりあがって太陽が顔を覗かせています。
外に足を踏み出した私と入れ替わるようにして一人の男性が店内に駆け込んで行き、続いて聞こえてくる威勢の良い声。
「イヨース朗馬! 腹減った! 痛快ラーメン食わせろーっ!」
「お久しぶりです麺太さん!」

はて、あの顔、麺太という名前。どこかで覚えがあるような……
はたと思い至りました。
榊原麺太。
ああ、成る程。彼がそうなのですね。
今すぐ取って帰ってお話をしたい衝動にも駆られましたががそれは野暮というもの。
もしも再度会う時が来たならばその時にお話をする事と致しましょう。

私は軽い足取りで散歩の続きを再開することにしました。

122 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2013/02/07(木) 01:26:44.99 ID:lf2S5m+1

以上投下終了。クロスオーバーもOKってんだからこーゆーのもいいかなーと。
1個だけ補足説明しておくとテボっていうのは麺を茹でる時に使う持ち手の付いた小さなザルです。
あれで一食分ずつ茹でるわけです。

次はもうちょっと速く投下できるよう頑張りますので。
それではこれにて失礼。

123 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2013/02/15(金) 00:46:29.94 ID:AexlMTxg

あーテステス。宣言通り早めに来ました。1レスで終わるの2つの短いやつですが。
以前、春香さんがプロデューサーさんと一緒の布団で寝ちゃう話を書きましたがアレをシンデレラガールズでやっってみようかなと。
そんな話です。

124 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2013/02/15(金) 00:51:10.76 ID:AexlMTxg

水の底から水面に浮かび上がってくるように、ゆっくりとした早さで意識が覚醒していく。
自分を、渋谷凛を思い出す。
飼い犬のハナコがエサを催促しようと吠える声も聞こえないし、シーツの肌触りも、枕の固さも、布団の重さもいつも感じている物とは違うことに気づいてようやく自分の居る場所が事務所の仮眠室であることを思い出す。

最近アイドルとしての活動は順調で仕事が増えてきたのは良い事だけど事務所の方針で成績上位とは言わないまでも勉強もある程度はこなすように言われていて、
仕事が増えた分学校にいられる時間は減ってきて、その分の遅れもどこかで取り戻さなければいけないわけで、
つまりは最近少しばかり寝不足気味だった。

バレンタインのイベントを終えて事務所に戻ってきたのがつい先程。時間を確認すると少し中途半端に時間が空いていて、
いつもなら近くまで買い物にでも出かけてみようとか考えたかもしれないけど今ばかりは睡眠を優先したのは仕方のないことだろう。
なんといっても人間の三大欲求の一つだし。
なんて誰も聞いてない言い訳をしながら仮眠室の布団を被ったのが最後の記憶。
自分の状態を思い出していると少しだけ機能するようになった頭がようやくそれに気づいた。

あれ。
おかしいな。
なんで、
プロデューサーの顔が目の前にあるんだろ。

わざわざ確認なんてしてなかったけど少なくとも自分が布団に入る前は誰も居なかったはずだから、つまりは自分が寝ている事にも気づかずこの人は布団に潜り込んでしまったのだろう。

(ホントに鈍いなぁ……色々と)

でも、考えてみればアイドルの活動が順調ということはそれだけプロデューサーが頑張っているからな訳であまり責める気にもならない。
それによく見れば目の下には隈が出来ているし髭も少し目立ち始めていた。
もう少しこのままでもいいかな。ただ見ているだけなのに不思議と退屈はしない。

やっぱり前言撤回。
ちょっとだけ悪戯でもしてみよう。
右手を布団の中から出して手を伸ばす。
頬に、肌に、髪にそっと触れる。
閉じられたまま瞼の下で眼球が動く。もうすぐ目が覚めるかな。

緩慢な動作で目が開かれて、結構長く固まった後、慌ててなにか言う前にその顔に触れて動きを止める。
「静かに。大声出したら皆来ちゃうよ」
驚きの声の代わりに深く息を吐き出して、色々考えてるのが丸解りの表情をコロコロ変えて音量を潜めて出てきた言葉は、
「悪い。眠たくて全然気づかなかった」
なんて台詞だった。もうちょっと気の利いたことが言えないのかな。
「別に気にしてないからいいよ」
そう、本当に気にしていないのだ。一緒の布団で眠った事なんて。
世間はバレンタイン一色で、つまりは季節は冬なわけで、そうすると外は寒くて布団から出るのが億劫で。
布団から出して冷たくなった右手をプロデューサーの手に握らせる。

「冷えちゃったから暖めてよ」

初めて繋ぐプロデューサーの手はあたりまえだけどやっぱり男の人の手で、時々繋ぐ加連や奈緒の手とは違うけれど優しい事に変わりはなくて、だから、
「時間までもう少しあるからさ、一緒にいようよ」

この優しい温もりに包まれて。
このまま、もう少しだけ。

125 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2013/02/15(金) 00:53:45.63 ID:AexlMTxg

比較的浅い眠りから木場真奈美は目覚めた。
ソファに座ったまま知らずのうちに眠っていたらしい。
目を開けず、とりあえず体に異常が無いことを確認する。
膝の上に重さを感じる。
その時点になってようやく目を開けその正体を確認する。

一人の男が自分の膝を枕にして眠りこけていた。
というか自分の担当プロデューサーなのだが。
並んで座っていたのが覚えている最後の記憶だったから、恐らくはもたれ掛かって眠っていた所でさらに膝の上に倒れ込んできたものと考えられた。
それだけの衝撃でお互いによく目を覚まさなかったものだと妙な所で感心する。

起きる気配のない無防備な姿に少々呆れもするが、大体のところは仕方ないかという感想だった。
体力に自信のある木場でさえうたた寝をする程度には疲れていたのだ。見るからに線の細いこのプロデューサーがこうなってしまうのも無理は無い。
生き馬の目を抜くこの業界で活躍のチャンスを見かけたら逃すまいと奮闘し続けるのは当然の話だが、今回はそれが続いてしまったのだ。
無論、その疲労と労力に見合っただけの見返りは得られたが少しばかり無理をしたかなとも思う。

もう一度その無防備な寝顔を見つめる。
頼りないという感想は初対面から今に至るまで変わることはなかったが、仕事と人格双方において信頼出来る事はこれまで共にした経験で十分に知っていた。

ともあれ大きな山場は越えたのだ。しばらくはゆっくり出来るだろう。
落ち着いたら最近台所に立っていないことを思い出して手が疼いてきた。

ああそうだ。今度予定を合わせて彼に手料理を振る舞ってやることにしよう。
なるべく栄養価の高くて美味しい物にしよう。
流石に今回ぐらいは健康的な生活の事についての小言は言わないでおこう。
誰にも気取られぬよう一人考えをめぐらせる。
きっと彼は喜んでくれるだろう。今からその時が楽しみだ。

「あら?」
近くを通りがかった千川ちひろがこちらの様子に気づいてプロデューサーを指差し声を潜めて聞いてくる。
「こんな所で寝てると風邪ひきますよ。起こしましょうか?」
その言葉に木場はゆっくりと頭を振ってちひろに告げた。

「彼を起こさないでくれ。死ぬほど疲れてる」

126 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2013/02/15(金) 00:56:01.13 ID:AexlMTxg

以上投下終了。バレンタイン? ん~何の事かなフフフ……
冗談はさておき毎度の事ながら少しでもクスッとでもしていただければ幸いです。
それではこれにて失礼。

127 創る名無しに見る名無し
2013/02/15(金) 02:23:10.92 ID:gHVV93M+

126
短いながらも、それぞれのキャラがにじみ出るSSお見事です。

つ~か、そこで木場さんですか。レアですねぇ。

128 創る名無しに見る名無し
2013/02/28(木) 01:32:12.67 ID:ekezQWHR

125 この木場さん声が玄田哲章じゃないですかやだー

129 96
2013/03/01(金) 23:33:32.95 ID:vgk3liQJ

前回の話を読んでいただきありがとうございました。
懲りずにまたシンデレラガールズで書いてみました。
少しでもお気に召せば幸いです。
4分割です。

130 1/4
2013/03/01(金) 23:35:09.74 ID:vgk3liQJ

秘湯

 プロデューサーは悩みを抱えていた。それは自分の担当しているアイドル、高垣楓に
関してだ。
 彼女は最近、どこか元気がないように見えた。ぼんやり考えごとをしていたり、彼の
方を見ては何度もため息をついたりしている。本人にそれとなく訊いてみても、
「いつもと変わらないですよ」という答えが返ってくるだけだった。
 デビューして一年近く、人気もそれなりに出て、仕事は順調に増えているし、人に
見られることにも慣れ、ステージでストレスをためているような気配もなかったので、
彼はいったい何が彼女をそうさせているのか、さっぱりわからなかった。
 以前は、彼女独特の子供っぽさの残るあどけない表情で、期待に満ちた目の輝きを
いつでも彼に見せてくれた。きっとそのまなざしは、この世界で上を目指していくんだと
いう気持ちの表われなのだろう、とプロデューサーはいつも思っていた。
 25歳という、アイドルとしては遅めのスタートを切った彼女は、最初から
とらえどころがないというか、何を考えているのか、あまりよくわからないキャラクターを
持っていた。よく言えば落ち着いた雰囲気、別な言葉ならたいていのことには動じない、
というタイプだったので、プロデューサーの彼はそれに翻弄され続けてきた。
 たとえば、プロデューサーが早出をして事務所で仕事をしていると、楓がやってくる。
彼はそれに気づいて声をかける。
「おはようございます、楓さん」
「おはようございます。プロデューサーって、早いんですね…ごめんなさい、男の方に
こういう言い方は失礼でしたね」
とまあ、こういう感じだったので、プロデューサーは彼女の話をどこまで本気にして
いいのかわからなくなることがよくあった。そんな我が道をゆく彼女の様子がおかしいと
いうのに、彼は担当プロデューサーとして、原因を特定することがどうしてもできなかった。
 だが原因がわからなくても、彼女の気分を楽しくさせることで、症状が改善できるかも
知れない。そう考えた彼は、お酒が好きな楓のために、旨い酒を置いているという、
評判の居酒屋に招待してみることにした。しかも、二日酔いになってもいいよう、彼女の
オフの前日を選ぶという周到さだ。
「プロデューサーが誘ってくれるなんて珍しいですね。とってもうれしいです。
…こっちの腕、貸してくれます?」
 楓は、彼の腕を引きながら、地面から足を浮かせるようにして歩いていく。居酒屋に
入ってからも、彼女の機嫌はとてもよかった。
「お酒って、一緒に飲んでいるのが、好きでもなんでもない人なら、ちっともおいしく
ないものですよね。ああ、おいしい…」とか、
「楽しいお酒って大好き…ねえ、プロデューサー、朝まで一緒にいてくれます?」と、
杯をかたむけるたびに彼女は饒舌になり、態度は柔和になっていく。
 彼の見る限り、作戦は成功しているようだった。ところが、さらに酒が進んでくると、
彼女の態度に変化が現われた。
「…プロデューサーは、私のことをちゃんと見てくれているんですか?」
「毎日見てるじゃないですか。朝から晩まで、仕事中ずうっと」
「そういうことを言ってるんじゃないんです。仕事は仕事、プライベートは
プライベートですよ?」
「今はプライベートじゃないですか。ちゃんと目の前にいますよ?」
「プロデューサーはちっともわかってません」と楓は言うと、またもやぐいっ、きゅー
と杯を空ける。続けて何杯か飲んだ彼女は、さらにプロデューサーを問い詰める。
「このままずるずるとアイドル業を続けていて、人生をしくじったら、プロデューサーの
せいですからね。ちゃんと賠償してもらいますよ」
「いや、そういうのは会社に言っていただけないでしょうか」思いもよらない攻撃に、
彼は及び腰になった。
「私の担当プロデューサーはあなたなんですから、ご自身で責任をとらないといけません」
「えーと、それはまた後日検討させてください」彼は話をかわそうとする。
「人の話をちゃんと聞いてます?」ぐいっ、きゅー。

131 2/4
2013/03/01(金) 23:36:00.44 ID:vgk3liQJ

 そして看板になると、彼女はふらふらしながら、
「…ここからだとプロデューサーの部屋の方が近いですよね。帰るのめんどうなので
泊めてください」
「なにを言ってるんですか。ほら、タクシー来ましたよ」
 タクシーの窓から、不満そうな顔をこちらに向けて突き出している楓を見て、彼は
自分の試みが失敗に終わったことを悟った。
 次に彼は、彼女のもう一つの趣味、温泉の方から攻めることにした。
 楓の温泉好きは、酒以上かも知れなかった。なにしろ、自分の手帳の中に、数多くの
温泉の名前を書き込み、行きたいところのランク付けをしているというのだから。手帳の
中身をちゃんと見せてもらったことはなかったが、楓が楽しそうに手帳をながめたり、
なにか書いたりしているのを、プロデューサーは事務所で何度も見かけていた。恐らく
行ったところを線で消したり、感想や印象を書きこんでいるのだろう。
「日本のは、ほとんどリストアップしてるんですよ」
というので、彼自身もPCで検索してみたが、あるわあるわ、まあよくもこれだけ日本に
温泉があると思うくらい、鉄道の駅なみに多かった。
 そのことを彼女に言うと、なになに温泉とか、なんとかの湯とかだけではなく、
細かいところだと、観光地の単なるわかしたお風呂とか、足湯しかないところとか、
そんなのまでいれてあるんです、と答えが返ってきた。ひょっとしたら、彼が
検索した数よりも手帳に書かれている方が多いのかも知れない。
「露天はもちろん大好きですけど、ひなびた観光地のなんでもないお風呂とかも
好きなんです」
 彼はそんな彼女の温泉好きを利用しようと考えた。最近では、地方からの仕事の依頼も
来るようになってきている。現地に温泉があるなら、そういうホテルや旅館を宿泊所に
選べば、きっと気に入ってくれるに違いない。
 遠征の当日、行く前に彼女にその話をすると、とてもよろこんでくれたので、彼は
今度こそうまくいくかと期待した。
「プロデューサー、そのホテルって、混浴のお風呂はあるんですか?」
「ないですよ。あっても現役アイドルが混浴の風呂になんか入ったらダメです」
「えー、つまんないです」
「つまんないとかそういう問題じゃないです!ファンに知れたらどうするんですか?」
「…人はファンのみにて生くるにあらず」
「は?」
「…なんでもありません」
 それでも彼女は現地に着くと、「温泉、楽しみですね」とうれしそうに彼に言ってくれた。
 仕事は昼前から夕方まで休みなしでずっと続いたが、楓はそれをなんのトラブルもなく
完了させた。ほっとしたプロデューサーは、楓を旅館の部屋に案内すると、隣合わせに
取った自分の部屋へ戻ってきた。ネクタイをゆるめ、座布団に腰を降ろして間もなく、
浴衣姿の楓が部屋のドアを開けて顔を出した。
「プロデューサー、お風呂ご一緒しませんか」
「ああ、楓さん、どうぞ行ってらして下さい。おれはここでまだ仕事が残ってますので」
 プロデューサーの目の前のテーブルには、すでに書類やノートが広がっている。
「お仕事は後まわしにしませんか?ほら、おたがい男湯と女湯に入って、仕切りごしに
お話でもしましょうよ。
『プロデューサー、そちらの湯かげんはいかがです?』
『気持ちいいですよ。そちらはどうですか?』…なんて、楽しくないですか?」
 楓は浴衣のたもとを口元に当て、面白そうに体を左右に揺すった。
「すみません、ちょっとこれだけやっておきたいので」
 楓の表情はとたんにつまらなさそうになり、ぱたりとドアが閉められた。温泉から
上がった後、楓は彼に顔を見せることなく自分の部屋にこもったままで、次の日
帰るときも、またぼんやりした表情のままだった。彼はまたも失敗を痛感した。

132 3/4
2013/03/01(金) 23:36:45.47 ID:vgk3liQJ

「どうしたらいいんだろうか…」
 プロデューサーは事務所の机に向かい、一人でぼうっとしていた。外はすでに暗く、
みんなはもうとっくに帰ってしまっている。仕事はたまっていたが、それを片付ける
気にもなれなかった。
 結局、お酒を飲んでも、温泉に入っても楓の元気が戻ってくることはなかった。彼は
途方に暮れていた。今はまだ仕事に影響は出ていないものの、この状態が続けば
それもどうなることか。
 プロデューサーは、イスからのろのろと立ち上がり、そばにあったソファに、どさりと
体を投げ出した。いまだに何の解決策も思い浮かばず、精神的にも疲れ切っていた。
 もう今日は帰って寝てしまおうか、それともどこかで酒でも飲んで帰ろうか…。彼は
この間、楓を連れて行った居酒屋へでもまた寄っていこうかと思った。
『帰るのめんどうなので泊めてください』
 あの夜の、冗談めいた彼女の言葉が思い出された。ちょうどタクシーが来たから
そのまま無事に帰ってもらうことができたが、もし彼女の言うとおり、自分の部屋へ
泊めていたらどうなっていただろうか。
「ここがプロデューサーのお部屋ですか。わりあいかたづいているんですね。
え?私がベッドを使ってもいいんですか?そんな、悪いです。…あの、もしよかったら、
プロデューサーもご一緒に…」
 彼はそこで想像をやめ、寝転がったままで頭を小さく横に振った。こんなことを考える
ようではダメだ。彼女は人気上昇中のアイドルで、自分はその担当プロデューサーなのだ。
きちんと線引きができなくてはいけない。
 だが彼にそんな想像をさせてしまうほど、楓には魅力があった。常識的な部分からは
少しはずれたところもあるが、そこもまた彼女の抗しがたい魅力の一つになっている。
 泊めるというのは極端にしても、もし自分の部屋に彼女が訪ねてでも来たら?
彼はその状況を頭の中でシミュレーションしてみた。情けない話だが、彼女に部屋へ
一歩でも踏み込まれたら、そのまま無事に帰す自信がまったくなかった。
 いや、要は彼女を自分の部屋に入れなければいいだけの話だ。それさえ肝に銘じて
守っていれば、どうということはない。第一、彼女が部屋へやってくる機会がそうそう
あるわけもない。
 大きく息を吸って目をつむり、彼は落ち着きを取り戻そうとした。やはり、彼女の
元気を回復させるには、これまで以上に酒の美味しい居酒屋を見つけるか、一般には
知られていない秘湯にでも連れていってあげないといけないのかも知れない。しかし、
今までの策が不発に終わっている以上、それは相当難しそうに思えた。
 温泉のことを考えた彼は、人知れずひっそりと、しかしこんこんと湧く露天風呂と、
そこでお湯につかっている楓の姿をつい連想してしまった。髪をアップにした彼女の
肌は上気してピンク色に染まり、彼が最近ずっと見ていない、あの子供のような
あどけない表情をたたえている。
 彼は渇望していた。彼女のあの表情がまた見たい。自分の心をうずかせる、あの
あどけない表情と、期待に満ちた目の輝きを。
 プロデューサーはしばらく思い出をなつかしむように、ぼんやりとその想像に
ひたっていたが、その想像の中の楓が、いきなり彼に話しかけた。
「まだお帰りじゃなかったんですか?」
 目を開けると、楓の顔がすぐ前にあった。彼は驚いてソファからころげ落ちそうになった。
「顔が赤いですよ。なにかよからぬことでも考えてたんですか?」
 ソファに向かってかがんでいた楓はふふふ、と微笑んで体を起こした。
「い、いえ、なんでもありません。ちょっと仕事のことを…それより、楓さんは
どうしてここへ?」
 彼はいそいでソファに座りなおした。

133 4/4
2013/03/01(金) 23:37:26.14 ID:vgk3liQJ

「通りがかりに灯りが見えたので、どなたかまだいらっしゃるのかと思って」
「そ、そうですか。じゃあ、ついでに来週の予定の確認でも…」
 彼はすばやく仕事モードにシフトチェンジした。楓も彼の隣にかけ、予定をメモする
ため、持っていたポーチから自分の手帳を取り出した。180度近くに開かれたその手帳の
中が、ちらりと彼の目に映った。
「へえ、おれの名前と一緒の温泉なんてあるんですね」
「え?」楓はびっくりした顔になった。
「あ、いや、すいません、今ちらっと見えちゃったんです。どこどこの湯、とかいろいろ
書いてあったのが」
「…」楓は無言で手帳の角度を少しせばめた。
「けど、赤丸でぐるぐる印をつけてたところをみると、行ってみたいランクのかなり
上位にくる温泉ですか?」
 楓は手帳を閉じた。
「…そうですね、ぜひ泊まりがけで行ってみたいところです」
「遠いんですか?」
 楓は少し上目づかいになって、彼の顔を見た。
「…そうでもないです。ただ、なかなか行く機会に恵まれなくて…温泉っていうより、
お風呂なんですけど」
 その瞬間、彼の頭の中に電光がひらめいた。これだ。行きたくてもなかなか行けない
場所なら、それこそ本人にとっては秘湯と言えるのではないか。そこへ連れて行って
あげたらどうだろう。
 それほど遠くないということだし、オフの日を利用し、車で送って、彼女には一晩そこで泊まって
もらい、次の日また迎えに行けばいい。彼女と一緒に泊まる訳じゃないし、単なる
往復の運転手としてなら、なんの問題もないだろう。うん、これならいける。幸い、
来月のスケジュールなら、今から二日くらいの休みを組むことができるはず。
「よし、じゃあ次のライブでいい成績をとれたら、ごほうびとして、オフの日におれが
そこへ連れていってあげる、っていうのはどうです?」
 こんな時にも彼は仕事をからめるのを忘れなかったが、それを聞いた楓の目の中に、
みるみる精気が満ちてきた。
「いいんですか?」
 以前よく見せてくれた、あの子供のようなあどけない表情と、期待に満ちた目の輝きが
彼女によみがえった。仕事へのやる気も、今まで以上に感じられる。彼の心は再び
うずき始めた。渇きも急激に満たされていく。
「ええ、もちろんです。まかせてください!」彼は満足げに自分の胸をたたいたが、
誤解のないようにと、すぐに付け加えた。
「えーと、おれはそこへの送り迎えだけですけど、問題ないですよね?」
 なにがおもしろかったのか、楓はくすくす笑いながら答えた。
「はい、私がお風呂につかっている間は、どうぞご自分のベッドで待っ…お休みに
なっていて下さい」
「おれもその時は休みを取りますから、ゆっくりさせてもらいますよ」
彼は安心してほっと息をついた。
 楓は小指を彼に向けて差し出し、例のあどけない表情に、いたずらっぽい笑みを
加えたまま「約束ですよ?」と言った。



end.

134 レシP </b>◆KSbwPZKdBcln <b>
2013/03/13(水) 20:01:54.27 ID:vomf1IoT

規制解除ー!……は少々以前だったのですが書き上げるのにいささか時間が。

こんばんわレシPでございます。
ひさしぶりに書きあがりましたので投下しにまいりました。
今回は律子で『FIVE DOORS』というタイトルです。本文6レス。

ぷちますCDの『WEDDING BELL』を聴いてちょっと切なくなってしまいました。
みなさまが幸せのベルを鳴らせること、お祈りしております。

ではまいります。

135 FIVE DOORS(1/6) </b>◆KSbwPZKdBcln <b>
2013/03/13(水) 20:02:34.94 ID:vomf1IoT

「みんな、おはよう。だいたい揃ってるわね」
「えっ?」
「り、律子!」
 朝から今しがたまで飛び回っていて、部屋らしい部屋でひとところに落ち着く
チャンスがなかった。
 ある意味本日一枚目となる、招待客控え室のドアを開けると、アイドル仲間
たちが一斉にこちらを見た。みんなそれぞれにおめかしをして、ふだん事務所で
見るより何歳か大人びて見える。
 私はここに現れない……そうみんな思っていたみたいで、全員の目が丸く
なるのに少しだけ複雑な満足感を覚えた。
「……律子あなた、ここでなにをしているの?」
「なにって千早、そんなの決まってるでしょ?」
 どんな顔をしていいかわからないという表情のまま質問された。
「私はプロデューサーなんですからね、『うちのプロデューサー殿の結婚式』の。
参列者の状況を確認しにきたのよ」
「プロデュースって……冗談だとばかり思ってたわよ。あんたってば正気?
ここに来ていよいよおかしくなっちゃったんじゃないの?」
「ふむ、すばらしいツッコミだわ伊織。でも今あんたの相手をしてる暇はない
のよね。ここにいない人たちは?」
「……連絡は貰ってるわ。ともかく全員到着してる」
「そう、ありがと」
 みんなも不安げな顔を見合わせている。それはまあそうだろう、でも、詳しく
説明するだけの時間がないのも本当。
「まあ、とにかく来てくれてありがとうね。私、披露宴と式場のセッティング
見てこなくちゃならないから、またあとで」
「律子、わたくしも解せません」
「なによ、貴音」
「式のプロデュースなどしている場合なのですか?あなたは、その当の
プロデューサー殿に」
「そこまで。お願いね」
 食い下がる言葉を、あくまで冷静にとどめた。
「これは、あくまでビジネスよ。プロデューサー殿の一世一代の晴れ舞台を、
私の手で最高の思い出にしてあげる。これまで私を育ててくれた恩返しも込めて、
いわば私のプロデューサーとしてのデビュー戦なんだから」
 周囲を見渡しながら、精一杯の笑顔を見せる。
「普段裏方でいる彼が生涯最大の幸せを手にする瞬間くらい、あの人を表舞台に
立たせてあげたいじゃない?いいからまあ、黙って見ててよ」
「あふぅ」
 人垣の向こうから、気の抜けた吐息が聞こえた。それでも立ち上がって顔を
見せるのだから、彼女にしては良くやっているのではないか。
「ハニーのウエディングをプロデュースなんてすごく楽しそうだよね。ミキは
いいんじゃないかって思うな。こんなの考えること自体が、実に律子らしいの」
「こーら、美希。目上の人には?」
「うっ……律子、さん、らしい、の、ですっ」
「よろしい。それから『ハニー』も、さすがにもう封印しなさいよね」
 実は美希にはプロデュースの件を伝えていた。正確にはつきまとわれすぎて
バレた、というのが本当なのだけれど、その時にも援護を約束してくれた。いつもの
ままの言動にしては幾分赤くなっている目に、心がちくりと痛んだ。
「律ちゃあん……ホントにムリしてない?」
「真美も心配だよぉ」
 今度は鏡写しの同じ顔だ。

136 FIVE DOORS(2/6) </b>◆KSbwPZKdBcln <b>
2013/03/13(水) 20:04:04.25 ID:vomf1IoT

「亜美、真美、私は大丈夫。むしろあんたたちが勤めるブライズメイドは頭に
入ってるの?」
「それは大丈夫だよ。亜美たちレッスン時間も使ってモートックンしたんだから」
「それならいいけど……ん?レッスン時間ですってえ?」
「うあうあ亜美のバカっ」
「ぎゃーヤブヘビだったああっ」
 こんなときだからこそ公私はちゃんと分けろとあれほど言ったのに。とはいえ、
本当に時間が厳しい。
「まーいいでしょう。その代わりこの先のレッスンが予定通りになってなかったら
覚えてなさいよ?」
 言い捨てて部屋を駆け足で出た……出ようとした。
「あ、あのっ!律子さん!」
 その背中に、元気な声が追いすがってくる。
「やよい……」
「わたし、こういうときのことよくわからないですけど……あの、頑張って
くださいねっ!わたしたちも、みんな応援してますから!」
 ぎゅっと握った両手が、彼女なりの戸惑いなのだろう。こちらを見つめる瞳が、
それを乗り越えて今の言葉を発したのだろう。
 やよいだけでなく、みんな似たような心もちなのだろう。だからこそ私も、
ぼんやりしているわけにはいかないのだ。
「ありがとう。披露宴ではおおいに盛り上げてね」
「はいっ!」
 いつものように掲げてくれる右手には逆らえない。走り出したがる足を止めて
振り返り、大きなモーションでぱちん、と手を合わせた。

****

 本当は呼ぶべき人間は山ほどいたけれど、予算や立場や事務所の格的にも
あまり大仰なことはできなかった。控え室から宴会場まで駆け足で移動しながら、
でもこの短距離走で済む規模のハコでよかったかな、とひとりごちた。
 結婚式には、両家からトータル50人くらいの招待をすることになった。社長は
もっとたくさん呼びたかったようだけれど、逆に縁故者や取引先をリストに
入れ始めるとその人数は倍やそこらでは済まなくなってしまう。
 腰に下げた携帯が鳴り、相手も見ずに耳に当てる。
「はいプロデューサー、準備はできてますか?」
『あ、ああ。こっちはOKだ、律子』
「そうですか、よかった。この先の段取りは式場の方が説明してくださいます
から、ちゃんと聞いておいてくださいね」
『おう、了解。それより律子、お前』
「私の方は大丈夫です。どうかご心配なく」
 それ以上なにか言われてもこちらが困る。私は電話を切り、先ほどから数えて
二枚目の大きなドアを開けた。
 ホテルの宴会場はもちろんパーティのセッティングが終わっていて、真っ白な
テーブルが料理とお皿、グ ラ スたちの並ぶ瞬間を待っている。会場の真ん中、
いちばん奥に高砂の席、そこからこちらに向かって扇型に参加者の丸テーブルが
広がり、座席も極力高砂に向くよう配置した。主役とはいえあまり派手派手しい
のを好まない新郎新婦は、スモークやゴンドラなど使わずオーソドックスに
後ろの扉から登場する算段だ。
「律子!」
「うわ、ホントに来たっ?」

137 FIVE DOORS(3/6) </b>◆KSbwPZKdBcln <b>
2013/03/13(水) 20:05:30.79 ID:vomf1IoT

 控え室の誰かと電話で話をしていたのだろう、驚いたような声は真と響だ。
二人とも普段は活動的ないでたちだけれど、今日ばかりは可愛らしいきらびやかな
装いを競っている。
「わあ、二人とも見違えたわね。まるで女の子みたいよ」
「む、いきなりシツレーだな」
「もうっ、余計なお世話だよっ」
「あはは、冗談よ。二人とも素敵なプリンセスになったわね」
「それはどうも。それより、律子、あの」
 真の視線が揺らいでいる。
「今日は……その、なんと言っていいか」
「おめでとう、でいいじゃない」
「だって律子、結婚式のプロデュースなんてやってて……いいの?ほんとに」
「そうだぞ!律子ほんとはそれどころじゃないはずだし!」
「まあ……確かに、体がもう一つくらいあればよかったのに、とは思ってるけど」
 今回のプロジェクトをほぼ秘密にしていたのは現場の、もっと正確に言えば
アイドル仲間の混乱を避けるためだった。こうして式当日になってしまえば
今さらどうしようもない。
 結局、その方がみんなを心配させるリスクも減らせるし……私自身も、予定が
詰まっていれば気が紛れる。
「でもね、このくらいじゃないと『仕事してる』って感じもしないのよね」
「それはもうビョーキの域だぞー」
「……まったく、律子はしょうがないな」
 響はまだ心配そうだけど、真はなんとなくわかってくれたようだった。
「いいよ、律子がそれでいいんなら」
「真?」
「大丈夫だよ響、きみも感じてはいるんだろ?律子が楽しそうなの」
「う、うん」
「結局こうしないと気が済まない人なんだよ。自分できっちり決着をつける、
それが律子の流儀なのさ」
 説明するその声音も温かく、聞いている響だけでなく私の胸にも沁みてくる。
不覚にもウルっと来そうなのを抑えているうちに、響が大きくうなずいた。
「ん、わかった!自分、律子を応援するぞ!」
「ありがと。やっぱりあんたたちは話が早いわね」
「でも、なにか大変だったらなんでもするから、すぐ言ってね?」
「うん、ボクも協力する!」
 二人だけでなく、みんなをずいぶんやきもきさせた自覚はある。今日のこの件
にしても、自分自身ずいぶん悩んだ。
 それでも、この仕事だけは誰かに譲る気になれなかった。
 プロデューサーの結婚式。他の誰でもない、私が彼を祝福してあげずに、
どうして二人が幸せをつかめるというのか。これは私の責任であり、プライド
であり、願いなのだ。
 この気持ちのいくばくかでも伝わって欲しいと願いつつ、二人に言う。
「助かるわ、最高の援軍ね。……じゃあ、さっそくだけど」
「えっ?」
「さ、さっそくって……あ」
 ちょうど、横から足音が聞こえてきたのだ。今でなければいくらでも相手して
やるけど、私は打ち合わせをこなさなければならない。
「いた!律子さん!」
「り、律子さぁんっ!」
 そちらに顔を向けると、泣き出しそうな不安顔が二つ。

138 FIVE DOORS(4/6) </b>◆KSbwPZKdBcln <b>
2013/03/13(水) 20:07:23.81 ID:vomf1IoT

「春香も雪歩も、ドレスで走り回ったらはしたないわよ。真、響、この二人の
相手をお願いね」
「それより大変なんです、律子さん!」
 他の子たちと似た状況だと思い、こう言ってかわそうとしたけれど、どうも
春香の必死さが違う。
「……なにかあったの?」
「あずささんが、行方不明なんですっ!」
「なぁんですってっ?」
「ひぃっ、ごめんなさぁいっ」
「……あ、いやいや、雪歩が謝ることないじゃない」
 そういえばここまでのどこでも見かけなかった。
「何日か前のメールでは仕事の関係で、少し早く式場入りしているということだった
けど……そうね、まず敷地内を捜索して、式場のスタッフの手も借りられれば」
「律子、ストップ」
 反射的に重要案件に取り組み始めたら、真が言った。
「律子には大事な仕事があるでしょ?あずささんのことは、ボクたちにまかせてよ」
「うん、そうだぞ。自分たちだけでなんくるないさ」
 響がさらに言葉をつなぐ。
「春香、雪歩、みんなで探そ?」
「あ……うん、そうだね、そうだよね」
「こんな時まで律子さんに頼っちゃダメですよね」
 四人の笑顔が、私の背を押す。私も、みんなに負けないように笑顔を浮かべた。
「ありがとう、あずささんをお願いね。私も、移動中は気をつけておくから」

****

 式まではあと少しだ、電池ももつだろうとグループトーク回線を開きっぱなし
にしてイヤホンマイクをつけた。披露宴の最終確認を終え、チャペルへ向かう。
『こちら中庭、やっぱりみつかりませえん』
『1時間くらい前に地下のショッピングモールで目撃されてたぞ』
『それだとまた移動しちゃってるな。春香、そっちは?』
『うん、ついさっき他の式の参加者の方が、見かけてサインもらったんだって。
ねえねえ聞いてよ真、私もサインさせてもらっちゃったっ』
『どうでもいいわよっ!だいたい当のあずさが圏外ってどういうわけなのよ!』
 おっと。
 控え室にいた面々も捜索に参加してくれているようだ。がやがやと会話が錯綜
するのを、少し前の事務所のようだと懐かしく思いながら三つめの、チャペルの
重厚なドアを押し開ける。
「……あ」
 高い天井の静謐の奥は、あたたかい陽の光を受け入れる全面窓だ。逆光になった
祭壇と十字架、その下にたたずむ影は手を前に組み、宙空に吊るされた博愛の象徴を
静かに仰ぎ見ている。
 一瞬その絵画のような風景に気圧されるが、思い直して声をかけた。
「……あずささん」
「あら、律子さん」
 ゆっくりと振り向き、天真爛漫な笑顔を私に咲かせる。
「やっぱり、教会って神聖な雰囲気になるわねー」
「なあに言ってるんですかっ!みんなで探してたんですからねっ」
「あ、あらぁ」
 この一喝で、みんなにも発見の報が伝わったようだ。アプリを閉じ、ゆっくり
彼女に歩み寄る。

139 FIVE DOORS(5/6) </b>◆KSbwPZKdBcln <b>
2013/03/13(水) 20:09:04.64 ID:vomf1IoT

「勘弁してくださいよ、あずささん。ご招待客が先に祭壇に上がってるとか、
神様びっくりしますよ?」
「それもそうね、ごめんなさい律子さん。神様に、わたしにも早く運命の人が
現れますようにってお願いしたかったの」
「ちゃんと聞いてくださってますよ、きっと。今じゃないってだけです」
「そう願っているわ。ありがとう、律子さん」
「携帯はどうしたんですか?」
「ああ、チャペルに入るから切っちゃってたわ……と、わ、あらら」
 電源を入れたとたんに怒涛の着信が入る。彼女にはチャペルから動かないように
身振りで伝え、迎えを待たせて私はスタッフと話をしに行った。ここの従業員は
優秀だ、希望していたことのほとんどが準備完了しており、理想的なタイムワークが
できそうだ。
「ん、チャペルもOK、っと。……これで」
 これで、私のブライダルプロデューサーとしての仕事はほぼ完了。内心の動揺を
隠しつつ独り言。ついでに、小さく深呼吸した。
「あと一カ所か。ふうっ」
「律子さん」
 通り過ぎしな、人待ちをしているあずささんに声をかけられた。……この人は
こういうところがすごい。
「大変な仕事を、お疲れ様。あとは最後の仕上げね」
「……ええ、あずささん」
「頑張ってね。わたしもみんなと応援しているわ」
 チャペルを出て、そこからほど近い場所へ通路を進む。最後の仕事は、もちろん
ここだ。
 ……新婦控え室。

****

 おごそかに本日四枚目のドアを開け、入室した。
 両親と話していた小鳥さんがこちらを向く。影のように付き添っていた社長も
気づいた。
「律子さん。準備、終わりましたか」
「はい。これで、もう思い残すことはないです」
 その言葉で、小鳥さんの表情が和らいだ。
「……よかった。じゃあ、あとは本来のお役目を全うしてくださいね」
 本来の役目とは、もちろん。
 小鳥さんの後ろで、両親も……私の父と母も、静かに頷いた。
「あらためて言わせてください。おめでとうございます、律子さん。どうか
プロデューサーさんとお幸せに」
 本来の役目とは、そう……プロデューサーと並んで永遠の愛を誓う、彼の花嫁。
「私のわがままでいろいろご迷惑おかけしました。私の両親、変なこと言いません
でしたか?」
「そんなこと。あ、それより聞いてください律子さん、こんど商工会青年部の
決起大会にわたし、呼んでいただけるんですっ!」
「はあ?」
「名目上は受付事務と司会進行のお仕事なんですけど、その後の懇親会でわたしの
こと紹介していただけるんですって!仕事に一途なイケメン揃いだって聞いて
もう夢が広がりまくりんぐなんです律子さんっ!」
「ああ……それは……よかったですね」

140 FIVE DOORS(6/6) </b>◆KSbwPZKdBcln <b>
2013/03/13(水) 20:10:52.34 ID:vomf1IoT

 呆れたような顔をしてみせたけれど、内心はいつも通りの彼女を頼もしく感じた。
 あまりの大舞台に不安のあまり、ただでさえやることの多い新婦の身でありながら
体を動かさずにいられなかった私なんかとは肝の座り方が違う。おかげで私の到着
まで、両親の話し相手を勤めてくれた。
 私はこうして、みんなの支えがあってようやく立っているありさまだ。
プロデューサーもこんな女のどこがよかったのかといまだに思うが……迷うの
だけはもうやめた。
 携帯の着信に気づくと、伊織からのメッセージだった。『直接言いたいことが
あるから、もう一度グループトークに入れ』と言う。
「さあ、律子さん」
 液晶を覗き込んでいた小鳥さんに促され、おずおずとアプリを操作し、耳に当てた。
『来たわね律子。もう気は済んだ?』
「はいはい、お騒がせしたわね」
『まったくよ。花嫁が自分の結婚式プロデュースするなんて前代未聞だわ。でも』
 伊織はそこで一息ついた。
『あんまりびっくりしたから、肝心なことを言い忘れちゃったのよ。みんなもね』
『ええ。ねえ、律子』
 普段のクールさを押さえきれない、興奮まじりのビブラートが。
『律子』
 カッコよく決めたつもりでも、語尾の震えている強気な呼びかけが。
『律子』
 一見ミステリアスな、それでいて確かに温かな思いやりが。
『律子、さんっ』
 無邪気でいながら思慮を重ねてきた天性の力強さが。
『律ちゃん』
『律ちゃんっ』
 息の合った、でも最近はわずかに個性の垣間見えるユニゾンが。
『律子さんっ!』
 パワフルでまっすぐな、太陽のような元気のかたまりが。
『律子っ』
 何事にも全力で取り組むエネルギーの結晶が。
『律子ぉ!』
 困難も苦境もものともしない、生命力のほとばしりが。
『律子さんっ』
 春の太陽のように体を温めてくれるぬくもりが。
『律子さん』
 さながら冬を乗り越える雪割草の可憐さと芯の通った強い意思が。
『律子さん』
 不安や心の揺らぎをやさしく包み込んでくれる、柔らかく大きな心が。

『ご結婚、おめでとう』

 私の背中を押してくれる。
 ここで微笑んでくれる小鳥さんや、社長もそうだ。
 私は、この人たちの想いとともに、次の扉を開くのだ。

「うん。ありがとう、みんな」

 プロデューサーと二人で、未来への扉を開くのだ。五枚目の……幸せに続く扉を。
 涙がこぼれないように、このぬくもりを取り落とさぬように。
 大きく目を見開いて上を向き、そうして私はみんなにお礼を言った。





end

141 FIVE DOORS(あとがき) </b>◆KSbwPZKdBcln <b>
2013/03/13(水) 20:13:33.26 ID:vomf1IoT

以上です。ありがとうございました。
ちょっとした叙述トリックに挑戦してみました。言うだけならタダだw
だいぶ以前、春香の結婚ネタでどんでん返しを見事に決めておられた作品が
ありましたので、つたないながらリスペクトさせていただきました。



と、気づけばシンデレラの面々が百花繚乱じゃないですか。

126
凜ちゃんはいたずらっ子ですなあ。その振る舞いから年に似合わず落ち着いて
いるとみんなに思われてる彼女ですが(ラジオでもそんな感じですね)
ほんとのほんとのたとえばこーいう時なんかはどーなのよ、と思ってしまいます。
独白にすら現れない、意識もしていない鼓動の高まりなど期待してしまったり。

そして木場さんは な ぜ 殺 た し

クスッどころか盛大に吹きましてございます。



129
もう3年も前ですよ!いや閑話休題。
楓さん、いいっすなあ。
シンデレラガールズのおかげでオトナなアイドルが大量加入しておっさんご満悦
でございます。
Pのすっとぼけっぷりは王道ながら、コレ完全に既成事実狙いじゃないですかやだー。
これは後日談が楽しみですねw



お騒がせしました。
それではまた。

142 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2013/03/26(火) 02:36:46.58 ID:+rhti03Q

あーテステス。また来ました。上で凛の書いたから奈緒と加蓮も書いた方がいいかなー
とかで似たようなネタで書きました。短いのでお気軽にどうぞ。

143 奈緒編
2013/03/26(火) 02:43:25.64 ID:+rhti03Q

神谷奈緒は困っていた。
非常に困っていた。
今現在自身の置かれた状況から抜け出す術が思い浮かばず、散々悩んだ末に結局、隣の部屋に居るはずの友人に助けを求めるべく手元の携帯でメールを送ることにした。



「おりょ、奈緒からメールだ」
「加蓮にも来たの?」
「ってことは凛にも?」
はて、と二人は顔を見合わせる。
共通の友人である神谷奈緒が怪しげな足取りで隣の仮眠室に入っていったのがつい先ほど。
そんなに眠いのならさっさと家に帰ってから寝たらいいのにと言ってみたところ、返ってきた返答は、
「少し仮眠取らないと絶対電車の中で寝過ごすから」
であった。
この後は特に予定も無く、先に帰っても良かったのだが誰も居ない中一人で帰るのは寂しかろうと二人時間をつぶしている最中の事。
さて何事かと携帯を開いてみれば文面にはシンプルな「たすけて」の4文字のみ。
けれども二人は文面の切実さとは裏腹にやれやれとでも言いたげに立ち上がると隣の仮眠室へと足を踏み入れた。



電気の落とされた暗い室内を見渡すべく薄明かりをつけて二人は部屋の中に入ると、ベッドの中で頬を赤く染めたままんじりともせずにこちらを見つめる奈緒が自分の腰の辺りを指さしていた。
かけ布団を少しばかりめくってみると、奈緒の腰に誰かの手が回されている。
大体想像はつくが、この手の持ち主が誰なのか確認すべく布団をはぎ取る。
「「あー」」
思わず声が漏れる。
二人の予想した通り、奈緒の担当プロデューサーが彼女を後ろから抱きしめるようにして安らかな寝息をたてていた。
わかりやすく言えば、抱き枕状態である。
「なんでこんなことになってるわけ?」
「アタシもプロデューサーがいるなんて気づかないまま布団に入ってさ、そのまま寝てたらこうなってた」
布団の中に誰か入っていたら普通気づく物ではないのだろうか。いやしかし眠気も限界に近ければ見落として仕舞うこともあるかもしれない。
前例もあることだし。
加蓮は少しばかり呆れたように奈緒を詰問する。
「で、助けてほしいってのは何?」
「いやだからさすがにこれは色々まずいからどうにかしてくれないかなと」
「起こせばいいじゃん」
「いやだって疲れて寝てるのに起こすのもちょっと気の毒じゃないか」
「じゃあそのまま一緒に寝てればいいんじゃない? 別に変な事はしないんでしょ」
「変な事って……確かににそうだけどさぁ……」
そこで見物人と化していた凛が一言。
「てゆーかさ、こんなに近くで話してたらプロデューサー起きてるでしょ」
「えっ」
口をパクパクさせながらゆっくりと奈緒が後ろを振り返る。
プロデューサーはしっかり目を開けてからからと笑っていた。

144 奈緒編
2013/03/26(火) 02:45:20.01 ID:+rhti03Q

*ソレカラドウシタ*

「もーいい。寝る」
ひとしきり謎の言語を叫びながら枕を叩きつけてようやく落ち着いたのか布団をすっぽり被って不機嫌を隠そうともせずに奈緒は呟く。
ちなみにいつ起きるかなんてどうでもよくなったので凛と加蓮には先に帰って貰った。
「ゴメン。少しからかい過ぎた」
そう言い残して去ろうとするプロデューサーの服を掴んで引き留める。
「奈緒?」
「何日、家に帰ってないんだよ」
「ちょっと数えてないなぁ。まだ話せないけど結構大きい話があってそっちにかかりっきりでさ」
薄暗かったから解らなかったが、明るい場所で見るプロデューサーの顔は漂白されたように真っ白だった。
どれだけ疲れていたのだろう。少なくとも、自分が入ってきた事にも気づかない程には熟睡していたはずなのだ。
「いいよ。眠いなら寝てて」
怒ったのは、からかわれたからであって、抱き枕に代わりされたからじゃない。
だから、
「アタシはこっち、プロデューサーはそっち、ただし、こっちは向かないようにな」
二人背中合わせになって横になる。
一緒の布団で眠るくらいは別に構わないのだ。
体は正直なもので、あれだけ騒いでも直ぐに眠気が押し寄せてくる。
ただ、やっぱり顔を合わせるのは照れくさいから、
今はまだ、
背中に体温を感じるぐらいで、
背中が暖かいぐらいで丁度いい。
でも、
いつか、ちゃんと正面から見る事が出来ますように。

145 加蓮編
2013/03/26(火) 02:47:32.54 ID:+rhti03Q

ピピピピッ。
聞き慣れた電子音と共に取り出した体温計の表示は37.5度。
幾らか症状は治まってきたとはいえまだまだ立派に風邪の真っ最中だった。
(最近は調子よかったから油断してたなぁ……)
実際に数字として見てしまうと体調も幾分悪化したような気がしてしまい、見慣れた天井を見上げてため息をつく。
昨日からずっと横になっていたので眠気もすっかり無くなっていたが、かといって何が出来るわけでもなく結局おとなしくしているしかないと観念して再度の眠りについた。



何度目かの緩い覚醒。
ふと、視線を感じて首だけを動かしその方へ向ける。
プロデューサーが椅子に座ってこちらを見ていた。
「……変態」
「酷い言いぐさだ」
「女の子の寝顔をずっと見てるなんて変態以外の何者でもないじゃない」
来てくれた事は嬉しいと思うけれどこれぐらいの憎まれ口は許して欲しい。寝顔を見つめられるなんて男の人が思っている以上に恥ずかしい事なのだ。

「どれぐらい前に来たの?」
「今来たばかりだ。ひょっとして起こしたか」
「ううん、大丈夫。昨日からずっとベッドの中であんまり眠くないから」
寝ていた体をを起こしてもまだ少しふわふわしてる感じがする。
「そっか。体の調子はどうだ」
「退屈に思えるくらいには回復してきたよ」
「なら良かった。そうだ、後で凛と奈緒も来るって言ってたぞ」
「来なくてもいいってメールで言ったのにみんな大袈裟過ぎ。もし風邪が移ったりしたらそっちのほうが大変なのに」
とは言ってみたものの加蓮自身にも仕方のない事だという自覚はある。
「加蓮の場合は昔の事があるからな」
「おかげ自分の心配する分が無くなっちゃいそう」
「2人とも、それだけ心配してるんだよ」
「プロデューサーも心配した?」
「俺は昔の加蓮を聞いた話でしか知らないからな。それでも、もしかしたらってのは少しあった」
「ふふっ。ありがと」
家族以外にも心配してくれる人が居る。その事実は少しだけ申し訳ない気持ちと、それ以上の嬉しさがある。
「さてと。そろそろ行くよ」
「もう行っちゃうの?」

146 加蓮編
2013/03/26(火) 02:49:18.91 ID:+rhti03Q

あれ、
普段はこんな事言わないのに、やっぱり私弱ってるのかな。
そういえば、アイドル始めてからはいつも誰かと一緒だったから一人っきりって久しぶりかも。
「年頃の女の子の部屋に二人っきりってのはあまりよくないだろ」
なるほど確かにその通りではある。その通りではあるのだがつい今し方弱っている事を自覚した加蓮としてはもう少し甘えても許されるのではないだろうかと思う訳で。
「じゃちょっとこっち来て」
ベッドの中から手招き。
「ハイハイ」
って呆れながらでも律儀に頼み事を聞いてくれるのは嬉しい。
「もうちょい近く」
「これ以上ってお前無理──」
「ていっ」

腕を掴んでベッドの中へ引きずり込む。
バランスを崩した体は案外簡単に動かせた。
ご丁寧にちゃんとかけ布団までかけてあげるおまけつきだ。

息がかかるぐらいの近い距離にお互いの顔がある。
口を開く前に言葉を被せて何も言わせない。

「ねえ」

これは、熱で少しぼやけた頭だから出来る事だ。
いつもならこんな事は出来ない。
いつもならこんな事は言えない。

「私は、ずっとここにいたんだよ」
残された時間を数えながら、不安に押しつぶされそうになりながら、冷たいベッドの中で震えていたんだよ。

体を治してくれた訳ではないけれど、
新しい世界を教えてくれた貴方の事が、
私を想ってくれる貴方の事がこんなにも愛おしい。
この言葉はまだ口にはしないけれど、
ただ、今だけは。
小さな不安の欠片がどうしても消えない今だけは。

「眠るまででいいから、ここにいて」

一人ではないと信じさせて。
人が温かい事を確かめさせて。
どうか、そばにいて。

147 創る名無しに見る名無し
2013/03/26(火) 02:52:00.51 ID:+rhti03Q

以上投下終了。改行多過ぎとか表示されてちょっとgdgdになったけど見逃して。
時間が時間なのでレス返しはまた後ほど。それではこれにて一旦失礼。

148 創る名無しに見る名無し
2013/03/26(火) 23:42:18.24 ID:+rhti03Q

127 レアってーか木場さんわりかし大概の事には対応してくれるんで個人的にはかなり扱いやすい部類に入ります。

128 いやあ気づいてくれる人が居てよかったよかった。

129 アチャー。プロデューサーさん言質取られちゃったかー。
この後が楽しみのような怖いような。

134 なんといいますかこのキャラならこういう行動になるよねてな所にストンと落ち着いてくれる安心感とか、
タイトルにもあるドアの使い方とか最後の皆からの呼びかけとかスイスイ読み進められるテンポの良さに毎回感心させられております。

それから保管庫更新しましたので皆様確認お願いいたします。
それではこれにて失礼。

149 創る名無しに見る名無し
2013/03/27(水) 06:33:02.70 ID:mExzCzM6

 この冬一番の寒波が街を襲っていた。早足で暖の取れる家へと急ぐ人々と心持ち重い足取りで寒さに耐えながら歩を進める人々に分かたれた雑沓というにはまばらな人影、その後者の中に二人のアイドルの姿があった。
ずびっ
「ちょっと涼、さっきから鼻、大丈夫?」
「熱はなかったし、駅まで我慢すれば大丈夫だよ」
 その内の一人、桜井夢子は隣に居るもう一人、秋月涼に心配半分呆れ半分の表情を向けている。
「何が“大丈夫”よ、まだ鼻水出てるわよ。ほら……はい、全く世話焼けるんだから。」
 取り出したティッシュで涼の鼻先に残っていた分を拭き取ると、窘めるように言った。
「こんな所撮られてごらんなさい、鼻水垂らしたトップアイドルなんてファンが見たら嘆くわよ」
「ははは……うん、ありがとね。」
 そんな事より、それを夢子ちゃんに拭いて貰ってた事の方が問題じゃないかなと考えながら礼を返す涼。その顔に浮かんだ軽い笑みに分かってるのかしらと訝しく思いながら夢子は言葉を繋げる。
「予報見ずにマフラーしてこないなんて、ちゃんと喉を守らないなんてアイドル失格よ全く。私には伝染さないでよね、明日収ろ」
ふあ…ックシュン!
 喋っている最中、涼のくしゃみが夢子の言葉を断ち切ってしまう。
「ごめん、離れてるね」
 距離を取ろうとする涼。その腕を抱えるように夢子は密着する。
「離れるより、こうした方が暖かいでしょ。」
 思い掛けない積極的な行動、伝わる体温に甘えそうになった涼だがやはり夢子に風邪をひかせてしまうかも、と身を離そうとする。
「動いちゃ駄目よ、こうして……。ほら、このマフラー短いから離れないでね」
 その機先を制し巻いていたマフラーを涼の首へと回す。ふわり、生地と共に夢子の香りが纏わるのを感じ動きを止めた涼に、夢子がぴったりと寄り添う。
「さ、行きましょ」
 あまり長くないマフラーでは互いの首を覆い隠すには至らず、時折強く吹く風が首筋を冷たく撫でる。それでも二人の体温は互いを守り――
「えっクション!」
 ビュウと一際強い風に涼は身を震わせると咄嗟に逆を向いてくしゃみをする。振り向くと夢子の諦めたような視線が突き刺さった
「ムードもへったくれもないわね。もう、駅まで急ぐわよ!」
 言うや、首ごとマフラーを引っ張り歩を早める。向かい風の吹く寒さを受け止めながら、二人は足音を重ね歩いて行った。

クシュン「夢子ちゃん、やっぱり僕」「いいからちゃっちゃと歩く!」

150 創る名無しに見る名無し
2013/03/27(水) 06:42:17.33 ID:mExzCzM6

あ、順番間違えて前置きする前に本文投稿してしまった(汗

えー、 86 書いてた者です、今度もりょうゆめです。
書いてた時は冬だったんです……

151 創る名無しに見る名無し
2013/03/29(金) 11:50:09.09 ID:xGy6cSVe

148 作業ご苦労さまです。
このシリーズ結構キャラごとの反応が効いてて面白いですね。

152 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2013/04/29(月) 21:15:02.38 ID:lO96hsj3

あーテステス。久しぶりです。短編1本投下します。
今回は秋月律子さんの話。
注意点て程でもないのですが、初代というか無印の頃をイメージしていただければ幸いです。

153 When The Sun Meets The Sky
2013/04/29(月) 21:16:42.45 ID:lO96hsj3

時刻はようやく朝日が昇り始めた頃。
海岸沿いの道を空冷エンジン独特の音を響かせながら一台の車が走っている。
運転席に座っているのは眼鏡をかけて髪を緩い三つ編みにした若い女性。

バックミラーで後方を確認してからウインカーを出して路肩に寄せながらブレーキをゆっくりと踏む。
タイミングを合わせてクラッチを切る。
停止したことを確認してギアをニュートラルに入れてサイドブレーキをかける。
ようやくこういった一連の動作を意識せずともできるようになってきた。
周囲に誰も居ないことを確認してから降りて、大きく伸びをしたり肩を回したり軽いストレッチをする。固まっていた筋肉がほぐれてゆく感触。
いくらか慣れたつもりでもやっぱり一人での運転は緊張していたらしい。
大きな深呼吸をして一息。夜明けの冷たい空気が心地よい。

秋月律子18歳。只今人生初の車で一人旅の真っ最中である。

154 When The Sun Meets The Sky
2013/04/29(月) 21:18:36.57 ID:lO96hsj3

実の所、免許を取った理由なんていつか必要になるかもしれないとか、手っとり早い身分証代わりだとか、
他にはブログやトークのネタになるかもとか、有り体に言うならば無いよりはあったほうが良い程度の物だった訳で、
当然免許を取っても車そのものを買うつもりなんてこれっぽっちも無かった。
第一、アイドルなんてやっている身の上としては万が一事故でも起こそうものならそこでアイドル生命が終わってしまうわけで、当然周囲の反対も多かった。
じゃあ何故買ったのかと問われればこれはもう一目惚れとしか答えようが無い。

そのお相手の名は2代目フィアット500。
どんな姿かわからない人でもカリオストロの城でルパン3世が乗っていたと言えば大体想像はつくだろう。その程度には有名で少しばかり古い車である。

「せっかく免許取ったんだから少しぐらい車に興味持ってもいいんじゃないか」
なんてプロデューサーの一人に言われて車を少し観察するようになった。
相変わらず詳しいことは何もわからなかったけど。
そんな中、街中で何気なく見かけた一台の車。
その時は気にも留めずに通り過ぎたが、そのうちチラチラとあの丸っこいフォルムが頭に焼き付いて離れなくなって、
こういった方面に詳しい件のプロデューサーの首根っこ掴まえて根掘り葉掘り聞いてその時になってようやく名前を知って、
中古車しかも一昔前の車にかかる手間と金額とリスクとオススメ出来ない理由を懇切丁寧に説明してもらってそれでも諦めきれなくて、
信頼できる店を紹介してもらってそれまでアイドル稼業で稼いだ貯金を幾らか崩してもしもの為に保険もキッチリかけてようやく購入と相成った。

そんなすったもんだを乗り越えて迎えた待望の納車の日には、
「正直、自分でも驚いてますよ。免許取った時はもし買うなら流行のハイブリッドとかコンパクトみたいな無難なのだろうなって思ってましたから」
「利便性考えたら迷う余地なくそっちなんだがな。でも、何となくらしいとは思ってるよ」
「何でです?」
「いやあ、お前さん何だかんだいって世話焼きだもの。手間はかかるけどかけただけ応えてくれるこいつはピッタリだと思うよ俺は」
そんなやりとりがあったとか。

さて、納車されたはいいが律子はそれなりに売れているアイドルな訳で、あまり自由に時間を使える訳ではない。
それでもなんとか合間を見つけてはハンドルを握り、一人でも大丈夫だろうとお墨付きをもらったのがつい先日の事。
これ幸いと丸々一週間のオフを作り、行き先を決めないまま長いドライブに出かけることにした。

155 When The Sun Meets The Sky
2013/04/29(月) 21:20:43.69 ID:lO96hsj3

東京から遠く離れた地方でも自分の事を知っている人がいた。
アイドルをしているから当たり前の話だけどやっぱり嬉しい。オマケなんてしてもらえると特に。

すっかり缶コーヒーの味を覚えてしまった。暖かくなってきたとはいえ日が沈めばまだまだ冷える。
年期が入って貧弱なエアコンでは物足りない時のカイロ代わりに丁度いい。ちょっと糖分が心配だけど。

泊まるだけで食事さえ気にしなければラブホテル(最近は違う呼び方もするらしいが)が割と便利だと知った。あまり詮索もされないし面倒もない。……ただ仕事の時に使うかといえば怪しいところだが。

単純に車を運転するだけで、ハンドルを握っているだけでこんなにも楽しいと知った。
ドライブなんてガソリンの無駄だと思っていたけどその考えを改めなければいけない。

車の運転は楽しい。しかし、基本的にずっと座りっぱなしなので運動不足には気をつけなければいけない。
色々な所をまわっていると地方の名産品なんてついつい食べてしまうものだから体重計に乗って表示された数字を見て思わず目眩がした。
その夜からは周りの迷惑にならない程度に自主的にダンスレッスンをすることにした。何事にも復習は大事である。

普段騒がしく思っていても離れるとつい寂しくなってしまうものらしい。一日に一度事務所に連絡を入れることにした。けっして言わないけれど、電話をかけて最初に誰が出るのかが少し楽しみだった。

時折、風景と共に愛車の姿を携帯のカメラに収めるが少々物足りない。
帰ったらデジカメでも買うべきだろうか。
多分買う事になるだろう。

スケジュール帳を見て改めて確認する。帰らなければいけない時が来ていた。

156 When The Sun Meets The Sky
2013/04/29(月) 21:22:37.17 ID:lO96hsj3

自販機で買った缶コーヒーを適度に温くなるまで手の中でカイロ代わりに弄ぶ。
もう一方の手でエンジンルームにそっと触れる。少しずつ缶コーヒーと同じように熱が冷めていく。
重いステアリングにも、独特のエンジン音にも、硬いサスペンションの感覚にも大分慣れてきた。
髪を解いて、風に遊ばせるままにする。
海沿いの道をずっと走ってきた。飽きることのない波の音と、潮の香り。
大きく息を吸い込む。少し前に比べると空気がどこか甘くなってきた。季節が変わろうとしている。

愛車に体重を預けて、時折コーヒーを飲みながら何をするでもなくじっと日が昇る姿を見つめている。
あと少しでこのドライブも終わる。
また、あの騒がしくて忙しい日常に戻る時が近づいている。
それが嫌になった訳ではない。でも、この時間が終わってしまう事が名残惜しい。
コーヒーをまた一口飲んでそれっきり何も考えないようにする。エアポケットのような時間。

「まあ、それでもいっか」

ふとこぼれた呟きが虚空に溶けていった。
口に出してみると、すんなりと納得できてしまった。
別にこれが最後という訳でもない。これから先に幾らでも機会はあるのだから。
わざわざこんな事を考えてしまうのは夜明けの海などというシチュエーションだからだろうか。
ついでだからもうしばらくセンチメンタリズムに浸ってもいいだろう。

太陽が顔を出す。
目を閉じて全身で光を浴びる。
腕を伸ばして手を開いて、出来るだけ多くの光に触れようとする。
細胞のひとつひとつが柔らかい熱を帯びていく。
体が目覚めていく瞬間をはっきりと自覚する。
目を開いて、入ってきた光の強い刺激に少しだけ視界が滲む。
きっと、こんなふうにして世界も目を覚ます。

丁度缶の中身も空になった。空き缶をゴミ箱に放り込んで運転席へ座る。
エンジンに火を入れる。暖まるまで少しの暖気。
もどかしいとは思わない。
普段の仕事は時間に追われているのだ。一人の時間くらいこの程度の猶予はあってもいいだろう。

「さて、帰りますか」
そう声に出して、頭の中で思い描いた光景に苦笑する。自宅よりも先に765プロの事務所が浮かんできてしまうあたり割と重症かもしれない。

トランクに放り込んだお土産の数々を思い出す。
それなりに絞ったつもりでも、各地を転々と回ってきたからそれなりの量になっていた。
素直に渡してもいいけれど、わざと忘れたフリをして「私の無事な姿が何よりのお土産でしょう」と言ってやったらどんな顔をするだろうか。
きっともっと騒がしくなるに違いない。
こんなセンチメンタリズムなんて跡形も無く吹き飛ばしてしまうだろう。
ああ、どうしよう。
どっちを選んでも楽しい事になるのが容易に想像できてしまって緩む頬を押さえきれない。
とてもささやかで幸せな悩みを抱えて帰路につく。


朝の光の中、海岸沿いの道を一台の車が走っていく。

157 創る名無しに見る名無し
2013/04/29(月) 21:24:36.11 ID:lO96hsj3

以上投下終了。
今回のタイトルはEric Johnsonというギタリストのアルバム『Venus Isle』に収録されている曲から拝借しました。
実のところを申しますとこの話2の発表前に大体のラインは頭の中にあったのですがこの度ようやく表にだせたとゆー……
結局私の遅筆と動き出すのが遅いのが原因なのですが。
曲を聞いている時にふと朝焼けの中を走る車の映像が浮かんできまして、
じゃあアイマスの面子の中で車の運転が出来そうなのと考えた時に、無印の段階だと律子さんぐらいしかいない。
じゃあ律子でいこう(あずささんはコミュの中で免許取れなかったって話があったはず)
そんな感じで出来た話です。
車はあんまり詳しくないのでメジャーなところ+あえて律子らしくない車種って考えてこうなりました。
詳しい人ならもうちょっとピッタリな選び方をするのかなーなんて思ったりしましたが。
それではこれにて失礼。

158 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2013/05/13(月) 01:16:11.89 ID:o28WevF4

あーテステス。また投下に来ました。
今回は雪歩とちょこっと舞さんの話。
特に注意事項は無いと思います。

159 sometimes
2013/05/13(月) 01:18:20.37 ID:o28WevF4

腕時計に目を落として時間を確認する。只今の時刻午前10時半。予定の時間を大幅に過ぎているが未だ待ち人来たらず。
レッスンスタジオの前で待ちぼうけを食らっていたプロデューサーははて、と首を傾げる。
今日ここに来るはずだった雪歩はどれだけ気の進まない仕事であったとしても体調不良以外で休んだことは無いし、
仮に休まなければならない事情があった場合は必ず連絡を入れてきたのだからその疑問は当然でもある。
考えたくはないが連絡の入れられない状況にあるのだろうか、事故にでも会ったのだろうかと不安が頭をよぎり、
何か知っていることはないかと事務所に居る音無小鳥嬢へと電話をかけた。
「すみません小鳥さん。まだ雪歩がこっちに来ないんですが何か連絡は来てませんか?」
「ああそのことでしたら昨日の夜に雪歩ちゃんから電話がありまして」
「ええ」
「今日のレッスンはドタキャンするそうです」
「……はい?」
今しがた耳に入ってきた言葉の意味を理解するまでに少々の時間を要した。その程度には不可思議な言葉を聞いた。
「…………」
「もしもーし。プロデューサーさん?」
「ちょいと聞きたいことがあるんですが」
「はい何でしょう?」
「前日に連絡を入れるのはドタキャンっていうんですかね」
「普通は言いませんねぇ」
「何で今の今まで小鳥さんは教えてくれなかったんですかね」
「それはやっぱり前もって教えたらドタキャンにならないからじゃないですか」
「じゃあドタキャンしたスタジオとトレーナーさんに頭を下げるのは誰のお仕事でしょうかね」
「それはやっぱりプロデューサーさんのお仕事じゃないですか」
「ですよねぇ」
こやつめハハハ。覚えていろよこのぴよ助め。
ひとしきり頭の中で悪態を並べ立てた所で、さて、わざわざ予告までしてドタキャンなぞした当の雪歩は今一体何をしているのだろうかと意味もなく空を見上げた。

160 sometimes
2013/05/13(月) 01:20:03.70 ID:o28WevF4



で、当の雪歩はといえば奇しくもプロデューサーと同じように空を見上げて深いため息をついていた。
雲一つ無い青空とは裏腹に心の中はどんよりと重たく曇っている。
その胸中を一言で表すならば後ろめたい。こうして歩いていてる最中に知っている誰かと鉢合わせて、
「今何してるの?」
なんて聞かれたらどう答えればいいのかと不安になる。
もし聞かれたとしても今日はオフなのと平気な顔をしていればいいだけなのにそれも出来そうにない。
ああ。なんでこんなことしちゃったんだろう。今すぐ昨日に戻ってやりなおしたい。
そもそも今日のレッスンにしたってどうしても嫌だった訳じゃなくてほんのちょっと魔が差しただけなのに。

再度のため息をついて、ウインドゥに写った自分の服装を確認してみる。
いつもと気分を変えたくて服装もプリントTシャツの上に薄手のブルゾン、下はジーンズとスニーカー。、頭には野球帽といつもはしないような組み合わせだ。
思い切ってしてみた服装だけど動きやすくてこれはこれでありかな。なんて思ったのは小さな収穫だけど。

とりたてて予定は無かったし、家の中に篭っていても気が滅入るだけだから外に出てきたけどそれも間違いだった気がしてきた。
それでも、体を動かしていれば気持ちも変わるかと期待して街をぶらついてみることにした。
最近仕事ばっかりだから服の新作もぜんぜんチェックできていなかったし。なんて無理やり考えた理由を自分に言い聞かせて。



結論からいうと駄目でした。
リップやマニキュアの新色も、お気に入りのブランドの新作も、雑誌も、お茶も、お菓子も、どの店に行っても何を見ても集中しきれない。
まるで楽しんではいけないとでも言いたげに心のどこかでブレーキがかかる。
もう諦めて家に帰ろう。そして明日怒られてまた元の生活に戻ればいい。
そう思って踵を返したところで予想外の声が聞こえてきた。
「やっほー久しぶりじゃないゆっきー」
「えひゃい!」
日高舞である。
雪歩の姿を確認するやいなや一片の遠慮も無く肩に手を回して顔を覗き込んでくる。
「なーによー変な声出してー。そんなに私の事が嫌?」
「いえ……そんな事ないですぅ」
「ふーん」
日常的に顔を会わせている訳ではないが、それでも一目で雪歩の様子がいつもと違う事には感づいたようで、
「ちょっと歩きっぱなしで疲れたから休憩したいんだけど、一人ってのもなんだからつきあって」
返答も聞かずに雪歩の手を引いて歩き出す。

連れて来られた先は落ち着いた雰囲気の日本家屋を改装した喫茶店だった。
店の周りを木に囲まれ都会の喧噪とは隔絶されており、店内の天井も高く席同士も離れているためゆったりと過ごすことが出来る。
都内にこんな場所があったのかと物珍しげにそれとなく店内を見渡す。
「ゆっきーお茶好きだからここにしたんだけどもし気に入らなかったらその時はゴメンなさいね」
「いえっ、そんなこと無いですとっっても素敵なお店です」

テーブルの上に目を落とす。
舞さんの手元には、クリームをたっぷりと添えたシフォンケーキと素焼きのカップの中で湯気を立てているコーヒー。
雪歩の手元には、軽く表面を炙った最中と湯呑みの中で香ばしい香りを立てている煎り番茶。

161 sometimes
2013/05/13(月) 01:22:29.18 ID:o28WevF4

一口口をつけただけでそれっきり手を伸ばそうとしない雪歩を見て、
「ね、ちょっと当ててみよっか?」
「?」
「ゆっきーが元気無い訳」
雪歩の返答も待たずに推論を並べ始める。
「うーん、誰かと喧嘩したって風でもなさそうだし、周りを気にしてるみたいだから……ひょっとしてドタキャンでもした?」
しかも的確に当ててきた。細かいところまで気にしないようでいてよく見ている。
「はい……その通りですぅ……」
「そ。私の勘もまだまだ捨てたもんじゃ無いわね」
それっきり何か言うわけでもなく、中断していたケーキにまた手を伸ばし始めた。
「あのう……」
「どうしたの? そっちの最中要らないなら私が食べるわよ?」
「いえっ、そうじゃなくて、何も言わないんですか」
「何に?」
「だからその……ドタキャンしちゃったんですけど……」
「やーねぇ私別に765の人間じゃないもの。ファンを蔑ろにでもしない限り何してよーが口出す筋合いじゃないわよ。
今だって知った顔を見つけたからお茶に誘っただけだし……でもね」
「?」
「そうやって俯いてばっかりってのはちょっともったいないかな」
「もったいない……ですか」
「そ。休む事も外に出かける事も、いつもはしないようなその服だって自分で決めてきたんでしょ。だったら折角の空いた時間胸張って楽しまないと損じゃない。それに」
雪歩の髪に手を突っ込んでわしわしとかき回す。

「こんなに天気も良いんだしね」

そのちょっとだけ悪戯を含んだ笑顔はとても快活で魅力的で、ああ、やっぱりこの人は愛ちゃんのお母さんなんだな。なんて思ったりして。
その時になってようやく雪歩はこの日初めて笑って、その顔を見た舞さんは満足げに「よろしい」といって額を近づけてまた笑った。

会計は雪歩が財布を取りだそうとする前に、
「私が誘ったんだしこれぐらいはお姉さんっぽい事するわよ」
といって口を挟む間もなく支払ってしまった。
「じゃ、私は夕食の準備があるからここでお別れね」
スタスタと歩き出す背中に向かって、
「ありがとうございました」
そう言って深く礼をする。
舞さんは振り返る事無く手を振って去っていった。

さて、と気を取り直して振り返り、もう一度歩いてきた道を遡る。
まだ時刻は昼を過ぎたばかりで今日という日ははまだ十分に残っているのだから。

162 sometimes
2013/05/13(月) 01:24:34.00 ID:o28WevF4



小物入れのつもりでボディバッグを買ってみた。自分のイメージと合わないような気がしてなかなか手が出せなかったけど使ってみれば結構便利だった、
なんといっても両手が自由に使えるのが一番いい。

思い切って偶然見かけた洋食屋さんに入ってみた。興味本位で生姜ご飯のあんかけオムライスを頼んでみたけど凄く優しい味わいで大当たりだった。また今度来よう。

お気に入りのブランドのお店で新作を色々試着させてもらって、スカートを一着だけ買った。どんな上を合わせようか楽しみだ。

歩き疲れて入ったチェーン店のコーヒー屋さんでクリームたっぷりのカプチーノとケーキのセットを食べた。今日ぐらいカロリーは気にしない。
何気に今日はずいぶん食べている気がするけど甘いものは別腹だからいいのだ。それにしても体に悪い食べ物ってなんでこんなにおいしいんだろう。



目的も無く歩く。
気の向くまま行き先も知らず歩く。
歩く行為に没頭する。
心配、後ろめたさ、感謝、楽しさ、頭の中で渦巻いていた様々な感情や言葉が一歩ごとに息を潜めていく。

水の流れる音が聞こえてきて耳を澄ませる。
こんなところに川が流れていたことを今日初めて知った。
立ち止まって水面を見つめる。ようやく思考が活動を再開する。
少し、足がくたびれていた。

舗装されたコンクリートを越えて様々な大きさの石が敷き詰められた川辺に立つ。石の隙間から延びた雑草を踏みしめながら。
足下の石を一つ拾ってみる。
思い切って放り投げてみる。
石は緩やかな放物線を描いた後に僅かな水飛沫を上げて水面に消えていった。

163 sometimes
2013/05/13(月) 01:29:31.28 ID:o28WevF4

携帯が震えて着信を告げる。
ディスプレイに表示された名前はプロデューサー。
少しだけの逡巡の後、通話ボタンを押す。
「……もしもし」
「あー雪歩か。俺だ」
少しの沈黙。個人の携帯なのだから本人が出るのは当然なのだが、
どうやら向こうもなんと言えばいいのか考えあぐねているようだった。
結局、出てきた言葉は、
「初めてドタキャンしてみてどうだった?」
どう答えるべきだろう。少し考えて、
「あんまり、楽しくはなかったです」
半分の本当と半分の嘘を告げる。
だがプロデューサーは雪歩の言葉には応えずに話し始めた。
「知らなかったかもしれないけどさ、うちの中でドタキャンしたこと無いの雪歩だけだったんだよ。
だから小鳥さんから聞いた時、ちゃんと雪歩もわがまま言えるんだなって少し安心した」
てっきりこういった事からは縁遠いと思っていた他の皆もドタキャンしているのだと、そんな事実を初めて知った。
「最初だから多めに見るけど次からはちゃんと注意するからな。それで、
今度から休みたくなったら前もって言ってくれれば少しぐらいなら融通するから。それじゃあまた明日」

きっと、プロデューサーも雪歩の言葉が嘘だと気づいている。
それでもあっさりと嘘を見抜かれていた事が少しだけ面白くなくて、通話を終えて何も表示していないディスプレイに向かって届くはずのないアカンベーをしてみせた。

少しまだ物足りない気がして、
キョロキョロと周りに人が居ないことを確認してから大きく振り被って足下の小石を蹴りとばしてみる。
石がさっきより高く空に舞い上がって水の中へ落ちていく。
水面に吸い込まれて落ちていく。
波紋が浮かんで消えていく。

これで最後にしよう。
ふう、と、軽く息を吐いてから助走をつけて、不愉快なもの全部蹴り飛ばすつもりで足を振りぬく。
石が高く遠く飛んでいく。
大きな水飛沫が上がって消えていった。

164 創る名無しに見る名無し
2013/05/13(月) 01:34:29.12 ID:o28WevF4

以上投下終了。今回のタイトルはaquilaというバンドの同名の曲から。
歌詞が、「たまには何か蹴っ飛ばしたくなるのさ」みたいな内容なんで、
あんまりそういう事しなさそうな雪歩にしてもらおう。
そういや初代で唯一ドタキャンしないキャラだったっけ?
みたいな感じでこの話が出来上がりました。
それではこれにて失礼。

165 創る名無しに見る名無し
2013/05/13(月) 14:15:55.29 ID:xIcyJDkh

かわいい

166 小ネタ(ミリオンキャラ注意)
2013/06/15(土) 18:33:56.79 ID:Rd6Tjst0

「最上静香……そう名乗ったのか、遊びやがって」
「遊ぶ?」
「二重の言葉遊びだ……いや、三重かな」
「言葉遊び……偽名を使っているっていうことですか?」
「芸能人だ、芸名ってことにしてやろう。最上……モガミは『喪神』だ」
「喪神?ああ、付喪神とかって言いますよね」
「ツクモの別字を知ってるか?同じ読みで、違う当て字を使うことだ」
「有名なのは九十九ですよね、って!そのツクモは」
「そう。付喪神とは『九十九神』だよ。修羅の道を歩いて神を破り、その拳の最強を証明しようとした、
あの男の名だ」
「まさか……いや、まさか、あんな女の子が」
「三重の言葉遊びと言ったろう。奴の系譜をたどった者が行き当たる女性の一人に、その名がある。
そうでなきゃ、俺だって偶然で済ませてた」
「静香……まさか……静御前……ですか?」
「静御前は舞の名手だったそうだよ。今で言うトップアイドルだ。あの子はあくまで、格闘技ではなく
アイドルで最強を証明しようとしているってわけだ」
「いやイミあるんすかそれ!」
「バカヤロウ。格闘技ライターがアイドルのことなぞわかるか」



「ええ?『あの人』に格闘技でかなうわけないじゃないですか。私はそもそも、跡継ぎでもなんでも
ないんですから。
 でも『あの人』も知らない、というか、興味がないんですよ。この体さばきや、突きも蹴りも……
相手の肉体を砕くためだけに練られた技ではないって。
 空気を振動させる技もあるでしょう?ええ、相手の心を揺るがすことだって容易いんですよ。
 『あの人』は、どんな闘いでも最強を証明すると言っています。いつ、この舞台に気づくか知れません。
 私は、芸能界を戦場にしたくないんです。私が頂点に君臨していれば、このステージは『あの人』に
とっては価値がなくなる……それが私の狙いです。
 えへへ、バレちゃいましたから、教えました。
 わかったらどいてください。はじめに言ったでしょう?
 私には時間がないんです」



 ……ニィッ。



「邪魔だけは、しないでくださいね」





続かない。
久しぶりに義経編読み返してたら感情が昂ぶってしまいました。


164
よかったです
雪歩って一人遊びがなぜこうハマるのだろう

またちゃんと書いたら来ます

167 創る名無しに見る名無し
2013/06/15(土) 19:56:15.40 ID:syNhHcue

164 ほんとそんなときあるんだよな

168 1レスネタ『ふたりの食卓』
2013/07/04(木) NY:AN:NY.AN ID:wMmaAXcQ

「そうなんだ。それでどうなったの?響」
 フライパンの温度を探り探りしながら、ソファにあぐらをかいてる響に訊ねる。響がボクの家に来るのももう3度目か4度目で、勝手知ったるなんとやらって感じ。
「いやー危機一髪だったさー。ねこ吉が気づいてくれて、こっち帰ってきてくれたんだ」
「そう、よかったぁ」
 今日は二人でスポーツ特番の収録だった。まだまだ駆け出しのアイドルとなると収録現場もなかなかハードで、なんかめちゃくちゃお腹へったねって話になって。
 ちょうどボクの家のほうが近くて、父さんも母さんもいなかったから都合いいやって思って、誘ってみた。
「まったくさー。ネコのくせに落ちて怪我でもしたら一大事だったよ」
「ボクが言ってるのは響のことだよ」
「え、自分?」
「きみのネコ吉ももちろん心配だけど、響が怪我したらそれこそ大変じゃない」
「え……真、きみ自分のこと心配してくれてるのか?」
「そりゃそうだろ」
「……」
「?」
「えへへ。ありがと、真」
 ヘンな間。まあ、ボクもだけど響も野生の勘で動いてるトコあるし。
 冷やごはんと玉子、野 菜がいろいろあったから、ちょっと遅めの昼食は『菊地家特製・全部入りチャーハン・真風』。もともと母さんが得意で、ボクも手伝いしてるうちに憶えたスペシャルメニュー……って言えば、聞こえはいい、かな。
「自分もなんか手伝おうか?」
「ん、だいじょぶ。切ったら炒めるだけだしね」
「ふえ、そんなに野 菜入れるんだ?」
「キライなもの、ある?響」
 肩越しに聞くと首を振って、興味深げに手元を見つめてる。
「細かく切っちゃえば全部食べられるし、野 菜で分量稼げるから、炭水化物も抑え目にできるんだ」
「彩りもよさそうだ。こんなのできるなんてすごいな、真」
「へへっ、そう?」
 注意するのは固いものから先に火を通すことくらいで、実際難しい料理じゃない。それでも一人暮らししてる響から『すごい』って言われると、なんか嬉しい。
「すぐできるからテーブルで待っててよ」
「ん、そしたら準備してるね」
「ああ、ありがと」
 フライパンをあおりながら、お皿やスプーンの場所を教えた。
 そうして、やがて料理が完成。食卓で取り分けるので、フライパンのままキッチンを回って……絶句した。
「うわ?」
「おお!おいしそうだな、真。びっくりしたぞ」
「……びっくりしたのはこっちだよ」
 振り返った景色は、見慣れたボクの家のダイニングではなかったのだ。ふだんはシンプルな白いテーブルと木の椅子の食卓が、響の手で魔法のように飾り付けられていた。
 カウンターの端に置いたままになっていたランチョンマットの色を組み合わせて、センタークロスとディッシュスペースに。同じく使い途を失っていた紙ナプキンはカトラリーレストに仕立ててある。
 よく見れば大げさなことはしていないのがわかる。でも、ごくごく簡単な工夫で、あちこちにツボを押さえたドレスアップを施してあった。父さんがときどき使ってるワインクーラーにはワインボトルではなく、帰りがけに買ったペットボトルの水。
 その隣にはガラスのボウルに浮かべた、庭のガーベラ。
「きれいだったから、2輪だけもらっちゃった。可哀想だったかな?」
「そんなことないよ。それならボクたちでたっくさん見て褒めてあげればいい」
 用意されていたお皿に盛り付けながら聞くと、響は自宅でもけっこう、こんなことをしているそうだ。
「こっち来たときはバタバタしてて、ハム蔵たちといっしょにごはんかき込んでレッスン行ったりしてたけどね。しばらくするうちになんか、これじゃ違うーっ!ってなってきて」
 彼女にとっては友達で、仲間で、家族でも、その動物たちと同じレベルで食事のしていてはいけない、と感じたのだそうだ。響は続ける。
「それにね」
「うん?」
「食事することって、ヌチグスイだからな」
「ヌチグスイ?」
「ん、島ではそう言うんだ。なんだろ、生命の源とか、生きてくパワーとか、そんな感じ」
 だから、ただ栄養を補給するんじゃなくて、居心地のいい場所で、浮き立つような心持ちで、美味しいものを笑いながら食べられれば、それだけで元気は倍増するのだと。
「なるほど、なんか、わかる。一人で黙って食べるより、二人でおしゃべりしながら食事したほうが、楽しい」
「うん、そういうこと!」
 はじけるような響の笑顔。うん、そうだね。やっぱり二人のほうが楽しいや。
 いつの間にかセロリの葉と中華だしで響が作ってくれてたスープと並べて、そうして二人で食卓について。
「「いただきまーす」」

 生きてくパワーの源に、二人で一緒に手を合わせた。


おわり

169 創る名無しに見る名無し
2013/07/23(火) NY:AN:NY.AN ID:T4mb1jkO

http://xn--ss-x93azb8f1byc.com/

170 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2013/10/20(日) 22:14:51.42 ID:MErqohHV

あーテステスお久しぶりです。
また投下に来ました。
今回は黒川千秋さんの話です。
喫煙シーンあるのでそのあたりだけ苦手な人は御注意下さい。

171 Anytime Anywhere
2013/10/20(日) 22:17:34.33 ID:MErqohHV

ところどころクラックの入った壁に手をつきながら電灯の切れた中月明かりだけを頼りに階段を上る。
突き当たりの耳障りな音を立てる立て付けの悪い金属性のドアを開いて屋上へ出る。
緩やかな夜の風が頬を撫でる。
遠くから街の雑踏が聞こえてくる。
周りに同じ様な高さの建物が建ち並ぶ雑居ビルの屋上からの風景を見おろす。

街の生きている気配をフィルタ一枚隔てて感じられるようなこの距離が好きだった。

フェンスに体重を預け胸ポケットから煙草とライターと携帯灰皿を取り出す。
火をつけて紫煙を深く肺の中に行き渡らせる。
たかだか煙草一本吸うためにわざわざここまで出てこなければならないが、未成年の集団であるアイドル達に気を使うのは当然の事だから別段苦にはならない。
むしろ一人だけの時間、静かな時間、何も考えない時間、そういった物は何かと賑やかな日常の中では貴重でもある。
最早屋上への移動も含めて気分転換のための儀式にもなりかけていた。
(ありえない話だが)仮に事務所に喫煙コーナーが出来たとしても自分はここへ来る事を選択するだろう。

頭の中を空にして何をするでもなく夜空を見上げる。
揺らめいて消えて行く煙の行方を見つめる。
徐々に短くなっていく煙草のチリチリと焼ける音を聞く。
タールとニコチンが僅かずつ舌を麻痺させていく。

さほど遠くない所から聞こえるヘリの音で意識が現実に引き戻される。
無駄とは知りつつも試しに探してみるが当然ヘリの姿は見えない。
そういえば今日はこの近くで人気グループの生中継をしているんだったか。
恐らくはそのために駆り出されたであろうヘリのローター音を聞きながらそんな事を思い出す。

軋んだ音を立てて背後のドアが開く。
誰かと確認するよりも早く不機嫌である事を隠そうともしない声が耳を打つ。
「ここに居たのね」
振り向くと声の主である黒川千秋が想像通り不機嫌そうな顔をして立っていた。
元々つり目で人によっては少々キツめの印象を与える顔立ちだが今は一段と目つきが険しくなっている。風になびく長い黒髪と相まって中々の迫力だ。
こちらが何をしているのか一目瞭然のようで、
「またそんな物吸ってる」
と咎めるように言ってくるがこちらとしても毎度の事なのでさして気にする事もなく、
「あんまりホタル族を苛めてくれるなよ。一日に一本程度なんだから多めに見てくれても良いじゃないか」
と返す。
世間では何故か煙草を吸っている=ヘビィスモーカのイメージが強いが自分は今言ったように一日一本で十分だし、
毎日必ず吸うわけでもないから大体一月で一箱程度が大体の消費量だった。
それにマナーは守っているし少なくとも他人の居る場所で吸った事は無いのだから咎められるいわれは無いと思うのだが。

172 Anytime Anywhere
2013/10/20(日) 22:20:09.00 ID:MErqohHV

「今日の仕事はどうだった?」
ともあれあまり続けたい話でもないので話題を切り替えることにする。
今日の彼女の仕事はPVの撮影だったはずだ。
尤も彼女の曲ではなく別のアーティストの物だったし、
少し流し見た程度だが企画書に書かれていた衣装は中々に扇情的な格好だったはずでそのあたりが少し気になっていた。
「あまり長い間着ていたい衣装でもなかったから一発で終わらせてやったわ」
「さよですか」
なんとも頼もしい台詞である。
このやりとりでわかるように自分は黒川千秋の担当プロデューサーではない。
ただ同じ事務所である以上それなりに挨拶ぐらいはする訳で、そんなこんなを繰り返していたらこんな感じに軽口を叩き合う程度の仲にはなっていた。

ふと、ちょっとした悪戯心が働いた。指に挟んだ煙草を軽く持ち上げて聞いてみる。
「吸ってみるか?」
「正気?」
本気を通り越して正気ときたか。
「いや、おまえさんも二十歳なんだし法律上は何も問題無いぞ」
「遠慮しておくわ。体の害にしかならない物をわざわざ摂りたくないもの」
「年とってからハマると後々抜け出すのが大変だぞ。どんなに酷い物か実際に知っておいても損は無いと思うがね」
「未来永劫そんな予定は無いから無用な心遣いよ」
「いやいや、反動かは知らんが経験上吸わないって頑なに言ってた奴ほど後々危ないんだよ。お前さんもそうならない保障はどこにも無いだろう?」
「……そんなに言うならさっさと寄越しなさい」

自分から持ちかけた話でこんな事を考えるのはかなりアレであるという自覚はあるのだがどうしても言わせて欲しい。
プライドが高いのは結構だが少しそのあたりを突いただけでこうも簡単に乗せられてしまうのはいささか問題ではなかろうか。

173 Anytime Anywhere
2013/10/20(日) 22:22:02.70 ID:MErqohHV

くすんだワインレッドのパッケージから真っ白の煙草を一本取り出して千秋に渡す。
個人的には昔のグラデーションが綺麗だった頃の方が好きだったが、それはまあ関係無い事だろう。
「フィルタの方、そう、そっちを咥えて」
火をつけるためにライターを取りだそうとして止める。
代わりに短くなった自分の煙草を近づける。
「息を吸って。空気を通さないと火がつかない」
先端同士を触れ合わせる。
相手の息づかいを感じる。
すぐ近くにお互いの顔がある。
一筋の髪が落ちて目にかかる。
千秋は真っ直ぐにこちらを見据えたまま瞬きもせず目を逸らさない。
端から見ればまるでキスをしているようにも見えるだろうか。
今この瞬間を上空のヘリが撮ってくれないだろうかと一瞬だけ考える。
どうでもいいことだ。

火が灯る。
同時にこちらの火が消える。

「いきなり肺に入れるとむせる。最初は口の中に含む程度でいい」
煙草の先端の小さな明かりが呼吸に合わせて明滅する。
一呼吸置いて紫煙を吐き出す。
そんな姿でも品を感じるのは育ちの良さ故か。こちらの勝手な思いこみか。
千秋は己の吐き出した紫煙が消える様を見届けてから僅かに眉をしかめて、
「酷い味ね。返すわ」
一息吸っただけで長く残った煙草をこちらに手渡す。
「確かに貴方の言う通り何事も経験ね。少なくともこれからの人生で二度と吸う事は無いと確信出来たもの」
「そう言って貰えるならまあまあかな」
「まあまあ、ね」
胡散臭い物を見るような視線が突き刺さってくる。

しかしこの残った煙草をどうしたものか。
火を付けたばかりで捨ててしまうのはいささか勿体無いような気もする。
しばし黙考した後に、たまには余分に吸うのも悪くは無いだろうと再び口に咥える。
それを見た千秋の目が凶悪と言っていいレベルに細められる。
慣れていない者ならこの視線だけで腰を抜かすかもしれないとかそういう次元の話だ。
思わず寒気を感じて背筋がゾクゾクしてくる。
てっきりダース単位の文句ぐらいは言われるかと身構えていたが、
こちらの予想に反して何も言わずに踵を返して走り去っていった。
凄まじい音を立てて閉まる扉と、階段を駆け下りる乱暴な靴音が暫く耳に残り消えていく。

静寂の戻った屋上で一人煙草をふかす。
夜空を見上げる。
ヘリの赤い確認灯が視界の端に写る。
眼を閉じる。
瞼の裏の暗闇に黒川千秋の残像が残って、消えた。

174 創る名無しに見る名無し
2013/10/20(日) 22:26:06.45 ID:MErqohHV

以上投下終了。
今回のタイトルはGotthardってバンドのLipServiceってアルバムに収録されてる曲から拝借しました。
20歳なら酒も煙草もOKだよねとかなんとかそんな感じで。
それではこれにて失礼。

175 創る名無しに見る名無し
2013/10/24(木) 23:37:43.22 ID:Qo4Y2KqR

まとめwiki更新してきました。作者の皆様確認お願いします。
……しかし半年近く放置してたのね。
もっとこまめに更新できますよーに。

176 創る名無しに見る名無し
2013/11/01(金) 19:58:13.24 ID:o0A/I+rd

チャンピオンソフト(現アリスソフト)が1980年代に
AKB48総選挙システムと同じアイドル投票コンテストシステムを採用した
画期的なパソコンソフト ゼータZETA

PC88用ソフト ZETA創刊号 チャンピオンソフト #PART1
http://ameblo.jp/koorogiyousyoku/entry-11455444674.html#main
PC88用ソフト ZETA創刊号 チャンピオンソフト #PART2
http://ameblo.jp/koorogiyousyoku/entry-11456139670.html#main
PC88用ソフト ZETA創刊号 チャンピオンソフト #PART3
http://ameblo.jp/koorogiyousyoku/entry-11456710904.html#main
PC88用ソフト ZETA創刊号 チャンピオンソフト #PART4
http://ameblo.jp/koorogiyousyoku/entry-11457369591.html#main

177 創る名無しに見る名無し
2013/12/09(月) 11:33:59.28 ID:6MvbOL1z

モバマスの酒飲みネタだと志乃さん礼子さん楓さんあたりのアラサー中心が多いけど
逆に20、21歳組のちょっと慣れない感じの飲み会なんてのも面白いかもしれない

178 創る名無しに見る名無し
2014/02/09(日) 22:14:09.09 ID:gAIU+Bg6

映画に一部のキャラが出た事だしそろそろミリオン勢のお話があってもいいかもね

179 創る名無しに見る名無し
2014/03/09(日) 20:46:35.06 ID:ukXEpkFa

3/8現在atwikiのユーザー情報流出で第三者にどんなマルウェア仕込まれているかわからない状態。
なのでしばらく保管庫にはアクセスしないほうが良いです。
あと管理人さんいらっしゃいましたらお気をつけて。

180 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2014/04/06(日) 20:33:35.70 ID:8NeWrHGp

あーテステスお久しぶりです。短いの1本投下します。
ミリオンライブでキャラは百瀬莉緒さん。
タイトルはThats Not Love。

181 Thats Not Love
2014/04/06(日) 20:36:14.53 ID:8NeWrHGp

右手にコンビニのコーヒーを、左手にはペットボトルのミネラルウォーターを。
これが彼女を迎えに行く時の正装。
いつものコンビニから少し歩いた小さな公園の街灯の下、ベンチで横になっている彼女を見つける。
今日の服は少し短めのタイトスカートに胸の谷間も見えるジャケット。黙ってさえいれば十分に美人なのにいつもこの人は張り切り過ぎて自分で台無しにする。

無防備な頬にミネラルウォーターを押しつけて目を覚ましてやる。
「おはようございます莉緒さん」
「あ、おはよー」
寝ぼけ眼のままペットボトルを受け取ってキャップを捻ると500mlを一気飲み。おっさんくさい息をついて備え付けのゴミ箱へと放り投げる。
命中。
ここまでの動作に一切の途切れはなく最早習慣として体に染み着いている滑らかさだった。

一息ついたのを確認してコーヒーを手渡す。
ぼんやりとした笑顔で受け取ると「ありがとう」とお礼を言ってくる。
最早何に対してのお礼なのかもハッキリしないけれどとりあえずこちらも素直に「どういたしまして」と返す。

まだ湯気の立つコーヒーを少しずつ流し込む。
こちらも彼女の隣に腰を下ろし二人並んでコーヒーを飲む。
しばらくの間言葉が途切れる。
いちいち合コンの結果など聞かない。
こうして彼女が一人で居るのが何よりの証拠だし、もしも上手くいっていたらわざわざこちらに連絡を寄越す事など無いだろう。
尤も、自分の知る限り彼女が合コンに参加して成功した事は一度も無かった。回数は両手の指を越えてからはもう数えていない。

ふと肩に重さを感じる。彼女が頭をもたれかけるようにして体を預けてきていた。
触れるほど近くにあって、香水と、酒の残り香と、コーヒーの香りが静かな夜の香りと混ざりあって溶ける。

「ねえ」
「なんでしょう」
「私達付き合わない?」
「付き合うってどんな事をするんです?」
「そりゃあ、一緒に食事したり買い物したり映画見たり、セックスしたり色々」
特に理由は無いけれど何故だか無性に可笑しくなって笑いを堪えきれないまま言葉を返す。
「嫌ですよめんどくさい」
「そこで『貴方はアイドルなんだから駄目じゃないですか』とかじゃなくて心の底から嫌って言うのよねぇこの子は」
「一人で合コン行って公園のベンチでふて寝するような人にアイドルがどうのこうの言われても説得力ありませんよ」
それきり二人とも黙ると時折コーヒーを啜る音だけが聞こえる。

ふと魔が差して空いた方の手を彼女の髪に滑り込ませる。
よく手入れのされた髪は一度も引っかかること無く指の間をすり抜けていく。
一度、二度と繰り返しても彼女は僅かな抵抗もせずされるがままにしていた。
頭を撫でる。親が子をあやすように出来る限り優しく。

連絡が来る度にこうして迎えに来ては話し相手になっているのは何故だろうと久しぶりに考える。
別に結論を出すつもりは無かった。
ただの暇つぶしのように疑問の表面を軽く触れるに留める。
嫌っている訳ではない相手からの頼み事をされて、その要求に応えてもいいと思えるだけの余裕がある。
それだけでいいと思う。
いつのまにか生活の中に組み込まれていた習慣をこれからも続けるだろう。
いつの日か彼女からの連絡が途絶えるまで。

触れ合っていた肩が少しだけ熱を持つ。
コーヒーを飲み終えるまではまだ時間がかかりそうで、もう少しの間だけこうしていたいと思った。

形の無いものに無理に名前をつける必要は無い筈だ。
他人が何と言おうとも。

だから、
これは愛じゃない。

182 創る名無しに見る名無し
2014/04/06(日) 20:42:37.09 ID:8NeWrHGp

以上投下終了。
今回のタイトルはボウズ&モーリーというアーティストのモーズ・バーベキューに収録されてる曲から拝借しました。
私がミリオン勢書くのはは初めてですね。
映画、モバマスのアニメ化、サービス止まってるけどサイドMとキャラが増えてまだまだアイマスはまだまだ賑やかです。
そのうち来ますのでまたいずれ。それではこれにて失礼。

183 創る名無しに見る名無し
2014/04/06(日) 20:54:06.25 ID:RmQnhAo9

おつ

184 創る名無しに見る名無し
2014/04/07(月) 21:03:16.39 ID:7lpDdL9u

182
面白かったです
莉緒さん気になってるんだけどCDしか聴いてないから
自分の中ではまだちょっと固まってないんだよな
こんな感じ可愛いね

このスレ歩みはのろいけどホント落ちなくてありがたい
ゆっくりのんびり楽しませていただいてます

185 四条貴音のラーメン探訪番外編その2夏の山形編
2014/09/03(水) 23:29:54.25 ID:ws4aj2x8

山形新幹線つばさのドアが開き駅のホームに降り立ったその瞬間から全身に纏わりついてくる夏の熱気に思わず顔をしかめてしまう。
そんな自分とは対照的に暑さなど全く意に介さず四条貴音は大きく両手を広げると感極まったようにその声を発した。

「ああ、どれ程この日を待ち望んだ事でしょう。山形よ、私は帰ってまいりました!」

それはいいんだがお前さんもうちょっと自分が売れっ子アイドルだって自覚持ってくれないかな。
いきなり大きい声出すもんだから結構な人数の注目集めてるんだけど。



さて、貴音がわざわざこんな東北の田舎にやって来た理由は割合単純な物である。

・貴音は麺類、特にラーメンに目が無い。
・あまり知られていないが山形は全国有数のラーメン消費量であり店の質、数共にかなりの物である。
・ついでに貴音のプロデューサーである自分の出身地もここ山形である。

という凄まじく単純な論法によって以前貴音に地元の名店の一つを紹介した所大層気に入ったようで、
それ以来虎視眈々と伺っていた次の機会が遂にやって来たとそういう訳である。
ちなみに日帰りの強行軍であることも付け加えておこう。
今回は事前に貴音も調べてきたようで目的の店があるようだった。
「で、今回はどこにするんだ?」
「やはり折角ですのでこの季節にしか味わえない冷やしらぁめんを」
「だとするとあそこか」
「ご存知でしたか」
「そりゃまあ有名な店だしな」
しかし、と辺りを見回しながら頭を捻る。地方都市の常としてここも普段は割と閑散としている筈なのだが随分と人の数が多い。
帰省ラッシュにはまだ早いしはて何があったかと頭を捻っていたが構内に貼られたポスターを見てその疑問は氷解した。

花笠祭り。

8月の頭に3日間行われる山形県内で最も規模の大きな祭りだ。恐らくこの人だかりの大半はそれ目的の観光客だろう。
とすれば今日は祭り当日ではないものの余裕を持って少し前から宿を取る観光客も少なからず居るはずだった。
これは少し急いだほうがいいかもしれない。
観光客にも知れたの有名店はどこも混みあうのは用意に想像できた。

186 四条貴音のラーメン探訪番外編その2夏の山形編
2014/09/03(水) 23:31:41.99 ID:ws4aj2x8

人でごった返す駅の構内を抜けて東側の出口から大通りへと出る。
そのまま少し歩いてミスド、モス、ファミマ等のどこにでもある店を通り過ぎ幾つめかの信号で左側へ曲がると市内では比較的活気のある繁華街に差し掛かる。
が、今日は道の入り口に車両通行止めの標識が立てかけられ道の両脇にはずらりと屋台が並んでいた。

ああそうか今日はこれがあったか。
タイミングがいいのやら悪いのやら。
「プロデューサー殿、これは一体……」
「うーん、とりあえず歩きながら説明するから先にラーメン屋済ませてもいいか? この分だと結構込混んでると思うから」
「そうですね。地元の方であるプロデューサー殿が言うのでしたらそうした方が良いのでしょう」

様々な屋台を後目に歩きながら説明を始める。

山形では花笠祭りって大きな祭りががあるんだけど、その前日、つまり今日は観光物産市っていうのがあるんだ。
これは県内の各市町村が名産品を持ってきて屋台で売る観光客向けのイベントで有名な土産は大体ここに揃うから今日来られたのは運がいいかもしれないな。

「成る程そのような……」
と自分の言葉に頷きつつも歩く度に通り過ぎる屋台にもの凄い勢いで後ろ髪を引かれている貴音がおかしくもあり少々気の毒でもあるが仕方ない。
これから行こうとしている店はガイドブックにもよく載るために昼のピーク時ともなれば店の外にまで行列が出来る程の有名店なのだ。
(念のため断っておくが田舎ではどんな店だろうと行列が出来る事自体滅多に無い)
そのまましばらく歩いてこの辺りでは比較的大きな書店を通り過ぎた所で石畳風に舗装された脇道に入る。
更に歩くと目的の店に到着する。店名の漢字が書かれた大きな暖簾が目印になっている店だ。幸いな事に混んではいるがまだ待たなくても入れそうだった。

店の中に入り中央に置いてある楕円を描くカウンター席に二人並んで座る。
注文を聞きに来たバイトらしき若い店員さんに「冷やしラーメン2つ」と告げてようやく落ち着く。
大した距離を歩いたわけでもないのに既にシャツには汗が滲んでいた。隣の貴音は見る限りあまり変わりないように見えるが。
「貴音はどうやってここの事を知ったんだ?」
「前回の時以来山形の事を調べておりましたら冷やしらぁめんなる単語を見つけまして……」
そう、冷やしラーメンである。断じて冷やし中華ではない。
京都程有名ではないが山形も四方を山に囲まれた盆地であり夏の暑さはかなりのものとなる。
そんなさなかに夏でも食べられるラーメンはないかと言うことで冷たいラーメンを考案したのがここの店で、それ以来各地に広まっていくこととなる。
つまりこの店は冷やしラーメン発祥の地という訳なのである。
今でこそそれなりの知名度を得て少し探せばどこでも食べられる冷やしラーメンだがやはりラーメン好きの貴音にとっては元祖ともいえるこの店の味に興味を持つのは当然の事と言えた。

187 四条貴音のラーメン探訪番外編その2夏の山形編
2014/09/03(水) 23:32:59.54 ID:ws4aj2x8

さして待つこともなく注文の品が目の前に置かれる。
見た目は普通の醤油ラーメンで上にはは海苔、メンマ、チャーシューとスタンダードな物の他にもやしがタップリと乗っている。
まずはスープを一口。よく冷えてサッパリした味わいの澄み切ったスープが熱を持った体に染み渡っていく。
隣からは、
「ほう……」
と感心したような声。どうやらお気に召したらしい。
思わず続けて飲んでしまいそうになるところにブレーキをかけて麺に取りかかる。
麺は中太のストレートでこの辺りのスタンダードな麺だ。
冷やされたことでコシを増した麺が心地よい歯ごたえを返してくる。
続いて再度スープを一口。
鰹節と昆布をベースに牛のダシも加え冷やした時に一番美味くなるようバランスを整えられ、
スッキリとした味わいのスープはそのままでも十分に美味いが、どうしても足りなくなるコクをうっすらと引かれた胡麻油が補って物足りなさを感じることは無いのも特筆すべきだろう。
麺を啜り、スープを飲み、モヤシとメンマので口の中をリセットする。
チャーシューは牛の赤身のみを使用しているので冷えた脂の心配をしなくてもいい。

いくら名物といっても冷たくしても良いようにアレンジされてはいるが基本は奇をてらわないシンプルなラーメンである以上味もいわゆる日常の味だ。だからこそ安心して食べられる。
一口食べ進めるごとに腹が満たされ体に溜めこまれた熱が引いていく。
満足感と共に箸を置いて貴音の方を見れば彼女も食べ終えたようでその丼の中には一滴のスープも残ってはいない。

備え付けのティッシュで口を拭き少し腹を落ち着ける。
唯一の難点を挙げるとすれば胡麻油で少し口の周りがベタついてしまう事ぐらいだろうか。今のように拭いてしまえば気にもならなくなるのだが。
「そろそろお暇するとしましょう」
てっきりおかわりをするかと思っていただけに少し拍子抜けした顔になっていたらしい。
「待ち人も増えてきたようですし、あまり長居をしても迷惑になりましょう」
入り口に目を向ければ貴音の言うとおり順番待ちの列が店の外にまで延びていた。

会計を済ませて店の外へ出るとつい今し方まで引いていた筈の汗が一歩踏み出した途端に吹き出てくる。

しかし一杯で足りるのだろうかという疑問は大通りに出ている屋台の方を指さし、
「ではプロデューサー殿、案内してくださいますね?」
そう言って微笑む貴音の言葉で氷解する。
こっちも忘れてなかったわけだ。

通りは市町村の出店の他にも通常のお祭りと同じような出店も出ているから結構なにぎわいを見せている。
歩きながら一つ一つ記憶を頼りに解説していく。

188 四条貴音のラーメン探訪番外編その2夏の山形編
2014/09/03(水) 23:35:24.17 ID:ws4aj2x8


それでは山形の名物と言えばはらぁめん以外にはどのようなものが。
基本田畑が多いから農作物が多いかな。米なら数年前に出たつや姫とかが有名だな。
あとは果樹も豊富だからそこら辺の加工品も結構あるぞ。
今の時期だと桃、スイカ、ピークはちょっと過ぎたがさくらんぼも幾らか残りがでてるかもな。今は夏用の紅姫なんてのもあるか。
成る程。大いに期待が膨らみます。

とりもつらぁめんとは。
新庄市名物、その名の通りに鳥のモツをつかったラーメン。仲を取り持つとかけた単なる語呂合わせだが味は結構侮れないぞ。
ふむ、初めてですがなかなかに滋味深い味わい。たとえ屋台とあっても手を抜くことのない姿勢。まこと見事でありましょう。

この冷やし肉そばは。
河北町名物、かけそばの上に薄切りの鶏肉を乗せた肉そばを夏向けにアレンジしたやつ。その名の通りこれも冷たいやつだな。
ほう。冷たくありながらかけとももりとも違うこの味わいもなかなかに美味。

ぱいんさいだぁに、すいかさいだぁですか。
パインの方は昔からあるローカル飲料。スイカは初めてみるから最近出来たのかな?
ではこちらのすいかさいだぁを試してみる事と致しましょう。
……何かを口にして微妙な顔をする貴音を初めて見た気がする。そんなに酷いのか。
酷い訳ではないのですが……なんとも言えず面妖な味わいとしかいえません。このような味は初めてです。

ワインですか。
県内に11箇所あるワイナリーでも一番規模の大きい高畠ワイナリーが有名だな。
高畠駅は駅構内に温泉があるからその趣味の人の間では結構有名らしい。さすがに貴音は成人してないからワインはまた今度だな。
お酒を嗜むようにならなくてはいけませんね。来年が楽しみです。

どんどん焼きとは。
小麦粉を薄くのばして焼いて割り箸に巻いてソースとか青海苔をかけた山形のローカル食品。
思いっ切り簡素にしたお好み焼きと言えなくもない。餅とかチーズ入りはここ数年で出た新商品だな。
この気取らぬなんとも親しみのある味わい。小腹を満たすのに丁度よい大きさとも相まって癖になりそうです。

この玉こんとは。
何故か山形はこんにゃく消費量日本一でな。そんな訳で一口大の丸いこんにゃくを醤油で煮て味を染み込ませた昔からの名物。
食べる時は串に刺す。温かいほうは辛子、冷たいほうは酢味噌をつけるのが一般的だな。
では両方頂くとしましょう。おお……しっかりと中まで染みたシンプルな味わい。何よりも適度な口の中が喜んでおります。

トマトジュース?
これは俺も初めて見るな。うわ、値段も半端ないな。最近出たのかな? 
これは……何と。一切甘味料を加えずにこれほどの甘みを出せるというのですか……見事というより他にありませんね……

だだちゃ豆ですか。最近よく名前を耳にするようになりましたが如何程のものか試してみると致しましょう。
最近PR$頑張ってるみたいだからなぁ。ブランド化狙ってるんだろうな。
ほう……この濃密で香ばしい味わい。確かに全国へ広めるだけの価値はありましょう。

りんごのパイ、とれたての桃、米沢牛のコロッケ。
どれも収穫してからすぐにここへ運ばれてくるため文字通り新鮮な物ばかりだ。
貴音は一つ一つに足を止めてじっくりと眺め、味わっていく。

189 四条貴音のラーメン探訪番外編その2夏の山形編
2014/09/03(水) 23:38:06.93 ID:ws4aj2x8

屋台が途切れた少し大きな十字路の真ん中で花笠踊りの実演をしている。
踊り自体は単純な物だから見てすぐの観光客も見よう見まねで何人か参加している。
止める間もなくその輪の中に貴音も入って踊り出す。
さすがに周囲も気づいたようでちょっとした騒ぎになったりした。
プライベートで来ている事を説明してあまり大事にならないようにして貰う。
「やっぱり冷やしラーメン食べにきたんですか?」
貴音。行動読まれてるぞ。

そんな小さなアクシデントはあったが、自分の故郷を楽しんでくれている事が素直に嬉しいと思った。


「一つ、頼みごとをしてもよろしいでしょうか」
「とりあえず聞くだけは聞いておこうかな」
臆病と言うなかれ。この業界軽々しくハイと頷くと後が怖いのだ。
「来年、私に花笠祭りの仕事を取ってきて下さいますか」
少し間抜けな顔をしていたと思う。確かに花笠祭りはゲストを呼ぶがまさか自分から希望するとは思っていなかった。
「あまり面白い顔をなさらないで下さい。この空気に触れてこの町の事がもう少し知りたくなったのです。何もおかしくはないでしょう」
その言葉を聞いた時胸に広がる喜びをどう表現すればいいだろう。思わず大声で笑い出したくなる衝動を抑えながら慎重に言葉を選んでいく。
「一年も先の話だ。確約はできないけど覚えておく。それでいいかな」
「楽しみに待っております」
とんでもないプレッシャーををかけられてしまった。だが、決して負担ではない丁度よい重さだった。

冷房の利いた新幹線の座席に深く身を沈めると思わず疲労の息が漏れた。
炎天下の下を歩き回るのは予想した以上に体力を消耗したようだった。
向かいに座る貴音の足下には紙袋が一つ。
他の持ちきれない土産と一緒に宅急便で送ったらどうかと提案したが自分の手で持ち帰りたいと言った花笠が入っている。
花笠音頭をアレンジしたメロディが鳴り止んで新幹線は静かに走り出す。
お互いに何も言わずに過ぎ去っていく風景を見つめている。
振動と共に紙袋の中の花笠が揺れて、小さくチリンと鈴の音を鳴らした。

190 創る名無しに見る名無し
2014/09/03(水) 23:42:36.67 ID:ws4aj2x8

以上投下終了。
話自体は以前から考えていたんですがものがものだけに今まで時期をうかがっていたらPCがお亡くなりになりまして。
そしたらなんかこないだ冷やしラーメンがテレビ番組で紹介されたようで結果オーライ。
ついでに祭りと地元名産も一緒にぶち込んでみました。
少しでも皆様の食欲を刺激できれば幸いです。それではこれにて失礼。

191 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2014/09/12(金) 23:37:54.90 ID:ODGwNAxo

あーテステス。また来ました。
今回は鷺沢さんの軽いお話。

192 創る名無しに見る名無し
2014/09/12(金) 23:39:21.34 ID:ODGwNAxo

「おはようございます……」
その日、いつものごとく鷺沢文香は控えめな声量で挨拶をしながら事務所の中へとその身を滑り込ませた。
と、普段であれば誰かが返してくる筈の挨拶が聞こえない。少しばかり不思議に思って部屋の中を見回してみればその原因はすぐに知れた。
二人の人間が一つだけ用意された机を挟んでお互いの手を握りしめながら向かい合っている。
どこからどう見ても腕相撲であった。

近くのソファにバッグを置きながら近くに居た多田李衣菜に声をかけてみる。
「あの……」
「あ、鷺沢さんお早う」
「皆さん一体何を……」
「腕相撲。やったこと無い?」
それは見ればわかる。文香が聞きたいのは何故腕相撲などをしているかの理由であるのだがそのあたりが伝わらなかったようだ。
目を離した隙にどうやら決着がついたらしく控えめな歓声と共に悔しげに頭をかく木村夏樹とガッツポーズをしてみせる松永涼の姿が見えた。
さあ次は誰だ、言葉にこそ出ないがそんな空気が漂う中皆近くに居る面々の顔を見回すと李衣菜と目が合ってしまった。
「そうだ、鷺沢さんもやろうよ」
「え……いえ私は……」
だが最後まで返事を聞かずに「はーい次あたしー!」と大きな声を出しながら文香の手を引いて机の前まで連れて来てしまう。

193 創る名無しに見る名無し
2014/09/12(金) 23:40:20.31 ID:ODGwNAxo

机の前に立った二人に視線が集まる。アイドルを始めてからは他人の視線にも幾分慣れてきて緊張はしなくなったがそれとこれとはまた別問題のような気もする。
もはや逃げ道は無いらしい。
ため息をついて覚悟を決めると近くに立っていた相川千夏にストールを預かってもらう。
軽く腰を屈め肘をついてお互いの手を握る。
左手は机の角に添える。
対する李衣菜の目は期待で爛々と輝いている。己の勝利を一部も疑っていない顔だ。
審判を勤める木村夏樹が二人の手を押さえ、
「レディ……」
静寂。
一拍の間を置いて、
「GO\ガターン!/

決着は開始の合図とほぼ同時であった。
「……へ?」
李衣菜は間の抜けた顔で倒された己の手を見つめて目を白黒させているが周りの皆もそれは同じらしく目を見開いたまま二の句を告げないでいる。
ようやくショックから立ち直った李衣菜が往生際悪く手を振り回しながら
「も、もっかい! 今のは油断しただけだから!」
と返答も聞かず再度の挑戦。しかし、

\ガターン!/

結果は同じであった。

「アイエエエエ! ナンデ!? フミカ=サンナンデ!?」
最早錯乱状態に近いテンションで謎の言語を口走る李衣菜を姉貴分の木村夏樹が苦笑混じりに宥める。
「落ち着けだりー。言葉遣いが変になってるぞ」
「なつきち! 強い! 敵! 取る! 」
「だからおまえはどこの先住民族だっつーの」
のたうち回る李衣菜をアイアンクローで沈めながら文香へと向きなおり手を差し出す。
「そんなわけでこいつが納得してないみたいだからさ。悪いけどアタシともお願いできるかな」
お願いと言ってはいるがどうも断れる雰囲気ではないらしい。口元は笑っているがその目は鋭く細められている。
「ついでにさ。アタシ左利きなんだけど大丈夫?」
頷いて差し出された左手を掴む。
手に返ってくる力は先程の李衣菜よりもずっと強い。
軽く息を吐いて脇を締める。
なんだかんだで文香も染まってきているようだった。

そして。

194 創る名無しに見る名無し
2014/09/12(金) 23:41:12.38 ID:ODGwNAxo

「いやーまいったまいった。利き腕だからいけるかと思ったんだけど文香さんほんとに強いね?」
叩きつけられた左手をブラブラさせながら感心した様子で呟く夏樹とは対照的に未だに納得がいかないのか李衣菜はしきりに頭をひねっている。
「いっつも本読んでるからなんて言うか、か弱いイメージあったんだけどなぁ」
その言葉を聞いてそれまで見物人となっていた相川千夏が呆れ混じりの声を出した。
「そんな訳無いでしょ」
「知っているのかちなったん!」
「その呼び方やめてくれる? 軽く殺意が沸いてくるから」
なにげに物騒な事を口走りながら文香のバッグが置かれたソファへと近づいてバッグを持ち上げると、
「文香ちゃんちょっとこのバッグ借りるわね」
そう断りを入れてから李衣菜へと差し出す。
「ちょっと持ってごらんなさい。落とさないように気をつけてね」
そんなに危ない物が入っているわけでもあるまいし、一体何に気をつけろというのかと訝りながら受け取った瞬間、
「ぐぎぇ」
予想外の重量に手から落ちそうになるぎりぎりのところでかろうじて踏みとどまる。
「何これすごく重いよ? 一体何が入ってるの?」
その声は殆ど悲鳴のようなニュアンスで文香へと向ける視線も助けを求める物が混じっている。
「本……ですけど……」
「本でコレってどんだけ入ってるの!?」
「ええと……」
そうして中から取り出して並べられた雑誌、文庫、新書、ハードカバー等の数々。
「うぇええぇ」
「まあこれはちょっと入れ過ぎの気もするけど」
「すみません……手元に本がないと落ち着かなくて」
少なくともこのぐらいの量は文香にとっては普通の範疇に収まっているのだが。

「新聞の束を考えてみなさい。紙って重いのよ。書店員が体力仕事なんて有名な話なんだから。文香ちゃん読むだけならともかく地元じゃ古書店で働いてたんでしょ? そりゃ結構力あるわよ」
確かに思い返してみれば本の山を抱えながらすいすいと動いている姿をよく見かける。
今まで気にかけていなかったがあれだけの数ともなれば重さもそれなりになる訳で、つまりそれを軽々と持ち上げられるということは……
これからは皆の文香を見る目が少しだけ変わりそうだった。

195 創る名無しに見る名無し
2014/09/12(金) 23:42:49.10 ID:ODGwNAxo

「おはようございまーす」
明るい挨拶の声と共にプロデューサーが入ってくる。
「どうした、皆集まって何してたんだ?」
「ええと……腕相撲を……」
「腕相撲? なんでまた」
プロデューサーは心底不思議そうな声を出すが文香自信にもよくわかっていないのだから聞かないで欲しい。
「そうだ、プロデューサーさんもやろうよ」
「俺もか? まあ、たまにはこういうのもいいか」
そこで李衣菜はイタズラっぽい笑みを浮かべて、
「ただし、文香さんと!」
急に話を降られて文香は思わず眼をぱちくりと見開いてしまう。
「俺は別にいいけど文香はいいのか?」
しばしの空白。しかしこの間に文香の脳裏を駆け巡った単語と思考は膨大な量に上る。そして出た結論。
「ええと……よろしくお願いします」

なんだか妙な流れになってしまった。
というかしっかりと手を握りあって顔もこんなに近いのにこの絶望的なまでの色気の無さは一体なんなのだろう。
しかもプロデューサーの方には全く気にしたような様子が見られないのが何となく面白くない。

「レディ……」
G\ガターン!/

「アーハハハハ弱えー! 瞬殺とかプロデューサー超弱えー!」
「えー? いやちょっと待って文香なんでこんなに強いの!?」

本日も平和である。

196 創る名無しに見る名無し
2014/09/12(金) 23:45:36.14 ID:ODGwNAxo

以上投下終了。
貧弱な者に書店員は務まらぬのだ。とかそんな感じで。
そろそろサイドMも書いてみようかなーなどとつらつら考えたり。
ではこれにて失礼。

197 創る名無しに見る名無し
2014/12/02(火) 15:30:35.77 ID:G18n2ui3

初投稿・初創作です

「よつばと!」とのクロスオーバー
よつばが主役です
アイマス側の登場人物は春香(Pが少し)
ジャンル:ifモノ?

198 創る名無しに見る名無し
2014/12/02(火) 15:35:15.26 ID:G18n2ui3

― 東京のどこか とあるビル

とーちゃん「よつばはこの辺に来るのは初めてだったな」

よつば「なー!でっけーたてものばっか!きょうはここで かいもの?」

とーちゃん「買い物はあとで、今からとーちゃんは仕事だ」

よつば「そーだった!きょうのとーちゃんはいつもよりちゃんとしてる」

とーちゃん「ちゃんとって…スーツ着てるだけなんだけどな」

よつば「とーちゃんがしごとのとき よつばは?」

とーちゃん「ん?ああ、この会社は託児所があって」

よつば「たくじゅしゅ」

とーちゃん「託児所。まぁ、行けば分かる。とーちゃんの仕事が終わるまで、遊んで待ってろ」

よつば「よつばはあそびだったかー」

とーちゃん「…いいか、よつば。たとえ遊びでも全力を出すんだ。全力を出してこそ、見えてくるものがあるはずだ」

よつば「わからんけど わかっぱー!よつば はっしんします!」ダッ

とーちゃん「よつば!そっちじゃない!」


― 同ビル 会議室前

春香「今回のオーディションも不合格…」

P「すまん、春香。俺の指示ミスのせいだ」

春香「そんな!私の実力がまだまだだったんですよ。やっぱり私、アイドルとして個性がないから…」

P「何言ってるんだ、まっすぐでどこまでも頑張れるところが春香の個性であり長所だ。何にも代えがたい才能だと思うぞ」

春香「…」

P「もうこんな時間か…ワルい!俺はこのまま次の現場に行くから、ここで解散ということで!」

春香「あ、はい!お疲れさまでしたー」

春香「(プロデューサーさんはああ言ってくれたけど…)」



審査員A「素朴といえば聞こえはいいけど、どこにでもいる子的な?」

審査員B「振付け通りに踊れればいいってわけじゃないんだよ」

審査員C「彼女の歌には訴えてくるものがない」



春香「(アイドル、向いてないのかなぁ…)」

199 創る名無しに見る名無し
2014/12/02(火) 15:36:45.23 ID:G18n2ui3

― 託児所

よつば「ぜんりょくであそぶのもあきたなー」
 
よつば「おばちゃーん」

保母「どうしたの、よつばちゃん」

よつば「とーちゃん、いつしごとおわる?」

保母「そうねぇ、3時くらいに終わるって聞いてるけど」

よつば「はー、たいへんなー」

よつば「トイレにいってきます!」

保母「あらあら。おトイレは少し遠いから、ついてってあげるね」



<ウワーン ソレトモチャンノー!

保母「あっ大変!よつばちゃん、おトイレ終わったらそのまま待ってて!」

よつば「わかっぱー!」



よつば「まつのもたいへんなー。あっ とけいだ」
 
よつば「ながいはりが、3、! さんじなった!」

よつば「でもとーちゃんこない…しかたないなー よつばがむかえにいくか!」

ボタンポチー エレベーターパカー

よつば「これにのろう!これのったほうがちかみち!」


― エレベーター前


春香「(今日の自主レッスン、どうしよう。このまま帰ろうかな…)」

エレベーターパカー トテテテー

「(ん?子供が出てきた。外国の子…?)」

エレベータートジー

「あーーーっ!」

春香「!?」開ポチポチィ

200 創る名無しに見る名無し
2014/12/02(火) 15:37:24.53 ID:G18n2ui3

よつば「みずがー!とまらない!すごくでる!」

春香「うわわ!」ダッシュ! アーンド ドンガラガッシャーン

よつば「! ねーちゃんだいじょーぶ? あ みずとまった」

春香「イテテ…私は平気だけどトホホ…それより、どうしたの?」

よつば「あはは!これなー ボタンおしたらなー みずがすごくでた」

春香「ん?この水飲み器、故障中って書いてるよ。壊れてるみたい」

よつば「そーだったか どーりでな」

マジマジー

春香「なあに?私の顔、何かついてる?」

よつば「ねーちゃんかわいい!」ビシッ

春香「えぇ?!そう?あ、ありがとエヘヘ… お嬢ちゃんもすごくかわいいよ」

よつば「よくいわれる よつばそーいうとこあるから」

春香「あは、よく言われるんだー。よつばちゃんっていうの?」

よつば「うん!こいわいよつば!5さい!ねーちゃんはー?」

春香「私は、、オホン 天海春香!16歳です!」

よつば「はるか、ふーかとおなじだ!よつばのおとなりさんの ふーかもなー16さいだった」

春香「へー、そうなんだー。それよりよつばちゃん、服ビショビショだよ?」

よつば「…はっ!なんてことを…ちょっとかわかしてくるな?」ダッ

春香「えっ、乾かすって、ちょ、どこ行くの―?!」

ピタッ

よつば「そと でも、でかた しらない」

春香「…いっしょに行こっか」

201 創る名無しに見る名無し
2014/12/02(火) 15:39:36.96 ID:G18n2ui3

― ビルのそばの公園

よつば「そうだ!」

ヨーイヤサー ヨーイヤサー

よつば「いっぱいうごけば はやくかわく」

ヨーイヤサー ヨーイヤサー

よつば「あ!これ おまつりのとき みうらがおどってたおどり!」
 「ほんとはみうらだけなんだけど、ちょっとおしえてくれた!」

春香「へー、上手だね。よつばちゃん、踊るの好き?」

よつば「すきー!あと、おうたも!はるかはー?」

春香「私も、踊りも歌も好きだよ!」

よつば「はるかー!はるかもおどれー!」

春香「…。いっちょやりますか!」


♪追いかけて 逃げるふりをして そっと潜る私マーメイド


よつば「おー!はるかもうまいなぁ!」

春香「ウフフ♪ありがと!」


♪そうよ永遠の夏 きっときっとドラマが始まる


よつば「はー、かわいた!」

春香「…」

よつば「はるか?どうしたー?」

春香「…ちょっとね。よつばちゃん、どんなに踊っても、どんなに歌っても、
誰からも上手だねって言われなかったら、よつばちゃんならどうする?」

よつば「そんなことかんがえもしなかった…よつばはただおどってうたってるだけだからなー」

よつば「はるか、だれからもじょうずだねっていってもらえないの?」

春香「…うん」

よつば「あんなにおどりうまいのにか」

よつば「でも、うたはあんまし」


春香「 (のヮの;) 」

202 創る名無しに見る名無し
2014/12/02(火) 15:40:41.72 ID:G18n2ui3

よつば「はるかも、ただおどってうたえばいい それがいい」

春香「…」

よつば「はるか、げんきないな?よし、よつばのとっておきをやろう」ゴソゴソ

春香「?」

よつば「はい!」

春香「…リボン?」

よつば「このリボンはすごいぞ かっこいいとらがかわいくなった あさぎもいってたから、まちがいない!」

よつば「だから、はるかもこれをつけて もっとかわいくなるといい!」


よつば「あ!いまなんじ?」

春香「え?今、三時過ぎだけど…」

よつば「さんじなってる?とーちゃんしごとおわった?!」

春香「え?え?」

とーちゃん「よつばー!」

よつば「あ!とーちゃんだ!とーちゃーん!」

とーちゃん「お前、こんなとこにいたのか。おばちゃんすごく困ってたぞ。ほら、謝りにいくぞ」

よつば「とーちゃん、はるかだよ! よつばといっしょにおどってくれたー」

春香「よつばちゃんのお父さんですか?すみません、私が連れ出したんです」

とーちゃん「あ、いやむしろ見ていてくださったようで助かりました。こいつ、よく勝手にどっか行くもんで。なにかご迷惑を…」

春香「いえ、とんでもないです。それに、助けてもらったのは私の方ですから」

とーちゃん「?」

春香「よつばちゃん、ありがとう!いろんな人に上手だねって言われるように、私ガンバるから!」

よつば「おー!ガンバれー!」

203 創る名無しに見る名無し
2014/12/02(火) 15:41:34.26 ID:G18n2ui3

…しばらく経ち

― 小岩井家

TV♪追いかけて 逃げるふりをして そっと潜る私マーメイド

ジャンボ「やっぱ、はるるん可愛いよなー」

とーちゃん「はるるん?」

ジャンボ「天海春香。知らねーのかよ、大人気のトップアイドルを」

とーちゃん「知らん。つかお前、この前はしんかんナントカがいいとか言ってなかったっけ」

よつば「♪あたしまーめ」

ジャンボ「お、よつばもはるるん好きか。それに引きかえ、とーちゃんはダメだなー!」

よつば「なー!とーちゃんはダメだー!」

とーちゃん「…」

end

204 創る名無しに見る名無し
2014/12/02(火) 15:42:03.37 ID:G18n2ui3

以上です

ご意見ご感想お待ちしてます

205 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2014/12/20(土) 02:04:24.61 ID:eri9ab3b

あーテステスお久しぶりです。
ちょっと短いの投下します。
アイマスシリーズも色々増えてきたのでここらで全部ぶちこんだのを書いてみようかなと。
軽く読める短いのを書いてみました。

206 混ぜm@sその1
2014/12/20(土) 02:08:02.03 ID:eri9ab3b

事務所に入ったらカエルの着ぐるみが踊っとった。しかもニ体仲良く。
やたらと楽しそうにしとるけど表情が無いのでちょっと怖い。
動きそのものは達者と言ってもええレベルやけど一言も発しないために中身がだれだかさっぱり見当がつかない。
というかさして広くもない事務所の仲で踊るな。
いや確かに視界の狭い着ぐるみのまま備品や家具に一切触れずに踊りきるその実力は大したものだとは思うけどなあ。

あ、動きが止まった。
ピシ
ガシ
グッグッ
(ジョジョ三部のアレ)
意気投合したみたい。
あ、アカン目が合うてしもうた。
当然近づいてくるわな。中身が泥棒やったりしたらどないしよ。

片っぽのカエルが頭を外して中から出てきたのは……
「貴音さん!?」
765プロの先輩四条貴音さん。この人やったらまあ納得できてしまう。なんでかは自分でもようわからんけど。
じゃあもう片方は響さんやろか。亜美真美ちゃんやとちっとばかり背が足りひんもんなぁ。
ほんで出てきたのは……
「誰!?」
いや私の記憶にないでこんな顔、こんな言うたら失礼やけど。
どっちかっていうと可愛い系のめっちゃ美形の顔と金髪碧眼にボブカット、肌も白い。
明らかにこの国の人や無い。ていうか、
「男やないですか!?」
一応ここは年頃の女の子が集まる765の事務所や。そこに謎の男の人とかちょっと考えてしまう。
けどもそこはやっぱり貴音さんやった。動じた様子も無く手を差し出す。
「初めまして。私は四条貴音と申します」
ちょお待った貴音さん、初めましてって相手の事何も知らんと一緒に事務所の中で踊とったんですか。
「ボクはピエールだよー」
着ぐるみの手が固い握手を交わす。うわぁ……めっさシュールや……
ようやく名前の判明したピエールさんは未だに着ぐるみを脱ごうとしない。
もしかしてあの下は裸やなかろうか。あかん一瞬想像してしもた。
「すいませんけどその着ぐるみ脱いでもらってええですか?」
「いいよー」
ああよかったちゃんと服着とった。いや普通の服やなくまるでお話の中の王子様が着るようなのやったけど全裸よりはよっぽどマシやからこの際気にせえへん。
てゆうかよく見たら多分ステージ衣装や。ステージ衣装着たまんま着ぐるみに入っとったんか。勇気あるなぁ……

207 混ぜm@sその1
2014/12/20(土) 02:09:46.41 ID:eri9ab3b

しかしどこから聞いたものかなぁ。どうやって知り合ったんとか、何で踊っとったんとか、
色々気になることが多過ぎて逆に何から聞いたものかさっぱりわからへん。
ポン、と肩に手が置かれる。貴音さんがめっちゃ悟った顔でこっちを見とる。
「奈緒。よいではありませんか」
「アッハイ」
どうせ聞いたところでわかるはずもないし。そんなわけで現実逃避バンザイ。

「さてピエール。お近づきの印に何か共に食べようではありませんか。何か所望の物はありますか?」
「コナモノ!」
即答かい。しかもその王子様みたいな面で粉モノて。
粉モノってあれやろか。お好み焼きとかその類の。
あ、なんか嫌な予感してきた。
貴音さんがじーっとこっちを見てる。
ついでに隣のピエールさんもこっちを見てる。めっちゃワクワクした顔で。
いや確かに私はこっちに来る時家からたこ焼き用の分厚い鉄板を持ってきたけど。
ちょっと前にここで披露してそのまま置きっぱなしになってるのがあるけど。
作れとおっしゃいますか。
今この場で。

参ったなぁ。あーこれはNOとは言えんわ。
「わかりました。不肖ながらこの横山奈緒、精魂込めてたこ焼き作らして貰います」
よっぽど嬉しいのか二人で踊りだした。
そこまで喜んでもらえるならこっちも手ぇ抜いたのは作れんわな。
どうせそのうち他のメンツも帰ってくるだろうし、久しぶりに関西人の誇り見せつけてやろうじゃないですか。

208 創る名無しに見る名無し
2014/12/20(土) 02:13:43.18 ID:eri9ab3b

以上投下終了。
てなわけで765の四条貴音さんとミリオンの横山奈緒さん、
そしてsideMのピエールさんでした。
これからこんな感じで軽いのをちょくちょく投下していけたらなと思ってますのでコンゴトモヨロシク
204 ようこそいらっしゃいませ。肩の力抜けてて良い感じですね。
よろしければこれからもよろしくお願いします。
それではこれにて失礼。

209 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2014/12/31(水) 14:53:13.73 ID:5OI/qDnw

あーテステス。また来ました。
今回も気軽なごちゃ混ぜシリーズです。

210 混ぜm@sその2
2014/12/31(水) 14:55:43.50 ID:5OI/qDnw

その惨状を目にした瞬間に木場真奈美は己に課せられた使命をはっきりと理解した。
すなわち、この音楽以外の能力が欠如した集団に数日間人間らしい生活を行わせること。
目の前にはグランドピアノと適当に毛布を敷いただけの床に着の身着のままで眠りこけている数名の男女。
文字だけならばもしかしたら色気の欠片も期待するかもしれないがその様なものは一片たりとて存在しないことを木場はよく知っている。
カーテンを全開にすれば既に日は頂点へとさしかかる頃であるにもかかわらず誰一人として全くこれっぽちも起きる気配が無いのが木場の推測を裏付けている。
どれ、と気を取り直し大きく息を吸い込むと、
「総員起床!!」
と叫んだ。
元々ボーカルトレーナーの予定で帰国した木場である。
その恵まれた体躯と常人離れした肺活量をフルに使用した声は文字通り空間そのものを震わせ全員の目を強制的に覚ますことに成功した。
飛び起きる者、のろのろと体を動かす者、この後に及んで寝っころがったまま視線だけを向ける者と反応は様々だ。
「お早う諸君。目は覚めたかな?」
「「あ゛~~い」」
とりあえず声を出しただけというのが丸わかりの合唱が帰ってきた。
およそアイドルが出していい声ではなかったがこの程度いちいち気にしない。



事の発端は誰だったか。
確か如月千早がたまには音楽に集中したいと言い出したのが始まりだったように思う。
続いて同事務所に所属する最上静香が便乗し、他に誰か候補はいないのかとプロデューサーが聞いたところ、
両親をクラシック奏者に持つ梅木音葉、
海外で既にプロとして活動していた木場真奈美、
幼少よりヴァイオリン一筋で何の因果かこの業界に入ってきた神楽麗、
現代アマデウスとも呼ばれる都築圭の名を挙げ、
駄目で元々と連絡を取ってみたところ奇跡的な確率でスケジュールの空きが合致しこの合宿が実現したという事である。
街より少し離れた合宿所を手配した時点で男女を一所に押し込めて何か間違いがあったらどうするという意見も無いではなかったが、都築と神楽両名を実際に見た瞬間に周囲のその疑念は払拭された。
大丈夫だ。こいつらならばありえないとその場に居た全員が確信したのは本人達の名誉のために伏せておく。 
ところがいざ出発となった段階で木場に急な仕事が入り一人だけ遅れての参加となってしまった。
その間木場の頭の片隅には不安が残っていた。
最初に述べたように男女のどうこうではない。
問題はわずか一日の間とて彼女らが人間らしい生活をしているかどうかである。
音楽に限らず何か一つの才に恵まれた人間というのはえてして日常生活を送る普通の能力に乏しいところがある。
久々の音楽に没頭できる環境に文字通り寝食を忘れたりしてはいないだろうかという不安だ。
何度も繰り返すが彼女達はアイドルである。下手を打ってニキビや吹き出物など作ったりしたら目も当てられないのだ。
そしてその懸念は正しかった。

211 混ぜm@sその2
2014/12/31(水) 14:58:35.51 ID:5OI/qDnw

「まずシャワーでも浴びて目を覚ましてくるといい。その間に食事は私が作っておく」
既にブランチの時間すら過ぎ去っているので朝食などとは間違っても言えない。
「一通りの物は作れるが何かリクエストあるかな?」
「できれば……うどん以外の物で……」
千早がおずおずと手を挙げながら呟くいた言葉に他の面々も同様に頷く。
「承知した。しかし何故」
「昨日は3食うどんだったので」
そこで不服そうな声を上げたのは先ほど頷かなかった一名。
「私は別にかまいませんけど」
そうかおまえが犯人か。
いや、この面子であれば食事を作っただけでも大したものかもしれないが。
「ところでシャワーの順番はどうしましょう?」
「女性陣が先に入ればいいい。すまないが男性陣は少し待っててもらおう」
男性陣の方を見ると特に気にした様子も無い返答が返ってきた。
「どうぞお気遣い無く」
「えー……一日くらいいじゃないかめんどうくさい」
「都築さんそれはさすがにどうかと」
木場はスタスタと歩み寄ると浜辺に打ち上げられた海藻の如く未だ床にのびたままの都築を片手で持ち上げ、
「一つ言っておくがご婦人方の前で清潔にしておくのはアイドル関係なく人として最低限の礼節だ。もしそれすらできないと言うのであれば」
「どうなるんだい?」
「私が丁寧に隅々まで洗ってやろう。何、気にすることはない。男性の裸を見たところでうろたえるような年でもないからね」
表情こそ笑顔ではあるが有無を言わせぬ凄みがある。そしてやると言ったら躊躇無く実行に移すだろう。
「わかったよ。ちゃんとするよだからこの手を離してくれないかい」
「よろしい」
木場は手を離す。放り投げるのではなくちゃんと軟着陸させるのは流石だ。
「音葉で幾らか慣れていたつもりだがこれは一筋縄では済まないな」
と、そこでなにかに気づいたようで動きが止まる。
「ちょっと失礼」
そう言うやいなや神楽の体を持ち上げる。
「うわっ」
何かを確かめたようでふむ、と一人納得すると、
「不躾な質問ですまないが神楽君、体重は?」
「この間計った時は52だったように記憶しているが」
「そうか」
再度床に寝転がったままの都築の元へ、一応気遣ったのか腰のベルトをつかみ持ち上げ2、3度と上下に動かす。
ちなみにこの間も都築はされるがままだった。
ふーっと長いため息を吐いて、
「どうして20cm近くも身長が違うのに体重がさして変わらないんだ!?」
と叫んだ。
それは神楽も思う。というか315プロの面々は皆思っている。ついでに初対面の人間からはまず例外無く心配される。
神楽の名誉の為に断っておくが断じて神楽が重い訳ではない。都築が軽すぎるのだ。
「そんな事私に聞かれても知らないよ。ずっとこうだったんだから別にいいじゃないか」
「そうはいかない。別にオペラ歌手のようになれとは言わないが、ステージに立つ以上最低限の体と体力は必要だ。ある程度は体を鍛えないと満足に声も出せないぞ」
既にプロとして活動していた者の言葉は重みが違う。
「佐竹さんに頼んでみましょうか」
「そうね。そのくらいは必要かも」
どうやら彼女らにも何か案があるらしい。
「まあ、おいおい考えていくさ。とりあえずは今の食事からだ」
木場は愛用のエプロンを身につけてキッチンへと動き出した。

212 創る名無しに見る名無し
2014/12/31(水) 15:01:45.06 ID:5OI/qDnw

以上投下終了。
いやー木場さん書きやすい。
またそのうち来ますので。それではこれにて失礼。皆様良いお年を。

213 </b>◆zQem3.9.vI <b>


2015/01/29(木) 11:39:54.14 ID:LmiY0vkj

210
千早を筆頭に音楽ジャンキー(?)な面子ばかり一同に会すると
こうなるのか的な様子が何とも……
あ、あと覚えている方いらっしゃれば幸いですが、三年くらい前にここでim@s&amp;amp;#9747;テイルズの
クロスの『TOWもどきim@s異聞』を書いていた者です。きつい治療のストレスを発散する意味も兼ね、書きためた
続きを投下しようかと思っているのですが、ここ最近感想を書く方がいらっしゃらないように
見えるのが気になっているのですが……。

214 創る名無しに見る名無し
2015/01/29(木) 12:25:18.99 ID:Kj5F4z3E

ミテマスヨーミテマスヨー
具体的な感想とか書けないので読むばかりですが…

215 </b>◆zQem3.9.vI <b>


2015/01/29(木) 12:39:37.77 ID:LmiY0vkj

214さん
読み手が過疎ってるという訳でもないようで良かったです。
実は半端に書きましたけど、今ある病気で入院中で、きつい治療でややストレスが
たまってせん妄状態なんですよね(いや、来週退院ですけど)
それで書きためてたの少し投下して、この『感想ほしい症候群』をどうにかしようと
思ったんですが、どうしたものか……

216 創る名無しに見る名無し
2015/02/01(日) 23:57:35.73 ID:66Cfklbb

http://asdlkj43.blog.fc2.com/

217 </b>◆zQem3.9.vI <b>
2015/02/02(月) 17:22:11.53 ID:ypQQHkBX

3年ぶりの長編投下致します。
・テイルズオブザワールド×アイドルマスターのクロスオーバー
・文章に大いに厨二要素(多分)がある可能性大。
・テイルズサイドの世界設定が独自のもの。
・アイマスサイドの出番は現時点で春香のみ。 (あともう一人の存在を最後に匂わせます)

以上の要素に抵抗及び拒否感を覚える方はスルー推奨。

218 TOWもどきim@s異聞~第一章~春香編 27
2015/02/02(月) 17:24:49.18 ID:ypQQHkBX

「よし、じゃあお前は今日と明日はしっかり休め」
「――えぇっ!?だってこの後も約束あるし・・・・・・」
 懲りるということを知らないのか、コイツは。
 いつの間にやら、呼吸するように他人を手伝うことが当たり前になっている幼なじみの悪癖に、リッドは内心嘆息する。
「モンデンキント――っていうか、ロア達も久々に顔出してきたみたいだしよ。
 お前一人がそこまで気張る必要はないって」
「えっ、ロア達が!?」
 慣れ親しんだ名前に、ファラはガバッとベッドから飛び上がった。
 狩人と農婦という牧歌的な肩書きがデフォルトの筈のこの少年少女二人は、その実フロランタン村においては比肩しうる者なしと評判の腕っ節自慢である。
 自らそれを標榜していたという訳ではないにせよ、彼らがいつの間にか村の用心棒的な役割を担うようになったのは、ある意味当然の帰結だった。
 そんな感じである時、村の家畜や畑を襲う魔物退治に(独断で)赴いた際、別口の依頼で現場でかち合い合流したのが彼ら『モンデンキント』の若手三人衆だった訳で、
年が近いこともありお互い打ち解けるのにそう時間は掛からず、今では互いに何くれとなく農作業だったり魔物退治だったり、とにかく色々協力し合っている。
 古代神官語で『月の子』を意味する名を持つそのギルドは、発足して一年足らずにも関わらず既に村へやって来た時点でヴォルフィアナ中に名を馳せていたらしい。
 当初こそ何処かからフラリと現れた富豪の男性が立ち上げた道楽ギルドだのと好き勝手言われていたものの、記憶喪失だというあの万能イエスマンことロアを引き入れた時から
流れは一変した。
 彼と、桃色の髪に快活な笑顔がよく似合う魔法剣士カノンノ、そして負けん気が強く高飛車ではあるがプロ意識の高い僧侶ロッタのスリーマンセルは、採取や護衛、魔物討伐に
至るまであらゆる依頼をこなしてギルドの評判を跳ね上げている。
「まあ仕事中みてえだけど、こっちが困ってるっていや少しぐらい手伝ってくれるだろ。『うん』っていつもみたいにな」
 アニーから又聞きした、春香と彼らのいざこざのくだりには敢えて触れずに一応釘を刺す。
「・・・・・・でも、いつも助けてもらってるけど、ロア達が優しいのにつけ込んでるみたいで気が引けるよ」
 彼らには魔物退治を始め色々手伝ってもらうことも多いが、その殆どが依頼としてではなくなあなあに近い形になる上に、村全体の資産もそこまで潤ってはいないので、結果満足な
報酬も支払えないことがままあった。何だかんだ言いつつも彼らのリーダーというかギルドマスターも別に催促する訳でもないのが、ファラとしてはかえって心苦しい状態なのだろう。
 しかし、彼女とは真逆に程々に図太くラフな生き方をしている幼なじみはとえいば、その言葉をちょっと違った角度で捉えているようだった。
「・・・・・・『優しい』ねぇ」
呟かれた言葉にはどこか奥歯に物が引っかかったような、むずがゆい何かを堪えるような響きがあった。
 ほんの微かではあるものの、長い付き合いの幼なじみのそれを見逃すファラではない。
「・・・・・・私、何か変なこと言った?」
「へ。――いやちょっと待て、何でそうなるんだよ。別にまだ何も」
 言い訳めいた口調で弁明しようとするリッドだったが、生まれてこの方カーブを知らないような真っ直ぐなその視線には耐えられなかった。

219 TOWもどきim@s異聞~第一章~春香編 28
2015/02/02(月) 17:28:43.58 ID:ypQQHkBX

 しばしの沈黙の後、ポリポリと頭を掻いて、
「・・・・・・あいつ、前に騒がれてたろ。記憶喪失のせいか知らないけど、本当に怖いもの知らずな上に普通なら無理だって言われることも本気でやろうとするもんだから。
――ディセンダーの再来なんじゃないか、って」
 脈絡なく出てきたそのキーワードに、ファラは眉をひそめる。
 ディセンダー。世界が危機に瀕した時に現れる世界樹の申し子。
 あらゆる人間を超越した可能性の塊であり、無知にして無垢なその魂はやがて種が芽吹くかの如き緩やかさで、人々に希望をもたらす救世主たる大器となっていくという。
 多分言っている連中は面白半分なのかも知れないが、リッド自身が段々ロアという人間を知っていくにつれ、その噂に見出したのは希望なんて甘い無責任な期待でなく――
 
――仮にも背中を預けあった人間に向けるものとしては、あまりにも――

「・・・・・・あの、お二人の時間を邪魔してしまうようで申し訳ないんですが」

 家主にして今この場で一番世話になっている相手であるアニー女史の存在で、直前までの空気が思い切り固まった。
「お、おおどうした? 今になって診察結果に異常あったとかはナシだぜ?」
「いえ、先程も太鼓判を押しましたけど回復さえすればファラさんは全くの健康体ですが・・・・・・」
 戸惑うように間を置いてから、彼女は躊躇いがちに窓を指さし――

「この村に来て日は浅いんですけど――お祭りに歌唱会なんて予定してましたか?」
「「へ?」」

220 TOWもどきim@s異聞~第一章~春香編 29
2015/02/02(月) 17:34:29.35 ID:ypQQHkBX

          ※※※※※※※※※※※※※※

唐突だが、今し方診療所の二人に噂されたばかりのロア・ナシオンは、珍しく困っていた。
 村長を筆頭によく仕事を回してもらう関係からすっかり馴染みのスポットとなっているここフロランタン村は、今日も変わらず平和だ。
 そよそよと吹き抜ける風によってゆるやかに回る風車、放牧された羊達を追う牧羊犬といった肩の力の抜けるような緩やかな景観に、『祭りの準備』という非日常要素も加わって、
どこかそわそわと落ち着かない空気も添えられる。最近頼まれる前に「やる」という気の回し方をようやっと覚えてきたロアとしては、祭りの準備でも手伝ってみようかなと先程までは
思っていたのだが。

「・・・・・・あー、あー♪ ドーレーミーレードー♪」

 ・・・・・・隣で発せられる、全身の力が抜ける怪音波により、彼を始め仲間二名はヘナヘナとくずおれる寸前だった。
「・・・・・・ロア君、今何か失礼なこと考えなかった?」
「とりあえずこのまま君が発声練習し続けてるとその内力抜けて倒れそうだなとは思ったけど、それが失礼なのかまでは」
「うわぁ、悪気ないんだろうけどすっごい暴言」
「・・・・・・ねぇ、私達いつまでこの拷問に耐えなきゃいけないのかしら?」
 地面に膝をつきながらも、疲れたように言葉を絞り出すロッタが、発声練習に精を出す春香にそう問いかけた。
「あー、うん。そろそろいいかな。喉の調子も何とか整ってきたし・・・・・・」

221 TOWもどきim@s異聞~第一章~春香編 30
2015/02/02(月) 17:39:28.51 ID:ypQQHkBX

 春香の歌を聞いてみたい――
歌い手と踊り子を合わせた職(多分)だというアイドルの役職を説明されて、何気なくそう呟いたカノンノに罪はない。
 ただ、そんな風に後押しされて発声練習を始めた春香が――実に生き生きとした表情で口を開いた瞬間、意識は白くなり遠いどこかで『ズコー』とか『音程さん仕事して』という
訳のわからない単語が脳裏を飛び交い、全身の筋肉から力が抜けるような心地を味あわされた。全く訳がわからないが、ある種の呪文攻撃だったのだろうか。
「やってくれるじゃない・・・・・・雰囲気だけは人畜無害そーな感じになった途端、今度はこんな怪呪文を」
「いやロッタちゃんも! これ、一応呪文とかじゃないんだよ!? というか、そんなに言われるほどヒドいかなぁ!?」
「悪意がないつもりなら申し訳ないけど、発声練習段階でここまで人を腰砕けに出来るなら立派に兵器よ」
「ま、まあまあ・・・・・・た、楽しみだなー、春香の歌」
 言いながら草むらにへたり込んでいるカノンノの顔と声は、あからさまに引き攣っている。
 彼女自身あれだけ気力を根こそぎ奪われたのだ、こんな流れを導いた己の言動を思い切り後悔しているのは、人生経験の少ないロアでもハッキリわかった。

「・・・・・・何か釈然としないというか凹むけど、それじゃあいっくよーっ・・・・・・」

 バッとスカートの裾を束ねると、膝の辺りくらいまで上げて結び合わせてみる。多少不格好だが、『踊るのにこの丈では絶対に転ぶから』のことらしい。

「――何の茶番なのかしらね、これ」
 ため息をついて春香を見つめるロッタの目は相変わらず険しい。それを見かねたようにカノンノがやんわりと、
「もう、だからロッタ・・・・・・」
「別に意地悪とか仕返しのつもりで言ってる訳じゃないわよ。――貴女だって覚えてるでしょ?」
 ほんの少し戸惑いの色を見せたのも一瞬だった。
 思い当たったからだ、茶番と言い切るまた別の理由に。 
 
「あれと同じ顔が、歌なんて下らないって平然と言ってた筈なのにね」

 呆れ混じりに呟いてみても、それがいつものロッタの不平にしてはらしくない密やかなものであったのは、春香の耳に
届かないようにという配慮だったのか。

222 TOWもどきim@s異聞~第一章~春香編 31
2015/02/02(月) 17:46:31.57 ID:ypQQHkBX

「・・・・・・色々言いたいことはあるだろうけど。やっとさっきよりは楽しそうな顔してくれてるんだし、あんまり虐めないであげてよ?」 
「ちゃんと聴かない内からケチをつける程狭量じゃないわよ」
 その一言で胸を撫で下ろせる程カノンノもバカではない。このロッタという少女の場合、聴いた後なら遠慮なくグサグサ言ってやるという言外の意思表示だというのが、
長年の付き合いでよくわかる。
「でも歌なんて久しぶりだな。――って言っても、パニールが歌ってくれた子守唄ぐらいしか知らないけどね。ロッタの方が歌には詳しいんじゃない? ――譜歌(スコア)だっけ、
教会の人がよく歌ってるのって」
「――畏れ多い間違いをしないで頂戴。賛美歌と一緒にしたら、枢機卿猊下辺りに怒られるわ」


 二人が呑気なやり取りをしていられたのもそこまでだった。
 ごうっ、と吹き荒れる一陣の風。草むらを踏む軽いステップ。そして、春香がそこにいるだけで作られた草原という『舞台(ステージ)』。
 次の風鳴りを合図にして、見えざる波が燎原に広がっていくなんて、誰も思っていなかった。


「―――いっくよー! 765プロ、ファイトーッ!!」



       ※※※※※※※※※※※※※※



 理由もわからず走り出し、こちらのコントロールも受け付けなくなった愛馬(近くの牧場から借りてきただけだが)に這々の体でしがみ着いて、ようやっと馬が足を止めた時に
クレス・アルベインが目にしたのは、自分の村とも懇意にしているフロランタン村の門前だった。額に巻いた赤いバンダナとハシバミ色の髪は汗に濡れ、平素より剣士らしからぬ
温厚さと精悍さが同居したような顔つきには、疲れの色が濃く滲んでいた。
「・・・・・・やっと、止まったか・・・・・・。おーいクレス、大丈夫か?」
 息をせき切らして追いついてきた、水色の長髪を低い位置で結った、どこか斜に構えたような顔つきの幼なじみ――チェスター・バークライトが、ちょっと気遣わしげに告げてきた。
 背中の矢筒を背負い直し、いきなり走り出した幼馴染みの愛馬を不可解な物でも見るように、しかし丁寧にその鬣を撫でてやる。
「あ、ああ・・・・・・にしてもどうしたんだろう?この子、さっきまで大人しかったのに・・・・・・」
「・・・・・・さっき魔物に襲われて鬣ちぎれた時の、『怪我はないけど、毛が無くなっちゃったね』にイラッときたんじゃねえの?」
「い、いやだってバッサリ切れた訳じゃないけど毛並みが不揃いになっちゃったし。それにチェスター、ちゃんと僕は『毛が』の前に『ちょっと』って入れたよ!?」
「そういう問題じゃねえよ! お前のダジャレ喜ぶのなんて何処かのまな板位なんだから少しは自重しろって――」
 そこで一瞬、チェスターが言葉を詰まらせたのがわかった。気づきながらも、クレスは敢えて微笑みながら指摘せずにそのまま、
「・・・・・・通じちゃう僕も同罪かも知れないけど、それ聞かれてたらもう二度と口利いてもらえなくなると思うよ」
 そんな風に締め括ってから、ふと村の様子がいつもと違うことに気づく。
 『いつも』と言えるほど頻繁に足を運んでいる訳ではないのだが、この時期なら村のそこかしこに散らばって祭の設営に精を出しているであろう村人達の姿が、今日に限って
入り口はおろか周囲の家々にも見当たらない。
「・・・・・・何だろう、まさか魔物か盗賊に襲われた訳じゃないよね?」
「いや、そんなんだったらもっと荒れ放題だろ。・・・・・・まあとりあえず、目的の村長のじーさん家にでも行けば」
「――あれ、クレスにチェスターじゃん!」

223 TOWもどきim@s異聞~第一章~春香編 32
2015/02/02(月) 18:45:49.33 ID:ypQQHkBX

 ててて、と耳が小さな足音を捉えると同時に、マントをグイッと引っ張る微かな引力。
 見下ろしてみれば、そこでは泥だらけの格好になりながら笑顔で手を繋いだ子供達が、きらきらとした笑顔を向けていた。
「久しぶりー! なあなあクレス、時空剣士ごっこしよーぜー! チェスターは勿論魔王役ー!」
「あははは、勿論って何だこのジャリガキども」
「こらこら大人気ないってチェスター・・・・・・」
 ぶらーんと子供達の一人の襟首を持ち上げるチェスターに、しかし彼らはきゃーきゃー騒ぐばかりだ。やれやれと肩を竦めると、クレスは残る子供達に視線を合わせるように身を屈めて、
「やぁ、みんな元気そうだね。・・・・・・村の人達の姿が見えないけど、どうしたんだい?」
「あ、そうだ!」
 クレスの言葉で大事な何かを思い出したように、少年はパッと顔にひらめきを走らせた。
「こんなことしてる場合じゃなかった! 早く戻んねーと終わっちまう!」
「クレス達も! 早く広場へ急がないと見逃しちゃうよ!」
 誘導するように手招きする子供達に引っ張られる形で村の奥へと入っていくと、やがて二人の耳にさざ波のような音が響き渡ってくる。
 だが、近くに海もない村でそんな音が聞こえるわけもなく、奥へ足を踏み入れるにつれそれが人の声だと気づいた二人は、揃って首を傾げた。
 段々それが大きくなっていることに気づき、二人が顔を見合わせ首を傾いだ瞬間――



「・・・・・・すごいっ、凄いよ頑張れーっ、春香ーっ!!」
「お、おいこらあんまはしゃぐなよ! また倒れるぞ!」
「そんな野暮なこと言ってないで、ほらリッドも! さっき教えてもらった奴!」
「え、えーと・・・・・・な、765プロ、ふぁいとーっ・・・・・・?」
 テンションが真逆な聞き覚えのある声が2つ、耳に飛び込んできてクレスとチェスターは顔を見合わせた。
「・・・・・・リッド、ファラ!?」
「あ、クレス久しぶり! 今日は千客万来だね!」
「い、いやまあ久しぶり・・・・・・ていうか、この騒ぎって一体何が」
「凄いんだよ、春香! 伴奏もないのに皆がもうあんなにはしゃいじゃって・・・・・・」
 全くもって説明は期待出来そうになかった。渋面を作るクレス達の心情を察したように、リッドがクイッと顎で村の奥にある一点を示す。
「まあ、こーやって難しい単語使うのは柄じゃねーんだけどさ・・・・・・百聞は一見にしかず、ってやつだ。――聴き逃したら、絶対後悔すると思うぜ」
 人垣が円形を作った空白地帯で、一人の少女がいた。簡素な修道服の裾を膝辺りで縛り、軽やかなリズムで踊っている。
 露わになった脚のラインが視界に入って、反射的に(隣のチェスターはしれっとした顔で真っ直ぐに脚を凝視していたが)顔を背けそうになったが、それも少女の様子を
観察―――いや、歓声に紛れるその『声』が聴こえるにつれてその表情は次第に真摯なものへと変化していった。

224 TOWもどきim@s異聞~第一章~春香編 33
2015/02/02(月) 19:09:07.91 ID:ypQQHkBX

 歌声が、少女の周りをきらめいて舞っていた。


 歌の名は、『ストレートラブ!』というらしいと村人から聞いた。もう恋なんてしないと思っていたはずなのにまた恋をして、その気持ちの素晴らしさと二度目の想い人への
真っ直ぐな恋心を歌っている、要約してみればそういう他愛のない歌。なのに、目も耳も離せない。身体が、その場に縫い止められる。


 その声は耳と、それ以外の体の大事などこかに染み込んでいくようだった。

「・・・・・・クレス、チェスター」
 何を言えばいいのか――いや、そもそも目の前で起こっているこの歓声の坩堝に圧倒されている二人に、再び声をかけてきたのはやはりまた顔見知りだった。
「お、ロア、久しぶり・・・・・・って、ココナッツ娘と女王サマはどうした?」
「・・・・・・それ、カノンノとロッタのこと言ってるんだったら失礼だと思うよ」
「お前も段々わかってきてるじゃねえか――って、二人は二人で盛り上がってるみてえだな」
 片やきらきらという擬音が似合いそうな程の輝きを湛える瞳で、片や口を半開きにしたいとけない姿で、歌っている少女を見つめている。
「不思議だね。――普通に知ってる言葉の筈なのに、知らない国の言葉みたいに聞こえる」 
 それはいつもと変わらない、抑揚のない彼らしいトーンの台詞。正直、ちゃんと感動してるのかも怪しいその姿につい苦笑するけど、でもすぐに気づいた。

 この少年は、胸を弾ませている。自分達と同じ物を見て、感動して、心を躍らせているのだと。

「――うん、そうだね」
 昴揚し、鼓動も高鳴っている。それでも穏やかに声を返す余裕があるのは、クレスもチェスターも知っていたからだ。いつか見た、これと同じ光景を。
 楽器による伴奏も、きらびやかな衣装もないのに、高らかに村中を満たす声とリズム。
 それだけで、歌っている少女だけでなく、周りの見えない筈の空気までもがきらめいて見えるようなえもいわれぬ感覚。
(ああ、そうか)
 覚えてる。背を向けていたけど、あの時の少女が己が目に映る世界全てに向けていた歌は、確かに自分達の心を揺り動かした。
 今ではもう、研ぎ澄まされすぎて悲鳴にも聞こえてしまう、彼女の歌は――。

225 TOWもどきim@s異聞~第一章~春香編 34
2015/02/02(月) 20:23:05.64 ID:ypQQHkBX

  ――眩しくて逃げた いつだって弱くて あの日から――


「――ありがとう、ございましたーっ!」
 割れるような拍手と、地鳴りのような足踏みが土を揺るがす感触により、クレスは過去の記憶から回帰する。
「いいぞー春香ちゃーん!」
「アンコール!アンコール!」
「ねー、他にはどんなお歌知ってるのー!? もっともっとー!」
「さっき歌ってた『ごまえー』ももっかいやってー!」
「・・・・・・ち・・・・・・ちょっと、待っ・・・・・・て・・・・・・流石に何曲連続もやると、声が・・・・・・」 

 蝶々のような赤いリボンにシスター服。優しげな碧色の瞳にはどこか困ったような、けど確かな喜びが浮かんでいた。髪の色も長さも、陽だまりのようなその笑顔も、
似ても似つかない――でも確かに重なるのだ。

 胸が、もっと言うなら心臓の深い部分が痛む。マトモに『歌』を聞いたこと自体、久しぶりだったからだろうか。日数的にはまだ一年にも満たない、あの時の記憶が蘇る。

 「・・・・・・いい歌だな。まあ、ちぃの奴には負けるけど」
 
 あっさりと、最近は口に出すことを躊躇っていたその名前を耳が捉えたこと、そしてその主がチェスターだったことに純粋に驚く。
 でも、細められた瞳の奥を見てすぐにわかった。――敢えて、チェスターだって本当は、彼女を――千早のことを『思い出』という言葉の中に封じ込めたりしていない。
 忘れたりしないから、平気なフリを必死で装ってでも名前を出したんだと。さっきとは違って。

 あの、歌を誰よりも愛し、世界で一番歌に愛されていた筈で。
 もういない義弟との約束を守れずに、クレスがその手を離してしまった少女の名を。

 手甲に包まれた手を、ギュッと血が滲みそうな程握り締め、幼馴染みに告げる。

「チェスター」
「何だよ」
「明日の入団試験、絶対受かってみせる。そうでなきゃ、ここまで骨を折ってくれたマルスさんに合わせる顔がない」
 病床にありながら、義娘を自由にする唯一の希望を託してくれた、その想いを無駄にしない為にも。
「・・・・・・そうか」
 それきり、何も言わない。励ましの言葉なんてかけなくても、口に出した以上きっとクレスは頑張るだろうし、騎士団にだって入れる。
 そして会いに行くのだ。
 世界に歌を捧げ続けることを『誓わされ』、本来滅びるしか道のなかった筈の自分達の故郷を救った彼女に。

 不器用で努力家で、でも誰より歌を愛していた『妹』に。


(――待っててくれるかな……千早)

226 </b>◆zQem3.9.vI <b>
2015/02/02(月) 20:26:01.33 ID:ypQQHkBX

投下終了。
実に3年ぶりの投下となりました・・・・・・覚えてらっしゃる方はどれほどいらっしゃるでしょうか?こちらは相変わらず2chに慣れてないせいで
8回の連続投稿エラーを忘れて引っかかり、ようやく続きを投下出来た間抜けなSS書きです。
初めての方に向けて注釈をしておくと、以前の話は前スレの20から始まっており、まとめwikiと前スレに前回までの話が載っています。更に言うならミリマス・シンデレラ・Mマス以外
全部登場予定、要するに961・ジュピターも出ている無印・2・OFAがごっちゃになった世界観になってます。(765側の容姿は無印準拠、響と貴音は『現実』で961所属設定)
とりあえずこれからアイドルは色んな国や場所で色んなテイルズキャラと絡みつつ登場する予定です。自分に動画作成技術があればニコニコで、と思ったりもしますが、
感想なかろうとテイルズファンがいなかろうと初志貫徹でここのスレで頑張ろうと思います。(テイルズサイドがわからない方には酷ですが)
因みに筆者もテイルズの古参ファンという訳でなく、マトモに知ってるのはレディマイ2ぐらいです。(ぉい)

227 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2015/02/05(木) 22:36:54.01 ID:Y4GHyQKA

あーテステス。また来ました。
短いごちゃ混ぜシリーズ投下します。
今回は医療関係の皆さんのお話。

228 混ぜm@sその3
2015/02/05(木) 22:39:03.79 ID:Y4GHyQKA

程度の違いこそあれ基本的には懐かしい人との再会は大体嬉しいものだ。
ただ、その場所がテレビ局のロビーともなると意外過ぎて少しばかりフリーズしてしまうのも仕方のない事だろう。
もし人違いだったらどうしようかとついて回る僅かな不安を押さえ込んで声をかける。
覚えていなかったら思い出してもらえばいいいだけの話だし。なんて我ながら図太くなったと考えながら。
「桜庭せーんせ」
気難しそうな顔をして考え込んでいた顔がこちらを向いて驚きに変わるのを見た。
よかった。その様子だとちゃんと覚えていてくれたらしい。
「加蓮……か?」
「そ、綺麗でかわいい北条加蓮さんですよー」
笑顔でひらひらと手を振るが目の前の人は顔を押さえて再び考え込んでしまう。
なにその反応。ちょっと傷つくんですけど。軽く蹴っとばしてやろうかな。
「いや、まさかこんな所で知り合いに会うとは思わなかったからどうすればいいかわからないんだ」
「それはこっちの台詞だよ。一体何してるの?」
とは言ってみるが衣装を見れば出演者の1人だろうというのは簡単にわかる。
事前に渡されていた台本に「元医者の異色男性アイドル」なんて文字が踊っていたけどそれが知り合いだなんて一欠片程も想像していなかった。
「見てわからないか?」
「冗談だよ」
「その様子だと君も出演者か?」
「もう。私はれっきとしたトップ集団の1人です」
私と奈緒と凛のトライアドプリムスはトップグループの中の一角に食い込むほどの人気を得ている。
文字通り今回の番組の目玉だ。
「済まない。まだ業界に入って日が浅いものでな」

昔まだ私が入院していた時に医師免許を取得したばかりの研修医の1人として赴任してきたのが目の前に居る桜庭薫先生だった。
割合年齢も近かったこともあってかそれなりに会話を交わす程度には仲が良かったんだけど、
私の病気も完治して退院すればそれっきりだと思っていたのに人の縁なんてどこで繋がるかわからないものである。

「でも偶然って怖いね。医者と患者がこうして再会するなんて。これで清良さんまでいたら何かのドラマみたい」
「清良さん?」
「うちの事務所のアイドルで元看護士さん。怒ると怖いよ?」
「……」
「何その沈黙」
「……さっき会ったが……居るんだ。僕たちが居た病院のじゃないがれっきとした元看護士が。さっき挨拶をしてきた」
「マジ?」
わざわざ苦労して取った資格を放り出して芸能界なんてヤクザな職場に来るなんて物好きもそんなに何人も居るんだろうか。話には聞くけどもしかしたら医療業界って想像以上にブラックなのかも。
しかし医者、看護士、患者と勢ぞろいになっちゃうとなるともう少し進行とか台詞考えたほうがいいのかなぁ。きっと司会の人もそのあたりは突っついてくるだろうし。

229 混ぜm@sその3
2015/02/05(木) 22:41:20.88 ID:Y4GHyQKA

「おはようございます」
ステージ衣装を着た女の人が挨拶をしながらやってきた。なんかふわふわした感じの人だ。
パーマのかかった髪とか全体的な雰囲気がそんな感じ。
あと凄くおっきい。どこがってそりゃあ……
さすがに及川さんとまではいかないけど(あれはもう規格外だ)うちの事務所の中でもこれを越えるのはそうそう居ないんじゃないだろうか。
「ああ丁度よかった。今貴方の事を話していたんです」
先生が女の人へと話しかける。と、いう事はこの人が。
「彼女が豊川風花さん。今話していた元看護士の人だ」
あ、ちょっと頭の上に?マークが見える。これは説明しておいた方がいいかも。
「あ、どうも北条加蓮です。桜庭先生が居た病院に入院してた時期がありました」
「ああ、そういうことでしたか」
なんか話し方も結構穏やかな感じできっと見た目通りの人なんだろうなぁ。
しばらく3人で病院あるあるネタで盛り上がった後、ちょっとさっきから浮かんでいた疑問を聞いてみることにした。
「そういえばまだ聞いてなかったんだけど、なんでアイドルになろうなんて思ったの?」
「……」
「ちょっとその沈黙怖いんだけど」
「いや、よく思い出せない。確かに契約書に判を押したのは自分の意志なんだが、どうしてその決心をしたのかがよく……ひょっとして僕は口車に乗せられたのだろうか……」
「待って。ちょっと待って」
これはちょっとマズい流れかもしんない。隣の風花さんに話題を向けて方向転換を計らないと。
「でも、風花さんもアイドルの仕事は楽しんでるでしょ?」
「え……と……」
「ねえ風花さん待って。そこで考え込まれると私どうしていいかわかんない」
「確かに胸がおっきいからそういうお仕事が取りやすいのもわかるんだけどプロデューサーさんわざとじゃないかって時がいっぱい……
ちゃんとした普通のお仕事もあるんだけどやっぱり時々だしもしかして私の反応見て楽しんでるだけなのかしら……」

何コノ状況。16歳の女の子そっちのけで大の大人2人がウンウン唸ってるとかどうしていいかわかんない。

「ごめん30分くらい前からやりなおしていい? 桜庭先生に声かけるところあたりから」
さすがにちょっと泣きたくなってきた。藪をつついて蛇を出すってこういう事なんだろうか。
と思ったら2人ともあっさり立ち直って、
「いや大丈夫だ。どんな過程であれ自分で選んだ仕事である以上全力は尽くす」
「なんだかんだ言っても楽しいもの。私も行くわ。それじゃあ本番でね」
なんて言い残して2人とも行っちゃった。
なんだかんだ言っても切り替えが早いのはやっぱり私より大人なんだなぁとかよくわかんない感心したりして。

確かに私もそろそろ準備しないと。丁度頼りになる仲間も来たことだしね。
「ここに居たんだ加蓮。そろそろ本番始まるよ」
「何だニヤニヤして。なんかおもしろいことでもあったのか?」
「ううん、なんでもない」
「嘘付け、それがなんでもない顔かよ」
「まあ、ね。芸能界の先輩としては新人さんに恥ずかしいとこは見せられないなって」
やっぱりトップアイドルとしての実力ってのをちゃんと見せつけてあげようじゃない。

230 創る名無しに見る名無し
2015/02/05(木) 22:49:49.33 ID:Y4GHyQKA

以上投下終了。まあ定番といえば定番の組み合わせ。
このシリーず全体的にキャラに興味持ってもらえればいいなーとか
世界観が広がればいいなーぐらいの気持ちなんで割りとさっくりした感じで書いてます。
とりあえずキャラだけでも調べてみようかな。とか思って頂ければ幸いです。

226 お久しぶりでございます。入院しておりましたか。お大事になさってください。
自分以外の書き手さんがいらして喜んでおります。
テイルズはPSで出た3作しかプレイしておりませんが両方のキャラが違和感なく共存しているので
安心して読んでいられます。
感想が欲しいのでしたら確実とはいえませんがピクシブなどに投稿するのも一つの手かと思います。
それでは今回はこれにて失礼。

231 </b>◆zQem3.9.vI <b>
2015/02/06(金) 14:57:38.28 ID:Zgvt9VNn

228
成る程、言われてみれば凄い縁のある三人が見事にシンデレラ・Mマス・ミリマスから
選出されましたね(笑)経歴聞いたら通りすがりの監督が医療ドラマでも書き上げてきそうです。
感想については、前スレでそのことについて相談してみたら
マルチ投稿みたいで歓迎されないかもという意見もあるので悩んでるところです。
此処では8レス位でしばらく投稿出来なくなるのがネックとは思っているのですが……
まだ完結までは程遠いし、定期的に更新出来るかもわからないけど、
少なくとも今までの分をpixivとかに投稿してみたいなー、という気持ちがムクムク
育っていて……あれだけ大口叩いておきながら、自分が情けないです(涙)

232 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2015/05/12(火) 08:11:56.48 ID:rWhRD36P

ども、お久しぶりです。
ごちゃ混ぜシリーズ投下しますです。今回はメイド服の4人のお話です。

233 混ぜm@sその4
2015/05/12(火) 08:13:14.41 ID:rWhRD36P

「またお越しくださいませご主人さまー!」
遠くなる客の後ろ姿を見送りそれが最後の一人であることを確認して心地よい疲れと共に手近な椅子に腰を下ろす。
「休憩入りまーす!」
一人のスタッフの声と同時に周りを囲んでいた他のスタッフも散り散りになり張りつめていた空気が緩む。
今までカメラを向けられていた中心となる人物達も思い思いの行動に移る。。
満足げな水嶋咲と、対照的にどんよりとした重いものを背負ってテーブルに突っ伏す秋月涼と阿部菜々、
そしてまだ元気満々といった風情で不適な笑顔のまま立っている朝比奈りん。
以上の4名である。
ここは都内のメイド喫茶。
とある番組でさまざまな事務所からアイドルを出してメイド喫茶のウェイトレスをしようという企画が持ち上がり、
その舞台として選ばれたのが何の因果か阿部菜々さんの元職場であるこのメイドカフェだった。
ちなみに制服のメイド服は首までしっかりとボタンで止められたブラウスと膝下までのスカートと、
オーセンティックなものでいかがわしさは微塵も感じられない事は追記しておく。

「ぼくは何でここにいるんだろう……」
最早抜け殻といった体でつぶやくのは秋月涼。
「ちゃんと男だって世間に発表したはずなのに何で普通に女の子向けの仕事が入ってくるんだろう……」
衣装が似合っててなんだかんだいいつつもしっかり仕事はこなして
更に現場とファンの評判も良いのだからオファーの途切れる理由が無いのだが本人にその自覚は無い。

その反対側同じように机に突っ伏すもう一名。
「おかしい……このお仕事ってこんなに疲れるっけ……」
やはり寄る年並には勝てないのか……といった呟きは幸いにして周囲に聞かれることはなかった。
どうやら旧知の仲らしいチーフらしきスタッフが笑いながらたしなめる。
「なーに情けないこと言ってんの。ステージの上じゃ歌って踊って笑顔振りまいてるんだからこれ以上の重労働やってんでしょ」
「確かに理屈はそうだけどしばらく離れてたからカンを取り戻すのに時間がかかりそう……」
何気にタメ口を利く奈々さんというのはレアである。
以前は動けていたのにというギャップも疲労の原因にあるのかもしれない。

そんな二人の様子を少し離れて見ていた咲の背中に重みがかかる。
「咲ちゃんは大丈夫かなー?」
今回のメンバーの中では一番キャリアの短い咲に小悪魔然とした笑顔で近づいてきたのは朝比奈りん。
トップグループの一つである魔王エンジェルの一人だ。
首元までキッチリとボタンで止められているにもかかわらずその豊かな二つの膨らみは強く自己主張する。
小さな背丈と相まってトランジスタグラマと呼ぶにふさわしい体つきだった。

234 混ぜm@sその4
2015/05/12(火) 08:14:47.76 ID:rWhRD36P

「うーん仕事自体はこないだまでやってたのと大して変わりないから大丈夫かな。
制服も違うお店のだと新鮮で気持ちいいし。ただケーキのつまみ食いができないのはちょっと不満かも」
開店前にアスランの作る料理や東雲のケーキを食べるのは咲と同僚である巻緒の楽しみだった。
今思い返してみれば仲間意識でもあったし疑似家族のような雰囲気すらあったように思う。
撮影とはいえ、見ず知らずの他の店に入って改めて再確認する。
少し甘やかされていたと言われても仕方のない環境だったのだろう。
あそこはもうもう一つの家といっても過言ではない場所だったとそんな事を考える。
「で、ぶっちゃけどーよ。憧れの秋月涼くんと実際に競演してみたとりあえずの感想は」
「まだちょっとわかんないかな」
「およ、お話とかしてないの?」
「挨拶はしたけど涼くん楽屋でもちょっと落ち込んでたし、あんまり親しげに声かけるのもなんだかって感じだったから」
「涼くんも男の子のお仕事だってちゃんと来てるんだしそろそろ割り切ってもいいんだけどねぇ」
「そういえばえっと……」
「りんちゃんでいいよ~。咲ちゃんは特別待遇」
「んじゃお言葉に甘えて。りんちゃんはどうしてこのお仕事受けたの? なんか飛び入りで入ってきたって聞いたけど」
咲の言葉にりんの眼が細められる。その眼光の鋭さは猛禽類のそれだ。
「そんなの」
空気が変わる。
「面白そうだったからに決まってるじゃない」
あらゆる手段を使って上り詰め、更にその後もずっとその座を維持してきたトップアイドルの一人が持つ気配だ。
まるで野生の猛獣が傍にいるかのような錯覚すら覚える。

『撮影入りまーす』
再開を告げるスタッフの声が響きわたる。

ぱしん、と背を叩かれる。
「さて休憩終わり。そろそろ次のお客さんが来るよ」
その声からは先程の気配は霧散していた。
思わず息を吐いて二人の方を見る。
そこには先ほどまで机に突っ伏していた気配など微塵も無い。
背筋は伸び、顔は引き締められ、指先まで神経を行き渡らせてすでに次のご主人様を迎えるべく所定の位置に着いている。
「どう。あれがプロよ」
りんの声には軽く挑発するような、試すような色が見える。
たとえどのような状況でも瞬時に意識を切り替える。
口にするのは容易いが自分はあそこまで行けるだろうか。あの高みへと手が届くのだろうか。
憧れや、慣れだけでどうにか出来るほど甘くはないのだ。
思い通りになんてならない。
でも、
だからこそ楽しい。
「アタシもばびっと気合い入れて頑張らないとねっ」

235 創る名無しに見る名無し
2015/05/12(火) 08:18:26.19 ID:rWhRD36P

以上投下終了。
いやあウダウダやってたらSideM本編に涼くん来ちゃいましたよ。
どこも今後が楽しみです。
今回はシリーズ全部入れますのとおり漫画のリレからも一人入れてみました。
もっとこう垣根を取っ払ったお話が増えればいいなーなどと思いつつ今回はこれにて失礼。

236 メグレス </b>◆gjBWM0nMpY <b>
2016/02/27(土) 12:39:22.71 ID:jiYh/s83

どうもお久しぶりです。メグレスです。
また投下しに来ました。
いつも通りのごちゃ混ぜシリーズ。
今回の面子は握野英雄さん、西園寺琴歌さん、箱崎星梨花さんとなっております。

237 混ぜm@sその5
2016/02/27(土) 12:41:11.48 ID:jiYh/s83

「握野、英雄さまですわね?」
収録も無事終わりさて帰ろうかと歩きだした矢先にかけられた、
ひとつひとつの音を丁寧に発したその声は握野の耳によく届いた。
「確かに俺がそうだけどアンタは?」
向きなおり声の主を確かめる。
目に入ってきたのは声を二人組の少女。
「失礼いたしました。私、西音寺琴歌と申します」
「箱崎星梨花です」
ぺこりとお辞儀をするその少女の姿をそれとなく観察する。薄い桃色をしたロングの髪と好奇心旺盛な瞳。
口調や物腰からして育ちの良さを感じさせる。
後ろに立つ灰に近い色の髪をツインテールにした少女も小さく同じよう丁寧なお辞儀をする。
自己主張はそれほど強くはなさそうだがこちらも同じように育ちは良さそうな空気を纏っていた。
二人ともここに居るということは同業者だろうと見当をつけて名前を必死に頭の中で検索してようやくその名前に思い至る。
別事務所の女性アイドルだった。
「で、俺になんか用かい?」
用が無ければ声などかける必要もないのだろうが生憎と共演した経験もなければこれといった接点すら思いつかない相手の用件は見当すらつかなかった。
「その、折り入って一つ頼みごとがございまして……」
もじもじと言いにくそうに口をどもらせる。
これが例えば数年前で放課後の学校の教室だったりしたらもしかしたらと勘違いしたかもしれないが生憎とそんな年でもない。
思わず辺りを見回すがドッキリの札を持った輩が隠れている気配もなさそうだった。
やがて意を決したように一言。
「私達と牛丼屋さんに行って頂きたいのです」
「……ハ?」
思わず、それまでの緊張した空気を無に返す間抜けな声が漏れた。

238 混ぜm@sその5
2016/02/27(土) 12:42:19.85 ID:jiYh/s83

牛丼屋。
早い、安い、美味いを看板に掲げたすっかり日本にとってお馴染みとなったこの存在は警官時代の握野も夜勤明けでまともな店は開いていない時などよくお世話になったものだ。
(そーいや最近行ってなかったな)
ここのところは食事は現場で出てくる弁当だったりユニットのメンバーである信玄誠司の作る料理だったりで外食からはすっかり足が遠のいていたのは事実だ。
(さーてどこにすっかな)
一口に牛丼のチェーン店と言っても出始めた頃とは違って今はいくつかの種類がある。どれも大して違いは無いが結局スタンダードなところがよかろうと判断して吉○屋へと足を進めた。

大した距離でもないのでのんびりと三人連れ立って歩く。
「以前から行ってみたかったとは思っていたのですけれど……」
「それこそ君らのプロデューサーにでも連れていって貰えばよかったんじゃないか?」
わざわざ面識の無い人間に同行を頼むよりはそちらのほうがよっぽど気軽に思えるのだが。
だがしかし琴歌ははにかんだ顔をして、
「少しばかりはしたないところをお見せしてしまいそうで……」
成る程その表情は年頃の少女である。
納得はしたが新たな疑問が頭をもたげる。
「しかしなんで俺なんだ? これまで直接会った事はなかったはずだけどな」
「片桐早苗様からお聞きしまして」
「またあの人か……」
思わず握野の口から恨みがましげな声が漏れた。元婦警である片桐早苗とは現役警官時代の交流は無かったがこの業界に入ってから珍しい職業同士で何かと(一方的に)絡まれる機会も多かった。
どうやら今回もそのツテらしい。
ほぼ確実に後でからかわれる電話がかかってきそうだと軽いため息をつく。と、そこで先程より気になっていた事を口にする。
「そういや二人とも俺の顔は大丈夫なんだな」
握野の顔は整ってこそいるが鋭い目つきに三白眼とかなり強面の部類に入る。
怖がらないだけで十分だと冗談めかして言うこともあるが半ば本心だった。初対面の子供に泣かれたのも二度や三度ではきかない。
初対面でもそんな様子も見せずに接してくる二人にひょっとして顔つきも変わってきたのかと密かに淡い期待を抱いたりもしたのだが帰ってきた答えは、
「お屋敷にはもっと怖い顔の人も沢山しましたから」
との事である。
(確かにそりゃ慣れるよなあ)
察するにボディガードとかそれに類する職種だろう。そんなものが普通にに居るだけで相当なお屋敷であり二人共かなりのお嬢様であろう事は容易に察する事ができた。
自分にとってはごくありふれた牛丼屋でもそういったお嬢様からしてみれば珍しいものに見えるのかもしれない。

239 混ぜm@sその5
2016/02/27(土) 12:43:49.62 ID:jiYh/s83

店内はさして混んでもいない。お嬢様二人はおそらくメニューで悩むだろうと踏んでいたので逆にありがたかった。
握野、琴歌、星梨花の順番でカウンターに並んで腰をおろす。
「ほいメニュー」
「ありがとうございます」
「わ、こんなにいっぱいあるんですね」
星梨花の驚いた声にもう一度メニューを見てああと納得した。メインの種類は大したことがなくてもサイドや時間限定の朝食まで含めると結構な量になるからだ。
二人はあーでもないこーでもないと楽しそうにしているのでわざわざ水を差すこともない。申し訳ないがバイトの店員さんにはもう少し待っていて貰おう。
軽く右手で「悪いな」の意味を込めて礼をするとそれに気づいた店員も頷き返す。

「つゆだくやねぎだく等の呪文があるとお聞きしましたが……」
「そういうのは慣れてからでもいいと思うけどな」
「確かに仰るとおりですわね」
それから更に悩むこと数分。
「並3つにA定一つB定二つ」
「少々お待ちくださーい」



「はいお待ちどう」
予想以上の早さに二人とも目を白黒させている。時計を確認するが頼んでからまだ三分もたっていない。
基本あらかじめ準備されていた物を出すだけだからこその早さなのだがそれすらも驚きのタネのようだ。

「忘れるところでしたわ」
そう呟くと琴歌は握野へと自分のスマホを手渡す。
意図を察して牛丼と二人の姿を写真に収める。二人並んで笑顔、琴歌はまたドヤ顔である。ひょっとして気に入っているのかこれが素なのか。

「いただきます」
三人一緒に手を合わせて仲良く挨拶。
久しぶりに食べたが以前と何が変わったという事もなく、取り立ててうまい訳でもないが不味くもないごく普通の味だった。
ちらりと横目でお嬢様二人の様子を観察してみるとそれなりにお気に召したようだ。
どちらかと言えば味よりもその物珍しさからだろうが楽しんでいるならそれにこしたことはない。
最悪最初の一口に手をつけただけでギブアップなどという事態も想像していただけにそうならずに済んで安堵しているのも事実だ。

ふと横に目を向けると星梨花が半分ほど残った丼を前に手が止まっていた。
「星梨花さん?」
「ちょっと多いみたいです」
握野にしてみれば普通の量でも少女にとっては少し多かったらしい。もしくは続く同じ味に飽きてきたか。
「そういうときはこうして」
自分の分の半分ほどになった牛丼に別注文の半熟卵を乗せて黄身を崩す。トロリと流れ出る黄身の上に備え付けの七味をパラリ。
「こうやって味を変えるといいぞ」
「まあ、私もやってみましょう」
琴歌もいそいそと自分の丼に同じ細工をして食べ始める。
二人の食べる姿を見てこんなチェーン展開の牛丼屋でも食べ方で品の良さは出るものだと妙な感心をする。

240 混ぜm@sその5
2016/02/27(土) 12:45:24.14 ID:jiYh/s83

「「ごちそうさまでした」」
結局三人とも綺麗に完食できました。
完食したとはいえ星梨花も少しお腹をさすって苦しそうにしているので落ち着くまでしばし待つことにする。
デザートを入れる余裕は無さそうだ。
こういった時は何か会話でもすればいいのだろうが生憎とどんな話題を切り出せばよいものか。出会って数時間もたっていない相手では何を話したものか見当もつかない。
そんな悩みをよそに会話を切り出したのは琴歌だった。
「握野さまも犬の躾は得意とお聞きしましたけれど」
「よく警察犬の訓練にも顔出したりしてたからな。なんか知らないけどあいつら俺の言うことよく聞いてくれるんだよな。でも一番得意なのは犬だけど大抵の動物なら大丈夫だぞ」
「星梨花さんも犬の訓練をなさっているのでしたわよね?」
「アジリティ(犬の障害物走競技)のハンドラー(指導手)を少々」
「おお。そりゃ凄いな」
素直に感嘆の声が漏れた。
同時に星梨花の顔にも驚きと喜びが広がる。
あまり日常的に聞くでもない単語に即座に反応してきたからだ。
「そんなに凄いのですか?」
「文字通り犬と人間が一体にならないと上は狙えない競技だからなぁ。リードをつける躾とはまた違った難しさがあるぞあれ」
「もしよかったら今度見て貰ってもいいですか」
「俺でよければ喜んで。ちなみ犬種は」
「ボーダーコリーです」
「そりゃあ元気がよさそうだ」
「ハイ。とってもいい子です」
本当に彼女の犬を見ることになるかどうかはわからない。
ただ、口約束でも今は別に構わない。
目を輝かせる星梨花の顔を見ていい笑顔だと本心からそう思う。

「本日はどうもありがとうございました」
「いや、お礼を言われるほどの事はなにもしてねえんだけどな」
ただ牛丼のチェーン店に連れてきただけだ。
「何かお礼をしなくては」
「いや別にそれほどの事でも」
とは言ったがおそらくこのお嬢様はこちらが要求するまで引き下がることはないだろう。
ほんの短い時間の付き合いでもその程度はわかる。
しかし牛丼屋に連れてきただけに見合うだけの丁度いいお礼などすぐには思いつきそうもない。
(食い物だしこっちも食い物でか? いやいやそんなのすぐには……)
いや、ひとつおあつらえ向きのがあった。
「……パンケーキ」
「?」
「じゃあパンケーキの美味い店、今度教えてくれないか。好物なんだ」

241 創る名無しに見る名無し
2016/02/27(土) 12:48:46.87 ID:jiYh/s83

以上投下終了。
握野君と星梨花さんの犬繋がりはあったんだけどどう始めたもんか考えてたら
お嬢様仲間の琴歌さんがやってくれました。
これから先だとパンケーキ繋がりで周防桃子さんが来ても面白くなるかも。
それではまたいつか。これにて失礼。

242 創る名無しに見る名無し
2016/08/31(水) 04:56:18.56 ID:cOHXDcjI

.

243 創る名無しに見る名無し


2016/09/24(土) 15:24:43.69 ID:G6Bsg/Qb

ぷちます sideM

244 創る名無しに見る名無し
2017/07/25(火) 19:23:47.46 ID:TJT0HKS2

お久しぶりです、気づけば一番下だったので慌ててageました。その内何か投稿出来ればと思ってはいるのですが……。

245 </b>◆zQem3.9.vI <b>
2017/07/25(火) 21:44:05.89 ID:TJT0HKS2

↑お久しぶりです、◆zQem3.9.vIでした。

久々だったのでうっかりトリップの記入欄を間違えてしまっておりました。

246 北総社員
2017/07/26(水) 21:15:31.76 ID:K0519EM7

25歳看護師です、女性の友達がほしいのですが。暇の方連絡まってます。good-par.shiina@docomo.ne.jp千葉県八街市八街ほ973-13椎名 教泰043-442-1501、090-3202-8219

247 創る名無しに見る名無し
2017/12/27(水) 10:12:51.44 ID:C1Z7QFDy

家で不労所得的に稼げる方法など
参考までに、
⇒ 『武藤のムロイエウレ』 というHPで見ることができるらしいです。

グーグル検索⇒『武藤のムロイエウレ』"

22BDR4XKOK

248 創る名無しに見る名無し
2018/05/21(月) 08:54:08.62 ID:tRZnwP6O

知り合いから教えてもらったパソコン一台でお金持ちになれるやり方
参考までに書いておきます
グーグルで検索するといいかも『ネットで稼ぐ方法 モニアレフヌノ』

L6IXC

249 創る名無しに見る名無し
2018/05/22(火) 17:13:32.04 ID:jK7bNdUS

https://www.youtube.com/watch?v=ZuBrP_dcEug
平日13時15分に公開なのに14時半の時点でもう視聴回数2600回かよ。
みんな昼休みにでも聞いてたんだな。

250 創る名無しに見る名無し
2018/07/03(火) 18:37:29.23 ID:f1dClnnX

1NY

251 創る名無しに見る名無し
2018/10/17(水) 19:51:43.99 ID:ZU7x6aHX

中学生でもできるネットで稼げる情報とか
暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね

O2R

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勢い 15104.11 10.49レス/分 ニュース > ニュース速報+
【アメリカ大統領選】ペンシルベニア州の裁判官が共和党の側に立ち、選挙認証を停止 ★5 [豆次郎★] (1001)
勢い 14944.95 10.38レス/分 ニュース > ニュース速報+
【外国人参政権】茂木敏充外務大臣「定住外国人に地方参政権を与える」(2020年11月24日魚拓)★8 [どこさ★] (1001)
勢い 14787.85 10.27レス/分 ニュース > ニュース速報+
【IT】iPhone 12部品、韓国製が27.3%で最多 高価格部品のOLED約7300円を独占供給、米国の25.6%上回る日本は安い部品13.2%★2 [どこさ★] (1001)
勢い 14195.54 9.86レス/分 ニュース > ニュース速報+
【アメリカ大統領選】ペンシルベニア州の裁判官が共和党の側に立ち、選挙認証を停止 ★7 [豆次郎★] (1001)
勢い 14126.64 9.81レス/分 ニュース > ニュース速報+
【米大統領選】トランプ氏、政権移行業務を容認 敗北は認めず… ★24 [ばーど★] (1001)
勢い 14036.44 9.75レス/分 ニュース > ニュース速報+
【LIVE】東京都 小池知事会見「不要不急の外出をやめて下さい」 ★2 [ばーど★] (1001)
勢い 13808.56 9.59レス/分 ニュース > ニュース速報+
【au】KDDI社長「国に携帯料金を決める権利はない」 ★2 [雷★] (1001)
勢い 13801.69 9.58レス/分 ニュース > ニュース速報+
【au】KDDI社長「国に携帯料金を決める権利はない」 [雷★] (1001)
勢い 13328.16 9.26レス/分 ニュース > ニュース速報+
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【西村担当相】感染抑制できなければ緊急事態宣言も視野 ★4 [potato★] (1001)
勢い 13171.94 9.15レス/分 ニュース > ニュース速報+
【既視感速報】トランプ氏、支持者に「選挙を覆す」よう訴え… [BFU★] (1001)
勢い 13038.81 9.05レス/分 ニュース > ニュース速報+
【実況】SMBC日本シリーズ2020 第4戦 ソフトバンク vs 巨人★2 [ひぃぃ★] (1001)
勢い 12726.07 8.84レス/分 ニュース > 芸スポ速報+
【速報】新型コロナ 東京の新規感染者481人 [ばーど★] (1001)
勢い 12720.46 8.83レス/分 ニュース > ニュース速報+
「コンビニには毎日行ける」38歳ひきこもり息子が年金暮らし70代両親にパラサイトは許せるか [NAMAPO★] (1001)
勢い 12446.50 8.64レス/分 ニュース > ニュース速報+
Jざつ4422 (1001)
勢い 12279.77 8.53レス/分 ネット関係 > 難民
【外国人参政権】茂木敏充外務大臣「定住外国人に地方参政権を与える」(2020年11月24日魚拓)★7 [どこさ★] (1002)
勢い 12208.09 8.48レス/分 ニュース > ニュース速報+
【速報】巨人 SBにタイムリーで先制点 [427379953] (1001)
勢い 12109.72 8.41レス/分 雑談系2 > ニュー速(嫌儲)
佐々木希 Instagram大荒れ「そんなに金が必要なのか」「夫婦でちゃんと話し合われたんですか?」「国民は許さないよ
勢い 11830.23 8.22レス/分 雑談系2 > ニュー速(嫌儲)
Jざつ4429 (1001)
勢い 11722.20 8.14レス/分 ネット関係 > 難民
【米大統領選】トランプ氏、政権移行業務を容認 敗北は認めず… ★25 [ばーど★] (1001)
勢い 11700.48 8.13レス/分 ニュース > ニュース速報+
【菅首相】Gotoで「経済を回していかなければいけない」 継続に理解求める 25日 ★7 [ばーど★] (1002)
勢い 11589.11 8.05レス/分 ニュース > ニュース速報+
【コロナ】小林よしのりさん「400人や500人で驚くワイドショーは根源的馬鹿!1万%の馬鹿!」 [NAMAPO★] (1002)
勢い 11518.27 8.00レス/分 ニュース > ニュース速報+
巨人若大将4075 (1001)
勢い 11342.48 7.88レス/分 雑談系2 > モ娘(狼)
【緊急】西村「抑制出来ないなら緊急事態宣言」キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! [496411993] (1001)
勢い 11248.10 7.81レス/分 雑談系2 > ニュー速(嫌儲)
【マターリ】相棒 season 19 #7 「同日同刻」 (800)
勢い 11240.85 7.81レス/分 実況ch > 番組ch(朝日)
【西村担当相】「この3週間が勝負。感染拡大抑えられるか、大事な、大事な3週間だ」 [potato★] (1001)
勢い 11047.16 7.67レス/分 ニュース > ニュース速報+
【緊急】大阪、65歳以下は原則入院不可に [439249206] (1001)
勢い 10957.35 7.61レス/分 雑談系2 > ニュー速(嫌儲)
家、ついて行ってイイですか?スペシャル★7 (711)
勢い 10899.65 7.57レス/分 実況ch > 番組ch(TX)
【米大統領選】トランプ氏、政権移行業務を容認 敗北は認めず… ★28 [首都圏の虎★] (1001)
勢い 10845.76 7.53レス/分 ニュース > ニュース速報+

勢い 10835.31 7.52レス/分 ネット関係 > 難民
【アメリカ大統領選】ペンシルベニア州の裁判官が共和党の側に立ち、選挙認証を停止 ★2 [豆次郎★] (1001)
勢い 10817.83 7.51レス/分 ニュース > ニュース速報+
実質上々53 (1001)
勢い 10548.62 7.33レス/分 ネット関係 > 難民
【菅首相】Gotoで「経済を回していかなければいけない」 継続に理解求める 25日 ★6 [ばーど★] (1001)
勢い 10521.34 7.31レス/分 ニュース > ニュース速報+
【IT】iPhone 12部品、韓国製が27.3%で最多 高価格部品のOLED約7300円を独占供給、米国の25.6%上回る日本は安い部品13.2% [どこさ★] (1001)
勢い 10430.56 7.24レス/分 ニュース > ニュース速報+
【西村担当相】感染抑制できなければ緊急事態宣言も視野 [potato★] (1001)
勢い 10309.42 7.16レス/分 ニュース > ニュース速報+
【米中GDP】コロナ禍で強まる中国一人勝ち 経済規模、2025年には米国の9割に… [BFU★] (1002)
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【米大統領選】トランプ氏、政権移行業務を容認 敗北は認めず… ★29 [どこさ★] (1001)
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【IT】iPhone 12部品、韓国製が27.3%で最多 高価格部品のOLED約7300円を独占供給、米国の25.6%上回る日本は安い部品13.2%★3 [どこさ★] (1003)
勢い 10180.43 7.07レス/分 ニュース > ニュース速報+
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【au】KDDI社長「国に携帯料金を決める権利はない」 ★5 [雷★] (1001)
勢い 9996.45 6.94レス/分 ニュース > ニュース速報+
政府「この3週間が勝負!!!」 [256556981] (759)
勢い 9594.38 6.66レス/分 雑談系2 > ニュー速(嫌儲)
Jざつ4421 (1001)
勢い 9468.62 6.58レス/分 ネット関係 > 難民
Jざつ4421 (1001)
勢い 9447.94 6.56レス/分 ネット関係 > 難民
【速報】マラドーナ氏、死去 60歳 [potato★] (1002)
勢い 9443.32 6.56レス/分 ニュース > ニュース速報+
朝日新聞、創業以来の大赤字(約170億円) 社長が来春退任 部数減少や影響力の低下に歯止めを掛けることはできず [Felis silvestris catus★] (1001)
勢い 9414.00 6.54レス/分 ニュース > ニュース速報+
シューレース626本 (427)
勢い 9399.44 6.53レス/分 ネット関係 > 難民
不明の小学6年生か 横浜市内で無事保護 [首都圏の虎★] (260)
勢い 9332.78 6.48レス/分 ニュース > ニュース速報+
逮捕は6回目 性犯罪を繰り返す【ミスター慶応】 家は総資産100億超 現在は父親の会社社員寮に住む ★2 [potato★] (1001)
勢い 9180.25 6.38レス/分 ニュース > ニュース速報+
【西村担当相】感染抑制できなければ緊急事態宣言も視野 ★9 [potato★] (1001)
勢い 9140.39 6.35レス/分 ニュース > ニュース速報+
【米大統領選】トランプ氏、政権移行業務を容認 敗北は認めず… ★26 [首都圏の虎★] (1004)
勢い 9053.14 6.29レス/分 ニュース > ニュース速報+
【西村担当相】感染抑制できなければ緊急事態宣言も視野 ★5 [potato★] (1002)
勢い 8992.15 6.24レス/分 ニュース > ニュース速報+
くりぃむクイズ ミラクル9 2時間SP★6 (763)
勢い 8904.93 6.18レス/分 実況ch > 番組ch(朝日)
【外国人参政権】茂木敏充外務大臣「定住外国人に地方参政権を与える」(2020年11月24日魚拓)★10 [どこさ★] (1002)
勢い 8695.32 6.04レス/分 ニュース > ニュース速報+
【訃報】ディエゴ・マラドーナ(60)、死去 サッカー界の「レジェンド」 ★2 [Anonymous★] (1001)
勢い 8692.06 6.04レス/分 ニュース > 芸スポ速報+
【名無し奥も○○奥も】気楽に井戸端会議11705【みんな来い】 (1001)
勢い 8664.24 6.02レス/分 カテゴリ雑談 > 既婚女性
相棒 season 19 第7話「同日同刻」★4 (273)
勢い 8646.33 6.00レス/分 実況ch > 番組ch(朝日)
安倍前首相「桜を見る会」と河井夫妻1億5千万円疑惑に同じ秘書が関与 [potato★] (1001)
勢い 8611.84 5.98レス/分 ニュース > ニュース速報+
☆サトネシカクイ 地下売上議論25142★ (1001)
勢い 8565.72 5.95レス/分 雑談系2 > モ娘(狼)
巨人若大将4077 (1001)
勢い 8527.55 5.92レス/分 雑談系2 > モ娘(狼)
NolD混ぜご飯3504(波i魔婆出i禁) (1001)
勢い 8481.29 5.89レス/分 ネット関係 > 難民
【急騰】今買えばいい株15453【黒田助けろ】 (1001)
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肴30896 (1001)
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【野球】日本シリーズ第4戦 H4-1G[11/25] ソフトバンク・ホークス日本一!!4連勝で4連覇達成!! 巨人・屈辱の2年連続4連敗 ★3 [鉄チーズ烏★] (1001)
勢い 8326.69 5.78レス/分 ニュース > 芸スポ速報+
【急騰】今買えばいい株15452【黒田サイクロン】 (1001)
勢い 8230.53 5.72レス/分 政治経済 > 株式
【au】KDDI社長「国に携帯料金を決める権利はない」 ★6 [雷★] (987)
勢い 7951.96 5.52レス/分 ニュース > ニュース速報+
肴30895 (1001)
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Jざつ4420 (1001)
勢い 7826.12 5.43レス/分 ネット関係 > 難民
【急騰】今買えばいい株15454【黒田助けろ】 (1001)
勢い 7733.74 5.37レス/分 政治経済 > 株式
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東京+481 [256556981] (1001)
勢い 7629.36 5.30レス/分 雑談系2 > ニュー速(嫌儲)
【西村担当相】感染抑制できなければ緊急事態宣言も視野 ★6 [どこさ★] (1001)
勢い 7557.82 5.25レス/分 ニュース > ニュース速報+
【名無し奥も○○奥も】気楽に井戸端会議11704【みんな来い】 (1001)
勢い 7407.19 5.14レス/分 カテゴリ雑談 > 既婚女性
肴30898 (1001)
勢い 7356.79 5.11レス/分 ネット関係 > 難民
【LIVE】東京都 小池知事会見「不要不急の外出をやめて下さい」 ★3 [ばーど★] (726)
勢い 7318.45 5.08レス/分 ニュース > ニュース速報+
【野球】日本シリーズ第4戦 H4-1G[11/25] ソフトバンク・ホークス日本一!!4連勝で4連覇達成!! 巨人・屈辱の2年連続4連敗 ★2 [鉄チーズ烏★] (1001)
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勢い 7196.41 5.00レス/分 ネット関係 > 難民
【原巨人】読売ジャイアンツpart129【2020年】 (1001)
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神奈川+254、過去最多更新 [256556981] (245)
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【原巨人】読売ジャイアンツpart130【2020年】 (1001)
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【大統領選挙】トランプ氏、支持者に「選挙を覆す」よう訴え… ★2 [BFU★] (1001)
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Jざつ4428 (1001)
勢い 6997.85 4.86レス/分 ネット関係 > 難民
Jざつ4419 (1001)
勢い 6925.56 4.81レス/分 ネット関係 > 難民
ケンモメン「底辺です、馬鹿です、ザコです、クズです」←これがダメンズ好きの女に引っ掛からない理由 [208234178] (138)
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nolD炒飯36O八(波i魔婆出i禁) (501)
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【訃報】マラドーナ、死去 [Anonymous★] (1002)
勢い 6628.34 4.60レス/分 ニュース > 芸スポ速報+
【au】KDDI社長「国に携帯料金を決める権利はない」 ★7 [雷★] (87)
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【米大統領選】トランプ氏、政権移行業務を容認 敗北は認めず… ★31 [どこさ★] (1001)
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居酒屋が悲鳴 企業忘年会も消滅し時短でとどめ [399259198] (1001)
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【社会】「夫婦別姓」を容認する人が少なくない背景。なのになぜ、いまだに96%が夫の姓を選ぶ? [NAMAPO★] (1001)
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【米大統領選】ペンシルベニアとネバダも「バイデン氏勝利」を認定 トランプ大統領に新たな打撃★2 [どこさ★] (1001)
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Jざつ4418 (1001)
勢い 6001.42 4.17レス/分 ネット関係 > 難民
☆【画像】8698 (1001)
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【PSO2】PHANTASY STAR ONLINE2【33233】 (1001)
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【僕は僕を好きになる】乃木坂46★11091【本スレ】 (1001)
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ぽざつ10 (1001)
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nolD玄米35O菜々(波i魔婆出i禁) (1001)
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【社会】「夫婦別姓」を容認する人が少なくない背景。なのになぜ、いまだに96%が夫の姓を選ぶ?★3 [どこさ★] (631)
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学者「35万人のハーフ調べてわかった。ハーフは身長、肺活量、認知力、学習能力、全部高い。」 ジャップ、聞いたか? [688397906] (1001)
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【悲報】ソフトバンクホークス4連覇日本一キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! [502016552] (1001)
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【名無し奥も○○奥も】気楽に井戸端会議11710【みんな来い】 (1001)
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【名無し奥も○○奥も】気楽に井戸端会議11706【みんな来い】 (1001)
勢い 5510.29 3.83レス/分 カテゴリ雑談 > 既婚女性
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【40代〜50代専用】 ベストアーティスト 2020 ★2 (248)
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肴30894 (1001)
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実質上々52 (1001)
勢い 5377.17 3.73レス/分 ネット関係 > 難民
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【天下無双】WBS☆SPORTSウオッチャー11477【ホークス】 (1001)
勢い 5306.94 3.69レス/分 実況ch > 番組ch(TX)
【名無し奥も○○奥も】気楽に井戸端会議11712【みんな来い】 (1001)
勢い 5241.82 3.64レス/分 カテゴリ雑談 > 既婚女性
【僕は僕を好きになる】乃木坂46★11090【本スレ】 (1001)
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逮捕は6回目 性犯罪を繰り返す【ミスター慶応】 家は総資産100億超 現在は父親の会社社員寮に住む ★3 [potato★] (1001)
勢い 5206.90 3.62レス/分 ニュース > ニュース速報+
【菅首相】コロナ感染拡大「GoToトラベルと関連、エビデンスはない」 25日 [ばーど★] (1001)
勢い 5006.01 3.48レス/分 ニュース > ニュース速報+
【名無し奥も○○奥も】気楽に井戸端会議11716【みんな来い】 (1001)
勢い 4987.39 3.46レス/分 カテゴリ雑談 > 既婚女性
クソスレマルチβ版 (760)
勢い 4973.79 3.45レス/分 ネット関係 > 難民
Jざつ4416 (1001)
勢い 4926.60 3.42レス/分 ネット関係 > 難民
転載先で大麻のマルチ商法テク取り扱い中 (1001)
勢い 4925.84 3.42レス/分 ネット関係 > 難民
【速報】マラドーナ氏、死去 60歳★2 [どこさ★] (1001)
勢い 4916.31 3.41レス/分 ニュース > ニュース速報+
【外国人参政権】茂木敏充外務大臣「定住外国人に地方参政権を与える」(2020年11月24日魚拓)★11 [どこさ★] (1005)
勢い 4789.69 3.33レス/分 ニュース > ニュース速報+
アフィにて大麻マルチ商法テク掲載中 (1001)
勢い 4752.00 3.30レス/分 ネット関係 > 難民
■□■□チラシの裏18784枚目□■□■ (244)
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興行収入を見守るスレ4040 (1001)
勢い 4715.60 3.27レス/分 文化 > 映画一般・8mm
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あり得ないことだが「もし日韓が武力衝突したら、どっちが勝つ?」→「日本が勝つ」=中国メディア ★5 [11/25] [首都圏の虎★] (1001)
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西村大臣「今後3週間でコロナ感染が拡大するなら再度の緊急事態宣言も検討する」 (1004)
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【野球】巨人ぶざまな日本S敗退で「コーチ大粛清」…元木ヘッド、宮本コーチ“詰め腹”の可能性あり [首都圏の虎★] (508)
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【訃報】ディエゴ・マラドーナ(60)、死去 サッカー界の「レジェンド」 ★3 [朝一から閉店までφ★] (1001)
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産経新聞「桜を見る会、安倍氏には迅速で明確な説明を求める 過去の醜態とは一線を画す潔い姿をみせてほしい」 [746598975] (182)
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【名無し奥も○○奥も】気楽に井戸端会議11708【みんな来い】 (1001)
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NOlD玄米3O5位置(羽i眞婆出i禁) (1001)
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